定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成29年7月13日(木)

午前10時00分 午前11時15分

 

 

第2 出席者 松本委員長、奥野、川本、木村、安藤各委員

坂口長官、三浦官房長、山下生活安全局長、吉田刑事局長、井上交通局長、松本警備局長、村田情報通信局長

 

 

第3  議事の概要

 

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、7月24日付けを始めとする地方警務官58名の人事案件及び8月4日付け内閣承認人事2名の承認依頼の手続について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)平成30年度警察庁予算概算要求重点項目(案)について

官房長から、平成30年度警察庁予算概算要求重点項目(案)について説明があり、原案どおり了承した。

木村委員より、「東日本大震災をまだ忘れてはならないが、警察庁が予算の重点項目として取り組むべき項目に「東日本大震災からの復旧・復興の支援」を今後も掲げておくかについては、来年以降、検討してはどうか」旨の発言があり、官房長から、「東日本大震災からの復旧・復興はまだまだ道半ばであり、福島第一原子力発電所周辺地域の警戒警備活動にも引き続き全国警察から応援派遣が行われているところであるが、重点項目として掲げるかどうかについては、今後、検討してまいりたい」旨の説明があった。

 

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)犯罪被害給付制度に関する有識者検討会の提言について

官房長から、4月から開催されてきた「犯罪被害給付制度に関する有識者検討会」において7月14日に取りまとめられる予定の提言の概要について報告があった。

川本委員より、「現実のニーズに合わせて制度を見直すことは、非常に望ましい。給付実態の分析も素晴らしいものであったと思う。また、若年者への遺族給付金を18歳まで支給されるように改めようという点も良い。行政機関は制度の遵守にとらわれがちだが、今回のようにしっかりと分析した上で制度を改めることは好事例として伝えていっていただきたい」旨の発言があった。

安藤委員より、「提言内容は、いずれも適切なもので評価したい。特に、親族間犯罪被害に係る給付金の在り方については、実態に着目し、個別の具体的事案を比較検討した上で、国民の理解が得られるような制度にするために丁寧に議論を積み重ねていて、その結果得られた提言だと思う。また、18歳未満の遺児に焦点を当てた給付金の拡充も良かったと思う」旨の発言があった。

奥野委員より、「提言を読むと、犯罪の背景にはいかに多種多様で複雑な事情があるのかということを改めて思う。有識者検討会では、個別の事案を洗い出して、給付が必要なもの、不要なものをきちんと精査した上で制度の見直しに向けて問題点を指摘するなど、大変丁寧な仕事をしたと評価している。警察庁は、犯罪被害者の救済の推進に向け、予算措置、法令改正等も含めた必要な措置を速やかに採っていただきたい」旨の発言があった。

 

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、福岡県警察は、同県警察の巡査部長による殺人事案に関し、同県警察は、7月13日に同巡査部長を免職処分とする予定である旨並びに同県警察の一般職員による住居侵入事案に関し、同一般職員を7月27日に免職処分とする予定である旨の報告があった。

奥野委員より、「殺人事案においては、監督責任に基づく処分も予定しているとのことであるが、監督責任を問う上では、予見可能性があったどうかが処分の軽重の判断材料になるが、同僚、知人等周囲への調査の結果、当該巡査部長に関する特異な兆候は見当たらなかったということか」旨の発言があり、首席監察官から、「上司その他の職員への調査の結果、巡査部長について、仕事への取組に問題は認められていなかったほか、家庭問題の把握にも至っていなかった」旨の説明があった。

木村委員より、「私行上の非違事案については、上司の管理が難しいと思うが、本件で監督責任の処分を予定しているというのは、組織として部下をしっかりと管理・監督すべきという注意喚起の意味もあるのか」旨の発言があり、官房長から、「行為の予見可能性等も勘案されるが、本件については、この点もさることながら、極めて悪質重大な事案であるという結果の重大性を重く見て、監督責任を問おうとするものである」旨の説明があった。

安藤委員より、「本件殺人事案では、動機が不明であるなど全容が解明されないままだが、それでも今の段階で処分するのが適当なのか」旨の発言があり、首席監察官から、「今後も福岡県警察において捜査を尽くしていくことになるが、巡査部長が逮捕、起訴され、殺人についての事実の認定がなされた以上は、速やかに処分を行い、警察職員としての職を免ずることが相当であると考えている」旨の説明があり、安藤委員より、「今後、本件の懲戒処分とは別に、事実が判明していく中で組織として検討すべき問題があれば検討していくということで良いか」旨の発言があり、首席監察官から、「そのとおりである」旨の説明があった。

 

(3)九州北部豪雨の被害状況と警察措置について

警備局長から、九州北部豪雨の被害状況と警察措置について報告があった。

 

3 その他

(1)刑事局長から、DNA型鑑定の現状と展望について報告があった。

木村委員より、「DNA型鑑定は、かなり専門的な知識を有する者でないとできないのか」旨の発言があり、刑事局長から、「遺伝学の基礎知識のほか、汚染防止に配意しながらの鑑定が必要であることなどから専門性が必要になってくる。都道府県警察の科捜研職員のほとんどは、大学の薬学部や理学部等を卒業した者であり、警察庁でも試験区分で化学・農学の者を採用している」旨の説明があり、木村委員より、「民間企業等との人材獲得競争が厳しくなり、必要な人材の確保が難しくなると思われる。そうであれば、1人当たりの生産性を向上させるために鑑定機材の高度化を進めなければならないが、鑑定機材の技術革新は図れているのか」旨の発言があり、刑事局長から、「DNA型鑑定の工程について、手作業で行っていた工程をコンピュータ制御により自動で行うようにするなど効率化している。技術革新により更なる効率化ができると思われるので、今後も研究してまいりたい」旨の説明があり、木村委員より、「技術の改良・開発は科学警察研究所などが行っているのか」旨の発言があり、刑事局長から、「DNA型鑑定の資機材は欧米のメーカーから購入することが多い」旨の説明があり、木村委員より、「DNA型鑑定の需要が急増しており、人材の不足は技術でカバーしなければならないので、その点を強力に進めていただきたい。また、専門的人材の処遇も考えておかなければならない。幅広く希望者が集まるような環境を作るのが大事だと思う」旨の発言があり、刑事局長から、「国で採用した職員についても、都道府県警察へ出向させ、現場における捜査と鑑定の連携について学ばせるなどし、警察職員であると同時に、中立的な鑑定員であるという自覚を持って、やりがいのある職場として勤めていけるキャリアパスを考えてまいりたい」旨の説明があった。

川本委員より、「DNA型鑑定の技術は日進月歩で進んでいる分野であって、積極的に新しい知識を取り入れるために新しい人材を確保しなければならない分野なのではないか」旨の発言があり、刑事局長から、「鑑定の精度の向上に向けた新たな動きに関する知識や、新しい遺伝学に関する知見等を絶えず吸収しながら、汚染防止に配意した鑑定に従事していくということが求められる職種と考えられる」旨の説明があり、川本委員より、「民間でも商業ベースで活用できるのであれば需要が増えると思うが、鑑定機材は、海外でも犯罪捜査だけに使われているのか」旨の発言があり、刑事局長から、「DNA型鑑定の機材は犯罪捜査での活用が多いと思われるが、犯罪捜査以外では親子鑑定等でDNA型鑑定を行うこともあると聞いている」旨の説明があった。

安藤委員より、「DNA型鑑定は、信頼性の高い客観証拠として重要な柱となっているので、必要な人材を育成し、機材を整備するためにエネルギーを集中させる必要がある時期だと思う。また、鑑定作業だけではなく、現場で有効な鑑定資料を採取する局面、たくさんの採取資料から鑑定の必要があるものを抽出する局面の一つ一つの技術や精度も大切にしていただきたい」旨の発言があった。

奥野委員より、「被疑者からのDNA資料や犯罪現場での遺留DNA資料の採取は、今や捜査の過程で必須のものとなっているが、任意でのDNA資料の提供は、社会的には理解が進んでいるのか。一昨年に警視庁管内で発生した殺人事件の捜査において、広範囲の周辺住民からDNA資料の任意提出を受けた事例がある。この時は捜査員の丁寧な説明もあって協力が得られたと思うが、一般的には、住民から任意提出を受けるのは、まだ困難を伴うのか」旨の発言があり、刑事局長から、「ご指摘の事件のように、周辺住民の協力が必要な場合には、捜査員が関係者に捜査の必要性を説明し、理解を得た上で任意に資料の提出を受けているものと承知している。関係者からの鑑定資料の採取や、必要がなくなった際の確実な廃棄に関する留意事項について、昨年通達を発出して全国警察に徹底したところである」旨の説明があった。