定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成29年4月27日(木)

午前10時00分 〜 午前11時30分

 

 

第2 出席者 松本委員長、奥野、川本、北島、木村、安藤各委員

坂口長官、栗生次長、三浦官房長、山下生活安全局長、吉田刑事局長、井上交通局長、松本警備局長、村田情報通信局長

藤本首席監察官、貴志審議官(国際・調整担当)

 

 

第3  議事の概要

 

1 議題事項

(1)警察庁長官等の評価手続について

警察庁長官等の評価手続を実施した。

 

(2)「平成29年度政策評価の実施に関する計画」等について

官房長から、「平成29年度政策評価の実施に関する計画(案)」等について説明があり、原案どおり決定した。

川本委員より、「先月の説明以降、コスト・ベネフィットの証拠も集め、とても良いものとなった。また、評価の実施と実施計画書の作成についての政策評価スケジュールの見直しを検討することも評価したい。なお、海外の経済紙で、車庫証明制度に基づく日本の規律ある駐車制度は、世界で一番良いと高く評価されている記事を読んだ。高齢運転者等専用駐車区間については、無暗に区間を増やすのではなく、必要に応じて設置する方向とのことだが、高く評価されている駐車制度の基本を乱さないよう、その方針を維持すべきだと思う」旨の発言があった。

木村委員より、「PDCAサイクルにうまく乗せるようにしたり、重点項目もしっかりと考えており、非常に良い方向に進んでいると思う。なお、今回、指定等法人の事務・事業について事業評価をしたが、指定等法人の統合・整理の必要性について検討の余地もあると思う」旨の発言があった。

安藤委員より、「先月の説明時にこちらが指摘した後、早速、政策評価スケジュールの見直しを検討してもらったことは、公安委員会での議論が形に表れており、手応えを感じている。ただ、他の省庁でもほとんどが国家公安委員会・警察庁と同様のスケジュールで行っているとのことであり、逆に見直しによって大量の業務が集中してしまうといった支障が生じる懸念もあることから、その辺はしっかりと見守っていきたい」旨の発言があった。

奥野委員より、「警察業務は、結果が全て形に見えるものばかりではなく、業績評価が難しい分野だと認識している。今回の高齢運転者等専用駐車区間の導入に関する事業評価は、当初は調査があまりにも粗すぎて実態が見えなかったことから意見を言わせてもらった。再調査によって利用実態がかなり詳しく明らかになった。設置費用やメンテナンスコストもあまりかからない制度ではあるが、評価をするからには、この種のものに対しても実態に基づく評価をしてもらいたい」旨の発言があった。

北島委員より、「前回、継続検討とされた案件であったが、今回の問題提起を踏まえて、今後、しっかりと頑張っていただきたい」旨の発言があった。

 

(3)九代目酒梅組の指定の確認について

刑事局長から、大阪府公安委員会から受理した、九代目酒梅組に対する指定暴力団としての指定の確認請求について、審査専門委員の意見聴取を終えたことから、本日、国家公安委員会による確認を求め、大阪府公安委員会に通知する旨の説明があり、原案どおり決定した。

 

(4)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)平成28年度会計監査実施結果について

官房長から、平成28年度会計監査実施結果について報告があった。

安藤委員より、「指導、指示した後、どのように改善したのかなどの結果報告は求めているのか」旨の発言があり、官房長から、「指導等を踏まえてどのように改善したのかについての報告を期限を定めて求めており、また、更に翌年度に確認することもある」旨の説明があった。

 

(3)平成28年度第4四半期監察の実施状況について

首席監察官から、「サイバー空間の脅威に対する部門間連携強化の推進状況」を全国統一実施項目として警察庁が都道府県警察に対して行った平成28年度第4四半期監察の実施状況について報告があった。

北島委員より、「今後も、サイバー空間の脅威への対策は非常に重要な業務になるので、是非、今回の結果をフォローアップしていただきたい」旨の発言があった。

川本委員より、「この分野での中途採用では、短距離走のタイムといった条件を求め、それが採用のネックになっているということはないか」旨の発言があり、首席監察官から、「そのような条件は求められていない」旨、長官から、「特殊な技能を理由とした中途採用では、配置においても一般的な警察官のように交番から始めることはせず、専門的な部門に配置している」旨の説明があった。

木村委員より、「できるだけ多くの職員にサイバー関係の知識を持ってもらうことは大事なことだが、全ての専門的な人材を内製化することは無理ではないかと思っている。部内では長期的な戦略を考えたり全体をマネジメントできる人材を育成しつつ、必要な知識・技能を持つ人材がいる民間企業との連携を重視するべきだと思う」旨の発言があった。

安藤委員より、「能力のあるサイバーセキュリティ関係の人材の確保は、非常に競争が厳しいのではないか。そうすると、警察に任用されることのメリット、仕事のやりがい等をどういう形でアピールできるかが課題となると思う」旨の発言があり、官房長から、「警察では、実際に捜査をしているという特徴があるので、それらに対するやりがい、面白さという点や、自らの技術を生かして社会に貢献していることが実感できることなどをうまくアピールしていくことは重要ではないかと思っている」旨の説明があった。

奥野委員より、「警察のサイバーセキュリティ対策を進めるに当たり、都道府県のレベルを越えた全国的な情報共有、官民の連携の強化、人材の確保・育成の3点がポイントだと考える。今回の監察の実施結果ではこれらの点が網羅され、状況も明らかになってきている。この中の「人材の確保・育成」が最も難しいと思うが、民間のIT分野の世界では人材の流動性が高く、有為な人材が1箇所に留まらず、引き抜き等で次々と転職する場合が多い。一定期間だけ警察に在籍してその後は企業に戻ることも可能にする人事制度を採らないと人材の確保が難しいのではないかと思うが、現状はどのようになっているのか」旨の発言があり、審議官(国際・調整担当)から、「一部の県警では、民間企業からの期限付き任用を始めている。派遣元企業にとっては貴重な人材であり、そういう人材に警察で勤務してもらうことは、容易なことではないが、警察に来てよかったという、いわば箔が付く勤務内容にしていくことが重要ではないかと思っている」旨の説明があった。

川本委員より、「金融の世界では、金融庁で2年間勤務した経歴がバリューとなる。期限付き任用数が増えることによってマーケットが作られていったと思う。警察でもこのような形をとると、世の中も変わっていくのではないか」旨、木村委員より、「働きがいとか達成感といった警察の価値を高め、警察に来ればいろいろ経験でき、自分のノウハウも高まり、民間に戻ってもいろいろなことで活躍できるといった雰囲気ができればよい」旨の発言があった。

 

(4)監察の取扱い事案について

首席監察官から、愛媛県警察の巡査部長による窃盗等事案に関し、同県警察は、同巡査部長を4月28日に免職処分とする予定である旨の報告があった。

 

(5)安倍内閣総理大臣のロシア連邦及び英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)歴訪に伴う警護警備について

警備局長から、4月27日から30日までの間、首脳との会談等のため、安倍内閣総理大臣がロシア連邦及び英国を歴訪予定であり、これに伴い、所要の警護警備を実施する旨の報告があった。

 

3 その他

(1)交通局長から、高齢運転者の交通事故防止対策について報告があった。

北島委員より、「高齢運転者の交通事故防止対策を考える場合には、医療関係者と協力関係を構築することが重要だと思う。認知症の進行を抑制できる薬を飲んでいる者は自らの認知症を認めたこととなり、このままでは運転できなくなると思って投薬を止めてしまうと、逆に認知症の進行を進めることになってしまうという記事を読んだが、正にこのような問題については医療関係者との連携が必要である。また、国土交通省では代替交通手段の確保についての有識者会議が開催されているとのことなので、そちらの検討状況も把握しながら警察庁でも検討を進めていくことが大事である」旨の発言があった。

木村委員より、「75歳以上の運転免許保有者は、平成33年には613万人と推計されるとのことだが、団塊世代はそれ以降で急に増加していくので、非常に大きな問題となる。認知機能検査は有効に働いていると思うが、急増する75歳以上の運転者を全てチェックすることは難しく、診察する医師もそこまで確保できるとは思われない。また、75歳以上の高齢者の運転免許証の返納率はまだまだ低く、これを上げることも容易ではない。世論の反発はあるだろうが、運転免許資格に年齢の上限を設けることも考えられるし、一定の年齢以上で運転できる地域や道路、時間帯等を制限したり、自動ブレーキ等の安全装置付きの自動車に限定したりするといった限定条件付免許にするなど、今の段階から現実的な対策を検討していかなければならないと思う」旨の発言があった。

川本委員より、「4点申し上げたい。長谷川前委員もおっしゃっていたように、医学も含めて科学の世界は連続的であるが、警察はある判断基準を持って世界を切り分けなければならない。一方、日本では高齢者に配慮しすぎるきらいがあるので、その判断基準を考えるに当たっては、子供の命が奪われている事実を忘れてはいけないと思う。現実に厳しく対応していただきたい。2点目は、視野障害が交通事故を起こすリスクとなる点はあまり意識されていないと思うので、もっと広報すべきだと思う。3点目は、高齢者講習がとても混んでいることについては、住所地以外でも受講できるようにしてはどうか。合宿での免許取得もあるし、旅行会社と連携して旅行とセットにするといったアイディアもあるのではないか。4点目は、著名な映画監督による、いつまでも車の運転をやめない頑固な祖父に家族が振り回されるというコミカルなドラマがあるようだが、高齢運転者の自主返納に関する社会的な気運を高めるには良い内容だと思う。警察の真面目な広報だけではなく、世の中の琴線に触れるような形で広報してもらいたいと思う」旨の発言があった。

安藤委員より、「普通免許の取得は18歳以上となっているが、その制限には、18歳未満では判断能力が十分に備わっていないなどの医学的理由があると思う。同様に、運転免許に年齢の上限を導入するのであれば、それ相当の合理性、理由が必要であり、それを納得させるだけの材料を集めて提供する必要がある。また、高齢運転者による事故の分析では、高齢者が多いことは分かるが、その原因が何なのかということはあまり整理されてはいないのではないか。高齢運転者の事故の原因を正確に把握して、周知させることで初めて説得できる地点に立つことができるのではないかと思う。さらに、高齢者の逆走等による事故も多いが、警察では、標識の見やすい設置等も含めて現在できる対策もあるのではないかと思うので、その点もしっかりと進めていただきたい」旨の発言があった。

奥野委員より、「3月の改正道路交通法の施行で認知症対策が強化されたが、認知症以外の様々な要因により運転技能が低下した高齢者にどう対応すべきかが改めて注目されており、これは大変難しい問題だと思う。ブレーキとアクセルの踏み間違い等の事故が毎週のようにどこかで起きており、今後も更に増えていくおそれもある。一方で、先進安全技術が高齢運転者の所有する車両にまで普及することは、かなり先のことになると思われるので、事故防止対策は急がなければならない。有識者会議で専門家の意見が取りまとめられるのを待ちたいが、私としては、技能低下が著しい高齢運転者に対しては運転を制限するなどの制度構築を図らざるを得ない段階に来ているのではないかと考えている。技能試験により運転技能の低下をチェックした上で、運転できる場所、時間を一部制限するような制度もあり得るのではないか。もちろん、技能検査に要する費用負担の問題、代替交通手段の確保等、関連する課題についても検討することも必要となる」旨の発言があった。

交通局長から、「認知機能が低下している者が重大事故を起こしやすいということは、統計上申し上げることができ、有識者会議でも説明しているところである。一方で、高齢運転者は認知機能の低下以外の理由でも事故を起こすのではないかという指摘は正にそのとおりであり、高齢運転者による重大事故について、第1当事者の認知機能検査の結果が全て第1分類又は第2分類というわけではなく、第3分類と判定された者による事故も相当数ある。例えば、ブレーキを踏み遅れたり、ブレーキの踏みが弱かったりするなど、認知機能以外の身体機能の低下により、重大事故を起こしやすくなるというリスクをどのように評価し、どのような対応をとるべきかという検討に当たっては、自動車教習所や都道府県警察の実施体制にも配意する必要がある。高齢者講習が時期や地域によっては2、3か月待っても受講できないような状況であり、これから更に深刻になっていく中で、その解決に向けた何か措置が必要になるかもしれない。高齢運転者に対する実車テストを行うという意見について、自動車教習所で実施できなければ、都道府県警察の運転免許センターで実施すればよいかというと、これにも物理的な限界がある。認知症以外の高齢運転者に対し、極めて事故を起こしやすいハイリスクの者をどのように抽出してチェックを行い、どのような措置を講じるべきかという点については、今後、検討していくこととなり、限定条件付免許もその選択肢の一つとして在り得ると考えられる。また、視野や認知機能に関しても、医療関係者と連携しながら研究を進めていきたい」旨の説明があった。

委員長より、「世界における高齢者社会のフロンティアとして、従来にはない考え方を発明、発見するという意識が無いと、この問題は解決できないのではないかと思うので、また然るべき機会に、引き続きこの問題を検討することとしたい」旨の発言があった。