定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成29年4月13日(木)

午前10時00分 〜 午前11時25分

 

 

第2 出席者 松本委員長、奥野、川本、北島、木村、安藤各委員

坂口長官、栗生次長、三浦官房長、井上交通局長、松本警備局長、村田情報通信局長

中村組織犯罪対策部長、小田部審議官(生活安全局担当)、

長谷川審議官(交通局担当)

 

 

第3  議事の概要

 

1 議題事項

(1)「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命令案」について

交通局長から、「一時停止」等の道路標識に英字を併記することなどを内容とする、道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命令案及び意見公募手続の実施結果について説明があり、原案どおり決定した

川本委員より、「英字フォントについてのドイツ在住デザイナーからの意見を踏まえて、改めてフォントデザイナーに相談して原案を見直したとのことだが、改正案の方が明らかに見やすくなっていてよい。今後も、ユニバーサルカラー等を踏まえたデザインを更に意識していただきたい。また、パブリックコメント制度が定着しているとは言い難いような状況において、国民生活に身近な警察がパブリックコメントに真摯に対応していることは、非常に評価している」旨の発言があった。

安藤委員より、「ドイツ在住の方からの意見が寄せられたとのことだが、これまでも海外から意見が寄せられたり、意見を踏まえて原案を見直すということは多かったのか。また、今回改正された英字付の標識に全て更新されるのは何年後になるのか」旨の発言があり、交通局長から、「パブリックコメントを受けて、意見公募にかけた原案を修正したものとして、8年前に特定二輪車に対する道路交通法上の取扱いを変更する際のパブリックコメントで御意見を頂き、原案を修正した例がある。英字付の標識に全て更新されるのは何年後になるのかということについて、現在、一時停止の標識は、全国約170万か所に設置されているが、全国一律の更新基準は設けられていない。ただし、個別の状況を勘案しつつ概ね十数年で更新されているものと承知しており、英字付の標識に全て更新するには、少なくとも十数年はかかるものと考えられる。訪日外国人のレンタカー利用が多い地域等、訪日外国人が非常に多いような地域については、更新時期を待たない変更も妨げないというような内容で指示をしたい」旨の説明があり、安藤委員より、「見やすいフォントにする意見を採用した点等は非常に良い判断だと思う」旨の発言があった。

木村委員より、「デザインや視認性のような問題については、積極的に専門家の意見を参考にすることが必要だと思う」旨の発言があった。

 

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)「遠隔型自動走行システムの公道実証実験に係る道路使用許可の申請に対する取扱いの基準案」に対する意見の募集等について

審議官(交通局担当)から、有識者等による「自動運転の段階的実現に向けた調査検討委員会」において策定された「遠隔型自動走行システムの公道実証実験に係る道路使用許可の申請に対する取扱いの基準案」に対する意見の募集について報告があった。

木村委員より、「遠隔型の自動走行システムの安全性がしっかりと確保できるのかチェックすることが重要だが、重大事故の発生等により自動走行システムの推進に逆作用にならないよう注意していただきたい。また、このような公道での実験は国民への影響もあり得ることから、公道実験でどのようなことが行われるのかについてしっかりと広報していただきたい」旨、安藤委員より、「初歩的なことだが、そもそも自動走行システムの推進は、誰のため、何のための施策なのか、誰の利便性を高めるのか、といった根本的な理念に常に立ち戻って考えていくことが必要だと思う。また、今回の実証実験に参入する事業者のレベルは様々だと思うが、その違いに合わせて対応できるようにすべきと思う」旨、奥野委員より、「実証実験なので、開発メーカー側としてはあらゆる状況を設定して走行テストをしたいのは当然のことだが、自動走行システムは必ずしも期待どおりに開発が進むとは限らないので、無理をして事故が起きないよう、実験対象となる道路の使用許可は慎重に審査していただきたい。厳しい規制は開発の足を引っ張るとの反発があるかもしれないが、一般車両との接触等一旦事故が起きると、自動走行開発の流れに水を差すことになりかねない」旨の発言があり、審議官(交通局担当)から、「遠隔型自動走行システムの公道実証実験に係る安全対策については、事業者の様々なレベルに応じた措置が講じられるもので、画一的な基準はないものの、全国において取扱いに差異のないよう一定の基準を策定した上で、都道府県警察に対し、事業者においてしっかりと安全対策が講じられるようにするための助言等を適切に行うよう指導を行ってまいりたい。自動走行システムの推進の目的は、交通事故の削減、交通渋滞の緩和、高齢者の移動手段の確保等であり、警察としてはその取組を積極的に支援してまいりたい。また、広報に積極的に取り組んでまいりたい」旨の説明があった。

 

(3)熊本地震における警察の救助活動に関する調査分析について

警備局長から、昨年4月に発生した熊本地震における警察の救助活動に関する調査分析について報告があった。

木村委員より、「地震後の救助活動の統計的な調査分析自体、初めて行ったとのことだが、画期的で、内容も詳細なものとなっており素晴らしい。ただ、この分析結果をどのように災害対策に活用するのかということが、より重要な課題である。岩手県に視察に行ったとき、岩手医科大学、消防、警察が協力して大学内に災害救助訓練のための施設を設置して、実戦的な訓練をしていると説明を受けた。今回の分析結果を活用して、実戦的な模擬訓練をどんどんやっていただきたい。また、消防や病院等他機関との連携も十分に進めていただきたい」旨の発言があり、警備局長から、「近畿管区警察局に訓練施設を整備し、有識者の協力を得て作成した訓練ユニットを組み合わせて様々な災害現場の状況を再現できるようにした。警察が訓練に使用するだけではなく、他機関との合同訓練にも使用している」旨、長官から、「今回の報告書は、正にこのような訓練に活用してまいりたい。また、内閣府を通じて防災関係の他機関にも報告書を示すなどして、国民全体での共有財産としたいと思う」旨の説明があった。

川本委員より、「世の中で熊本地震のデータが重要だと意識されている中、非常に貴重な報告書を作成したと思うので、警察の訓練に活用するとともに、産官学が連携して対策を進めていただきたい。この種の調査では、回答率を確保することが難しいが、警察組織内で実施したこともあり、手間のかかる作業にもかかわらずしっかりと回答してもらった点は、よく労っていただくとともに、この調査がどのような形で役立っていくのか、是非伝えていただきたい」旨、北島委員より、「警察だからこそ、ここまで回収できたものと思う」旨の発言があった。

奥野委員より、「期待以上の調査分析をまとめていただき、編集担当者及び調査に協力した現場の救助隊員の努力を高く評価したい。研究者による地震の被害実態に関する調査報告書は見たことがあるが、救助活動に関して、これほど綿密に調査したものは初めてだと思う。実際に救助に携わった警察官から聞き取り調査をしているので、内容が具体的で当時の状況が手に取るように分かる。救助隊員は当時の状況をメモに取っておいたわけでもないのに、よく記憶していたものだと驚かされた。全ての警察活動においてこうした定量分析をして、事後の詳細な検証記録を作成することは、警察の特性もあり難しいと思うが、災害救助活動、特に今回の熊本地震のように警察が大きな役割を果たした事例こそ、きちんと検証して記録に残し、その後の救助活動にいかすべきだと考える」旨の発言があった。

安藤委員より、「調査項目もよくできていると思うが、何か他の調査を参考にしたのか」旨の発言があり、警備局長から、「担当者が試行錯誤しながら独自に調査設計を行った」旨の説明があった。

 

3 その他

(1)警備局長から、富士山噴火に伴う大規模降灰対策についての中長期的課題について報告があった。

木村委員より、「防災対策、減災対策は地震や水害が中心となりがちで、噴火対策については、局所的な被害のイメージしかなく、国民的な議論になりにくいと思っていたが、政府レベルでも動き始めたとのことで、経済界としても協力させてもらいたい。産官学でしっかりと連携した検討をお願いする」旨の発言があり、警備局長から、「例えば、溶岩流については避難するしかなく、過去の記録でもそれほど遠くまでは流れていない。少なくとも富士山について言えば、近隣市町村に地震と同じような局地的被害が生じ、東名高速あるいは東海道新幹線が使えなくなると、日本が東西に分断されてしまう影響は大きいものの、問題はやはり降灰である。過去の例をみると、富士山が大きく噴火した1707年の宝永噴火とその前の864年の貞観噴火のうち、貞観噴火の時には溶岩が流れただけで、降灰による広域的な被害はなかった。ただ、大学の研究者も異口同音に、明日噴火してもおかしくないと言っているので、本当に噴火することを想定せざるを得ない。降灰については、私が神奈川県警で警察本部長をしていた当時、水道などについて県庁は「絶対大丈夫です」と断言するなど、一応の対策を検討しているとは言っていた。電線も地中化していると問題は生じない。少しでも可能な対策を広げていくことが重要である」旨の説明があった。

安藤委員より、「降灰の影響を受ける県同士で連絡協議会を設けたり、情報共有をしたり、あるいは、省庁や都道府県警察のレベルで何か行っていたりしているのか」旨の発言があり、警備局長から、「静岡、山梨、神奈川の三県は、溶岩流の様な生命への危険性が大きい被害が生じるという前提のもと、数年前から富士山火山防災対策協議会で避難対策が検討されてきたが、降灰対策はほぼ検討されてこなかった。私が神奈川県警にいたときにホイールローダーという機械を整備し、その後、御嶽山や箱根が噴火したため、神奈川県の降灰対策は進捗したようだ。風の流れから富士山の降灰の被害を受けるのは、ほぼ神奈川、東京であることから、首都圏への影響を念頭に対策の検討が必要と認識しているが、警察以外の行政機関を含む大規模降灰に関する検討は今年度から本格化する現状にある」旨の説明があった。

川本委員より、「先送りしがちな問題に焦点を当てて、中長期的な課題とすることはとても良いことである。灰が積もってもオフロードビークルだと走行できるのか」旨の発言があり、警備局長から、「雪の上を走れる雪上バギーのような車両であれば、普通の車両だと止まってしまうところでも走行は可能である。神奈川県警では、オフロードバイクによる降灰を想定した走行訓練を行っていた」旨の説明があり、川本委員より、「静岡県ではオートバイメーカーもあるので、率先して整備してもらうとよいのではないか」旨の発言があり、警備局長から、「装備資機材の整備を含め検討してまいりたい。また、降灰対策の一つのポイントとして道路啓開がある。鹿児島県では、ロードスイーパーなど道路啓開の車両が相当数用意されているが、他の県にはほとんど整備されていない。降灰時に警察活動を行う上で重要なことは緊急交通路の確保であり、そのために道路啓開が必要となる。神奈川県警では、ホイールローダーを2台整備し、訓練を開始している」旨の説明があった。