定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成29年7月20日(木)

午前10時00分 午前11時15分

 

 

第2 出席者 松本委員長、奥野、川本、木村、安藤各委員

坂口長官、栗生次長、三浦官房長、山下生活安全局長、吉田刑事局長、井上交通局長、松本警備局長、村田情報通信局長

藤本首席監察官、長谷川審議官(交通局担当)

 

 

第3  議事の概要

 

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、8月5日付け暴力団対策法審査専門委員1名の任命について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)「平成28年度実績評価書」等について

官房長から、「平成28年度実績評価書」等について説明があり、原案どおり決定した。

木村委員より、「評価結果が△のものは、何が問題だったのか、何を改善すべきかについての分析を明らかにし、それを踏まえてPDCAサイクルのAにつなげていくことに留意していただきたい」旨の発言があり、官房長から、「同じ△と言っても、振り込め詐欺については、いろいろな努力をして対策を取ってはいるが、まだ道半ばで、再考しなければならない課題はまだまだあると認識しており、都道府県警察でも特殊詐欺対策は大きな柱の一つとして力を入れて取り組んでいる。ただ、一方で、捜査への科学技術の活用については、刑法犯の認知件数が減少している中では、DNA型データベースの一致件数についても大きくは伸びていかないという一面もある。また、取調べの適正化についても、取調べの録音・録画が始まり、これまでの取調べとは実態が変化しているところもある。こうしたことから、将来的に指標の作り方自体を検討することなども含め、考えていかなければならない」旨の説明があった。

安藤委員より、「業績指標がかなり実質的なものとなり、精査して厳しく評価した結果、△になったという理解をしているが、評価結果を直近の予算要求に結び付けられるような形で進められると良い」旨の発言があり、官房長から、「指標の作り方については、警察の努力以外の要素が反映されるような指標では、警察業務とのつながりが希薄になるため、警察の努力により改善できるものを中心に、より実態を反映できるような指標へといろいろと見直しを図っており、この4月に策定した新しい計画書の中でもだいぶ指標の入れ替えを行っている。また、評価結果の予算への反映については、形式的なつながりはないものの、評価書に書かれている課題は、いずれも警察施策の重要課題として認識されているものであり、当然、来年度の予算を要求する中で、重要課題に対応することが前提となっているものである。そして、政策評価の事務スケジュールについては、前回御説明したように、来年からは、前年度の評価を振り返るとともに、それを踏まえて次の計画を立てるという一連の流れを考えている。事務が集中するため作業が大変になると思われるが、タイムラグができるだけ生じないよう取り組んでいきたい」旨の説明があった。

川本委員より、「全てを○とせずに△としたものもあることは、自らに規律を課したということだと思う。しかし、△と評価された業績目標の中には、今後、一生懸命にやるというメッセージ性が見えないものもある。評価結果にとどまることなく、△としたものについては、分析結果を踏まえた今後の対応について言及すべきである。例えば、「政治・行政・経済の構造的不正の追及の強化」については、評価が予算要求にも反映されておらず、評価結果を踏まえてしっかり取り組んでいくということが記載されていないのではないか」旨、木村委員より、「この目標は、捜査の在り方といった捜査の企画の問題ではないか」旨の発言があり、刑事局長から、「「政治・行政・経済の構造的不正の追及の強化」の施策の目標達成状況については、非常に深刻な状況と認識しており、捜査の在り方について警察庁が各県警に赴いて指導するなどの施策を進めている。これは評価結果を踏まえた予算要求のような目に見えるものではないが、今後もいろいろな形でしっかりと対策を検討してまいりたい」旨の説明があった。

奥野委員より、「警察の実績評価は、他の官公庁とは別の読み方が必要だと思っている。△の「進展が大きくない」と評価された項目に対し、予算を増やして装備等を拡充すれば改善につながるものもある一方、項目の中には、社会的要因が実績に影響するものもある。評価結果を受けて講じる施策は、それぞれの事情を踏まえて柔軟に対応すべきだと思う」旨の発言があった。

 

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)平成29年上半期の懲戒処分者数について

首席監察官から、平成29年上半期の懲戒処分者数について報告があった。

木村委員より、「懲戒処分者数は、昨年上半期とほぼ同じであるが、各都道府県において防止に向けて分析を進めたり努力はしているものの、決め手を見い出すのは、なかなか難しい面もあるのではないかと思う。こうした事案を減らし、さらに二桁に抑えていくために、どのような努力をしたらいいのか、引き続き、みんなで知恵を絞って取り組んでいくことが重要であると考えている」旨の発言があった。

 

(2)平成29年度第1四半期監察の実施状況について

首席監察官から、平成29年度第1四半期監察の実施状況について報告があった。

木村委員より、「証拠物件の保管等がシステム化されて管理しやすくなったことは、非常に良いと思う。しかし、定期的に人の目で点検するなど人間によるチェックも重要である。警察は人事異動が多いことから、担当者同士がしっかりと引き継ぐことも重要であり、その際にも共通のフォーマットを活用するなど引継ぎの方法についてもよく目を向けていただきたい」旨の発言があった。

川本委員より、「証拠物件の保管用に色付きビニール袋を導入するなど良い工夫をしている例もあるが、元々、日本は、オペレーショナル・エクセレンスという意味では世界に冠たる国であることから、警察でも参考にできるたくさんの知恵が他の業界にあるのではないかと思う」旨の発言があった。

安藤委員より、「証拠物件の継続保管の要否をしっかりとチェックすることで、保管スペースを確保しやすくなると思う。原本で取っておかなければならないもの、PDFファイル化して保存してもいいもの等の峻別を含め、保管の要否や方法を的確に判断し、合理的に保管するようにしてもらいたい」旨の発言があり、刑事局長から、「警察が保管している証拠物件について、必要に応じて検察とも調整の上で、不要になったものは還付公告をして、還付の請求がないときは廃棄等をするという制度があるが、まだまだ第一線に浸透させるには努力が必要だと思っているので、こういった点もしっかりと進めてまいりたい」旨の説明があった。

奥野委員より、「警察署では、証拠物件の管理は、刑事課の庶務担当係が行っているのか。捜査部門は次々と発生する事件捜査に追われて資料を管理、整理する時間も無いだろう。担当者、責任者を決めて、定期的に整理・点検する体制を作ったらどうか」旨の発言があり、刑事局長から、「主に刑事部門がやっているが、県によっては、総務部門で管理をして、証拠物件の保管状況についてフォローするというところもある。定期的な点検についてもしっかりと、署長や刑事課長の下で点検するということを各署においても行っているほか、業務指導で警察本部から警察署に赴いて、証拠物件の保管状況を点検することで不適正な保管状況が見つかったりすることもある。このような現在の取組に加えて、システム化をしっかりと進めて、証拠物件の保管状況について遺漏の無いようにしてまいりたい」旨の説明があった。

委員長より、「証拠物件は、どのように保管されているのか」旨の発言があり、刑事局長から、「警察署には証拠物件の保管スペース、保管庫があり、基本的には、一つの事件について段ボールやビニール袋などに入れている。大きな事件になると、その段ボールが多数に及ぶこともある。また、DNA型鑑定が必要な資料については、再鑑定に備えて、冷凍庫の中で保管している。各都道府県警察により、少し長期に保管が必要なものや、車両等の長大物件などを別の施設で一括保管しているという状況もある」旨の説明があった。

川本委員より、「一般に、保管庫の広さはどのくらいか。また、保管用の段ボールは、規格を定めた専用のものか」旨の発言があり、刑事局長から、「一括保管のための施設については、例えば、警察本部以外の警察施設でかなり広いスペースを確保しているところもある」旨、官房長より、「証拠物件保管用の専用の段ボールや組み立て式の保管用ケースを整備している都道府県警察もある」旨の説明があり、川本委員より、「本来ならば、保管庫のスペースの空き状況を把握して、計画的にスペースを確保していくものだが、警察ではそのようにしているのか」旨の発言があり、長官から、「各都道府県警察で行っている」旨の説明があった。

委員長より、「更に知恵を出して、適正な証拠物件の保管に頑張っていただきたい」旨の発言があった。

 

(3)平成29年上半期における刑法犯認知・検挙状況について【暫定値】

生活安全局長及び刑事局長から、平成29年上半期における刑法犯認知・検挙状況について報告があった。

安藤委員より、「重要犯罪の検挙率が8割に達しているのは、大変頼もしいと思う。科学的捜査や捜査支援の推進のほか、防犯カメラが被疑者特定の端緒として非常に有効に機能していることが大きいと思うが、あまり整備されていない地域もあると聞いているので、防犯カメラの有効性についてもっと情報発信するべきである。また、重要犯罪の一つの略取誘拐では、実の親子間での犯罪も現れてきているとのことだが、家族内、夫婦間のトラブルから発展していることの現れだと思うので、その点を関係機関に情報提供し、注意喚起をしてもらいたい」旨の発言があった。

川本委員より、「イベント関連のチケット詐欺は、特定の芸能人グループに集中しており、防犯対策の対象が限られることから、何らかの対策を講じることができるのではないか」旨の発言があり、生活安全局長から、「まずは被害防止のための広報・啓発をしっかりと実施し、委員から御指摘があった「特定の」という点についても、研究をしていきたい」旨の説明があった。

 

(4)2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けたセキュリティ情報センターの設置について

警備局長から、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、7月24日から同大会終了までの間、警察庁にセキュリティ情報センターを設置することについて報告があった。

奥野委員より、「ここで扱う情報は、特に海外関係の情報が重要な位置を占めると思う。国際リエゾンセンターを設置するとのことだが、外国の治安情報機関との連携、協力関係の構築はすぐにできるものではないので、早い段階から準備を進めていただきたい」旨の発言があった。

 

(5)革労協反主流派非公然活動家による爆発物取締罰則違反事件の検挙について

警備局長から、25年11月に発生した米軍横田基地に向けた飛翔弾発射事件について、警視庁が革労協反主流派非公然活動家を本年7月14日に爆発物取締罰則違反事件で通常逮捕した旨の報告があった。

 

(6)皇太子殿下の平成29年度全国高等学校総合体育大会御臨場等に伴う警衛警備について

警備局長から、7月27日から29日までの間、平成29年度全国高等学校総合体育大会御臨場等のため、皇太子殿下が山形県へ行啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する旨の報告があった。