定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成29年1月26日(木)

午前10時00分 〜 午前11時25分

 

 

第2 出席者 長谷川、奥野、川本、北島、木村各委員

坂口長官、三浦官房長、山下生活安全局長、吉田刑事局長、井上交通局長、松本警備局長、村田情報通信局長

古谷首席監察官

 

 

第3  議事の概要

 

1 議題事項

(1)犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部改正に対する意見の募集について

刑事局長から、簡素な顧客管理を行うことが許容される取引等に関する所要の規定の整備を行うための「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則」の改正案に対する意見の募集について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)中国公安部との定期協議(第9回)の開催結果について

官房長から、1月19日、日本で行われた中国公安部との定期協議(第9回)の結果について報告があった。

北島委員より、「日中関係の悪化の影響もあり中断した時期もあったが、様々な問題について実質的な議論ができるようになったようであり、非常に良いことだと思う。今後の発展にも期待感を表明しておきたい」旨の発言があった。

奥野委員より、「今回、中国側の代表として公安部合作局長が出席したことの意義は大きい。日中間の各種協議も時々の外交関係の影響を受けざるを得ないが、両国警察の協力関係を重視しようという中国側の姿勢の表れを今回は感じた。特に、犯罪捜査では日中の捜査機関の協力は極めて大切であり、この定例協議を今後とも発展させてほしい」旨の発言があった。

木村委員より、「日本、中国、韓国の3か国間でも定期協議を行っていくようだが、日中間の定期協議は継続していくのか」旨の発言があり、官房長から、「3か国間の協議では、個別案件を議題としづらいことから、今後も年1回くらいのペースで日中間の定期協議を継続していく。担当者レベルで顔を合わせて協議することは非常に大事だと思う」旨の説明があった。

 

(3)平成28年中の懲戒処分者数について

首席監察官から、平成28年中の懲戒処分者数について報告があった。

木村委員より、「懲戒処分者数の推移のグラフでは私行上と業務上に分けているが、事由・処分別の表では私行上と業務上の区分が分からないので、示し方を再考していただきたい。また、異性関係や窃盗・詐欺・横領等、交通事故・違反が大半を占めるが、これらのうち私行上のものについては、警察内部での人間教育、情操教育が徹底されていないのではないか。教養や研修は、1回だけでは効果は無く、継続的に繰り返し実施したり、職場でお互いに教育し合ったりすることが重要である。現在の数値から、何とか2桁に抑える方向で考えていただきたい」旨の発言があり、首席監察官から、「おおむね「その他の勤務規律違反」の項目までが業務上で、それより下が私行上であるが、公金を盗めば業務上、寮室から盗めば私行上となるなど、必ずしも業務上と私行上に分かれていないため、今後はより分かりやすい形で報告したい。教育については、学校教養や職場においてかなり頻繁に行っているが、「またか」と捉えられることのないよう、実際の被処分者の声を伝えるなど「心に響く教養」とするための工夫を重ねていかなければいけないと考えている」旨の説明があった。

木村委員より、「昨年の全国公安委員会連絡協議会である県の公安委員会委員から、警察の三交替制勤務を見直してはどうかという話があった。非番や週休日が平日になることが多く、家族や友人は仕事をしていることから、昼間から飲酒したり、パチンコ等の遊興にひたったりしがちになるおそれがある。働き方改革を進めている中、職員がライフスタイルをうまく整えられるような余暇を取得できるよう、三交替制について警察部内で議論してみてもよいのではないか」旨の発言があり、官房長から、「夜間体制をどのように確保するかという問題があるため、交替制を直ちに見直すのは難しい問題だと思うが、一方で、そのような問題意識はあまりなかったことから、その点は考えてみたい」旨の説明があった。

川本委員より、「事由・処分別の表にある「その他の勤務規律違反等」の大半はパワハラである。パワハラやセクハラは項目として立てた方がいいと思う。木村委員から提案があった統計の見直しについては、そもそも統計は事実を見極めてどのように改善するべきかを分析するためのツールであり、これまでやってきたからという理由で項目を変えないのではなく、必要に応じて統計を変えていくことで原因がより判明し、対策も講じやすくなるのではないかと思う。また、過度の飲酒については、これまで何度となく議論されてきたが一向に変わっていない。教養は大事ではあるが、あまり伝わっていないのではないか。例えば、職場の懇親会の場で過度の飲酒について教養するなど、実地の場で教養することが必要である」旨の発言があった。

奥野委員より、「業務上の事案は、前年比で微増ながらも24年に比べると半分以下に減っており、リカバリー教養等諸対策の効果が出ているのではないか。しかし、業務上の中でも捜査情報漏えい等悪質な事案が増えており、捜査活動の基本を忘れているのではないかと心配になる。一方、私行上の事案では、異性問題に起因するものが依然多く、件数は減っても非違事案全体の中での発生の割合はまだまだ高いので、今後も継続的な防止対策に努めていただきたい」旨の発言があった。

 

(4)平成28年度第3四半期監察の実施状況について

首席監察官から、「受傷事故防止対策の推進状況」を全国統一実施項目として警察庁が都道府県警察に対して行った平成28年度第3四半期監察の実施状況について報告があった。

川本委員より、「受傷事故防止対策について、このような形で把握できたことはとてもよいと思う。更に言うと、夜勤の身体への影響について、他の業界では調べていると思うが、警察は調べていないのではないか。どのような形が一番ストレスが少ないのか、パフォーマンスを高めるためにどのようなことができるのかという視点から見直してもらいたいと思う。ドライブシミュレータを活用し、夜勤明けではどのくらい注意力が低下するのかなど、科学的にパフォーマンスの低下を測定して自己管理を補助できる部分はある。精神論で乗り切ろうとするのではなく、具体的に示していただきたい」旨、長谷川委員より、「大学では、危険を伴う実験を行う理学部や工学部を中心に安全衛生管理委員会のようなものがある。警察は、部門にかかわらず職場全体で危険を伴うことが多いので、職場全体で安全衛生管理を検討するという視点が必要ではないかと思う」旨の発言があり、官房長から、「警察の業務は危険を伴うことから、いかにして受傷事故を防止するかという点には、かねてより高い関心を持ってきた。受傷事故防止のための様々な資器材の開発を進めてきたり、実際のコンビニエンス強盗の映像を活用したシミュレーション教養を実施したりしている。しかし、受傷事故防止のために部門横断的なワーキンググループを各署で作ってはいるものの、職場の安全をメインに議論することは必ずしも十分ではなかった、そのような視点で考えられるよう工夫する余地はあろうかと思う」旨、長官から、「特に、幹部クラスがそのような意識を持たなければいけないと思うので、幹部教養も含めて考えていきたい」旨の説明があった。

 

(5)平成29年度監察実施計画について

首席監察官から、平成29年度監察実施計画について報告があった。

木村委員より、「全国統一実施項目とは別に「業務の適正化及び効率化に資する業務改善等に努める」旨が記載されているが、まとまった段階でどのように業務改善したのか具体的に示してもらえればと思う。警察内部の業務は、できるだけ効率化を目指していただきたい」旨の発言があり、首席監察官から、「個別の非違事案を調べると、業務の不合理な部分が負担となっているところもあり、特に文書関係については検察庁との協議を進めるなどして、業務の合理化を図っていかなければならないと考えている」旨の説明があった。

北島委員より、「適正捜査や児童虐待への取組を取り上げたことは、非常にタイムリーでよいと思う」旨の発言があった。

奥野委員より、「平成28年中の懲戒処分者数の報告に対し、捜査活動の基本の重要性についても指摘したが、平成29年度の監察実施項目にある適正捜査及び組織的な捜査管理の進捗状況の中でも、捜査員への管理・指導に問題はないのか、きちんと点検をしてもらいたい」旨の発言があり、首席監察官から、「捜査員の活動状況の把握等の捜査管理についても監察実施項目の細目として検討していきたい」旨の説明があった。

 

(6)監察の取扱い事案について

首席監察官から、1月10日、新潟県警察の巡査長が青少年健全育成条例違反で通常逮捕された事案に関し、1月31日、同県警察は、同巡査長を免職処分とする予定である旨の報告があった。

 

(7)警察情報セキュリティポリシーの改正について

情報通信局長から、28年8月に「政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準群」が改正されたことを受けて、警察情報セキュリティポリシーを改正する旨の報告があった。

北島委員より、「27年10月の前回の改正のときには、政府の統一基準の改正から1年半あまりもかかった点に対して注意されていたが、今回は約5か月で改正されており、その点を評価したい」旨の発言があった。

川本委員より、「今回の改正内容は、実務的には行われていた措置がセキュリティポリシーに明記されていなかったこと等を踏まえての改正となっているが、政府の統一基準が示される都度、チェックして改正していくのか」旨の発言があり、情報通信局長から、「政府の統一基準というのは非常に網羅的に、ある程度粒度がある内容になっているが、政府の統一基準と警察のポリシーを非常に細かく見比べていくと、実施してはいるがポリシーに記載が無いところがいくつか見つかったことから、それらの点を今回の改正で修正し、一致させたということである」旨の説明があった。