定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成29年4月6日(木)

午前10時00分 〜 午前11時10分

 

 

第2 出席者 松本委員長、奥野、川本、北島、木村、安藤各委員

坂口長官、栗生次長、三浦官房長、山下生活安全局長、

吉田刑事局長、井上交通局長、松本警備局長

塚原技術審議官

 

 

第3  議事の概要

 

1 議題事項

(1)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)「犯罪被害給付制度に関する有識者検討会」の開催について

官房長から、第3次犯罪被害者等基本計画に基づき犯罪被害給付制度に関する検討を進めるため、「犯罪被害給付制度に関する有識者検討会」を設置し、4月10日に第1回会議を開催する旨の報告があった。

川本委員より、「今回、より適正かつ公平な犯罪被害給付制度を目指して詳細な調査を実施しているが、元データを様々な枠組みで分析し、政策作成のベースとしてとても進化したものとなっており、非常に感銘を受けた。今後も、このような形で続けていただきたいと思う。また、有識者検討会における活発な議論、検討にも期待したい」旨、安藤委員より、「様々な切り口での検討がなされているのは、職員の方々による自由闊達な議論の成果であると思う」旨の発言があった。

木村委員より、「今回の検討事項のうち、親族間犯罪被害に係る給付金の在り方の見直しについては、慎重な議論をお願いしたい」旨、奥野委員より、「親族間犯罪の被害者側に対する実態調査は初めてではないか。現場では、事件捜査の過程で被害者等からも事情を聴いて情報を得ているのだろうが、統計的にまとめたことは価値がある。犯罪実態、傾向の把握にもつながり、被害者支援だけではなく、捜査活動にも生かしてほしい」旨の発言があり、官房長から、「親族間犯罪被害に係る給付金の在り方の問題については、様々な立場からの意見がある一方、税金を使って支援するという性質上、客観性を備え、国民が納得できる一定の線引きが必要であることから、今回、詳細な調査を実施したものである。有識者会議の場でも活用するとともに、捜査活動等別の形でも活用できればと思う」旨、次長から、「統計分析については、ここ数年、公安委員会の場で様々な御指摘をいただいたことが成果として表れたものと思う」旨の説明があった。

 

(3)監察の取扱い事案について

官房長から、3月14日、宮城県警察の警部補が医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律違反で通常逮捕された事案等に関し、4月7日、同県警察は、同警部補を免職処分とする予定である旨の報告があった。

 

(4)平成28年におけるストーカー事案及び配偶者からの暴力事案等への対応状況について

生活安全局長から、平成28年におけるストーカー事案及び配偶者からの暴力事案等への対応状況について報告があった。

安藤委員より、「ストーカーの相談等件数が増加しているのは、事案自体の増加とともに、相談体制が充実したこととの関連性もあるものと思う。体制の充実も大事だが、個々の相談担当者の対応が重要であり、指導、教養の在り方も検討しながら、一人一人の意識や資質の向上を図っていただきたい」旨、奥野委員より、「ストーカーの相談等件数の増加は、やはりストーカー事案そのものが増加していることは否定できないだろう。これは世界的傾向であり、現代社会の病理現象の一つかもしれない。ストーカー対策は、事前の兆候を察知し、犯罪発生を未然に防止するという点において高度な捜査技術が求められる。ちょっとした判断ミスで悲惨な事件に発展するおそれがあることから、現場の担当者の捜査技術の練度を更に高めるよう努めていただきたい。加害者の治療対策については、専門医師も治療の効果を認めており、まだ地域間格差がある治療体制の整備、強化を期待する」旨の発言があり、官房長から、「相談等件数の増加に加え、この種事案には丁寧な対応が求められることから、特に一線警察署を中心に負担が大きくなったため、27年度から29年度までの間で地方警察官を3,000人増員し、その過半数をストーカー事案、DV事案を中心とした人身安全関連事案対応に充てて都道府県警察の体制の充実を図っているところである」旨、生活安全局長から、「個々の担当者の練度向上に加え、それを指導する本部対処体制の担当者の練度の向上も必要と考えている。全国のこれまでの教訓事例等を共有することなどを通じて、本部対処体制の担当者やその幹部の意識の向上を図っていく」旨の説明があった。

 

(5)ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議における決定について

生活安全局長から、3月31日に開催された「ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議」において決定された「ギャンブル等依存症対策の強化に関する論点整理」について報告があった。

木村委員より、「業務の取組、営業所におけるぱちんこの依存症対策が進むかどうかは、業界団体や各企業のトップの意思次第だと思う。利益を低下させるおそれのある依存症対策に取り組んでもらうため、例えば健全化を図ることで新たな層の顧客が期待できることなどを提示したり、社会貢献としてどうあるべきかということを理解していただくよう、業界、企業へのトップの方に働きかけを行っていただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「業界紙等を見ると、正に御指摘のような議論が出てきている。若い経営者等によるそのような取組がモデル店舗のような形で紹介されている。射幸性に頼る営業をしてきた一方で客離れやレジャーの多様化もあるかもしれないが、そのような流れに業界としては対応できていないため、ファンの数も減少するという状況になっていることから、彼らにも非常に危機意識があり、ある意味、こういう機会にトップも含め、更に検討を促したいと思う」旨の説明があった。

川本委員より、「依存症になるメカニズムが明らかになっていない中で依存症対策を進めることは非常に難しいので、工夫が必要である」旨、北島委員より、「射幸性を抑制するための課題として挙げられている「出玉規制の基準等の見直し」と「出玉情報等を容易に監視できる遊技機の開発・導入」の2つについては、しっかりと取り組んでいただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「御指摘のとおり、ぱちんこに関する課題(4)と(5)の出玉規制と監視の点は重要であり、しっかりと取り組んでまいりたいと思う。出玉については、平成16年に規制強化するという基準を追加したが、今回考えているのは、現在の法律が制定されて以降初めてとなる抑制の規制をかけることである。やはり、たくさん玉が出ることは、非常に射幸性を高めることになる。一方で、木村委員から御指摘があった取組についてのトップの意識についてであるが、既に依存問題については、駐車場での子どもの放置が問題となって以降、業界でもいろいろな取組が始まっており、最近2年くらいは、彼らも依存防止のための店舗における自主ガイドライン等を作って取り組んできていた。我々もこれまで、ホール、メーカーのトップを含む業界の方々と意見交換をしてきたが、今後ともしっかりと意識改革を促し、業界としてやるべきことに取り組むよう働きかけていきたいと思う。一方で、川本委員から御指摘のあった依存に至るメカニズムというのは、実は現在のところ、専門家も解明が進んでいないと述べており、アルコールや薬物といった物的依存とぱちんこの依存とはやや違う性格だという指摘もある。今回、専門家からの個別のヒアリングもしながら進めていきたいと思っている。また、業界とのコミュニケーションも図りながら取り組んでいきたいと思っている」旨の説明があった。

 

(6)いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・「JKビジネス」問題等に関する関係府省対策会議における決定について

生活安全局長から、3月31日に開催された「いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・「JKビジネス」問題等に関する関係府省対策会議」において決定された同問題等に関する緊急対策について報告があった。

北島委員より、「この種事案は、国際的な人権団体も関心が高い分野であることから、今後とも積極的に対応していただきたい」旨の発言があった。

奥野委員より、「アダルトビデオ出演強要問題については、政府が立てた緊急対策に基づき取組の強化を図るとのことだが、これまで相談を受けたり、検挙した事案は氷山の一角でしかなく、実態はもっとひどい状況にあるのではないか。今後は、警察署や交番でも相談を受け付けていることについて周知を図るとのことだが、この種の性被害の相談は、民間の支援団体の方が警察よりも抵抗感が無いということもあり得る。警察は、民間の支援団体とも連携、協力関係を構築し、実態の把握、悪質事案の検挙を進めてほしい」旨の発言があり、生活安全局長から、「民間団体との連携は、いずれの分野も大変重要と理解している。警察庁では、以前から様々な機会を通じ、民間団体との議論も重ねている。その議論の中から実態を把握し、相談対応等更なる対策を強化するよう連携して取り組んでまいりたい」旨の説明があった。

 

(7)平成28年における「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」の施行状況に関する国会への報告について

警備局長から、「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」に基づき国会に報告する、同法の平成28年における施行状況について報告があった

木村委員より、「オウム真理教の活動がちょうどバブルが崩壊したときに活発になったように、社会不安や時代の閉塞感が生じてきたときにこのような団体が現れやすいのではないか。現在も、様々な問題を原因とした社会への不安感が垣間見られることから、カルト団体、極左暴力集団等への注意は引き続き必要だと思う」旨の発言があった。

 

(8)天皇皇后両陛下のスペイン国国王陛下及び王妃陛下御案内に伴う警衛警護警備について

警備局長から、4月7日、スペイン国国王陛下及び王妃陛下御案内のため、天皇皇后両陛下が静岡県へ行幸啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警護警備を実施する旨の報告があった。

 

(9)皇太子殿下のマレーシア国御訪問に伴う警衛警備について

警備局長から、マレーシア国政府から「日本・マレーシア外交関係樹立60周年」の機会に招請を受け、4月13日から17日までの間、皇太子殿下が同国を御訪問になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する旨の報告があった。