定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成29年10月12日(木)

午前10時00分 午前11時20分

 

 

第2 出席者 小此木委員長、奥野、北島、木村、安藤各委員

坂口長官、三浦官房長、山下生活安全局長、樹下刑事局長、

桝田交通局長、松本警備局長、村田情報通信局長

露木組織犯罪対策部長

 

 

第3  議事の概要

 

1 議題事項

(1)平成30年警察白書の構成について

官房長から、平成30年警察白書の構成について説明があり、原案どおり決定した

木村委員より、「トピックスについてだが、国民に意識してもらいたいその時々の課題を取り上げているという理解でよいか」旨の発言があり、官房長から、「そのとおりである」旨の説明があった。

安藤委員より、「引き続き、専門性の高い内容でも一般向けに分かりやすい記載となるように作成していただきたい」旨の発言があり、官房長から、「その点は、よく心がけてまいりたい」旨の説明があった。

 

(2)犯罪被害者等給付金の裁定(青森県・埼玉県)に対する審査請求事案の審理状況及び裁決について

官房長から、犯罪被害者等給付金の裁定に対する審査請求事案の審理状況及び裁決について説明があり、原案どおり決定した

 

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)平成29年度全国警察柔道大会及び全国警察剣道大会の開催について

官房長から、10月17日に平成29年度全国警察柔道大会、10月16日に平成29年度全国警察剣道大会がそれぞれ開催される旨の報告があった。

 

(2)古物営業の在り方に関する有識者会議の開催について

生活安全局長から、「古物営業の在り方に関する有識者会議」を開催する旨の報告があった。

木村委員より、「営業場所の規制緩和要望の中で、マンションのエントランス等のほか百貨店等のイベント会場も認めてもらいたいとの意見もあるようだが、古物営業を規制している趣旨からすると、これらは場所のオープン性も異なるので一緒に扱うことはできないのではないか」旨の発言があり、生活安全局長から、「古物営業法の目的は、盗品等の売買の防止及び速やかな発見であることから、古物商に対し、相手方の本人確認や取引内容の帳簿記載、不正品を発見した場合における警察への申告等、法律上の義務が課されており、受取の場所についても、これら義務が適切に履行されることを確保する観点から、営業所又は相手方の住所、居所に制限されている。他方、顧客や古物商の便宜上、集合住宅のエントランスや百貨店のイベントスペース等で買取りをできるようにしてほしいという要望が出ており、御指摘のとおり、場所の性格等が違う点もあるが、それらも含めて、各方面の専門家の皆様に御議論いただきたいと考えている」旨の説明があった。

安藤委員より、「古物営業では、個人事業者が法人事業者よりも多いのか。また、今回の有識者会議では、規制緩和要望のある複数の都道府県にまたがる事業者からの許可申請の効率化や古物営業の場所の緩和以外に検討するテーマは予定されているのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「許可件数は、個人が約50万件、法人が約20万件と個人の方が多い。また、本会議では、主として許可制度の在り方について御議論いただくこととしているが、検討内容をこれに限定するというものではなく、幅広く御議論いただくこととしている」旨の説明があり、安藤委員より、「個人事業者と法人事業者とのニーズの差が出てくるだろうが、全体としてどうするかという点から議論をしていただければと思う」旨の発言があった。

奥野委員より、「全国展開をする大手業者が増え、そうした業者からの要請を踏まえて、有識者会議では、許可手続きの簡素化を含めた古物営業法の見直し等を中心に議論されるものと理解している。一方、最近は、フリーマーケットアプリの提供事業者等が運営するインターネット上のフリーマーケット等で、多くの盗品が出品されているとの指摘もあるが如何か」旨、木村委員より、「アプリを提供してインターネット上でフリーマーケット等を運営する業者は、古物営業法の対象とはならないのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「フリーマーケットのサイトやアプリは、インターネット上において個人間で直接に物を売買する場を提供するものであり、また、その方法が競りによるものではないため、古物営業法の規制の対象にならない。一方で、インターネットに係る犯罪防止は警察にとって大きなテーマであることから、生活安全局としても各種取組を推進しているところであり、サイト運営者等と必要に応じて意見交換を行うなど、連携を密にしている」旨の説明があった。

 

3 その他

(1)組織犯罪対策部長から、国際犯罪組織による不正資金獲得・資金洗浄の実態と対策について報告があった。

木村委員より、「21世紀になってから、社会と同様に犯罪マーケットもグローバル化、情報化が進んでいるが、その中で、日本人が国際犯罪組織と結び付いている例も多いのではないかと思う。さらに、犯罪インフラの整備は日本人が行い、犯行自体は外国人が行うなど、それぞれで役割分担しているようだ。そのような状況を踏まえないと、末端の実行犯を捕まえて満足するなど本質を外してしまう可能性もあるので、注意して対策を講じる必要がある。一方、暴力団等日本の犯罪組織も海外に進出し、海外の犯罪組織と結び付いていると聞く。警察は、暴力団の海外進出をどのようにとらえているのか教えていただきたい」旨の発言があり、組織犯罪対策部長から、「御指摘のとおり、日本の暴力団が海外の密売組織との間で行う薬物取引の事例を始め、国内の犯罪組織と海外の犯罪組織との結節点がどのようになっているか、警察として、海外の捜査当局とも連携しながら視察していくといった取組は非常に重要であると認識している。個々の事件処理に終始することなく、今後も犯罪組織の背後関係を追及するための取組を強化してまいりたい」旨の説明があり、木村委員より、「今後、2020年東京オリンピック・パラリンピック大会も控えて、犯罪マーケットが拡大するとともに、様々なプレーヤーが現れて複雑化する中で、捜査がしにくくなっていくのではないかと思う。いろいろと考えながら対策を講じていただきたい」旨の発言があった。

北島委員より、「先日、茨城県に視察に行った際、全国に先駆けて、茨城県公安委員会が所管するいわゆるヤード条例を制定し、実態解明等ヤード対策が進んでいるとのことだった。このような犯罪インフラ対策を様々な分野で進めていけばよいと思う」旨の発言があり、組織犯罪対策部長から、「千葉県においても知事部局が所管するヤード条例が制定されているが、都道府県の公安委員会が所管しているという意味では、茨城県のヤード条例が初である。盗難自動車の保管・解体場所等の犯罪の拠点となっている一部のヤードに対応する上での実効性を確保する観点から、公安委員会が所管する条例は重要であると考えており、先進的な事例として、全国にも紹介しているところである」旨の説明があった。

奥野委員より、「来日外国人犯罪の検挙状況を見ると、国籍別の検挙人員の上位には入っていないナイジェリア人の一部に海外の犯罪組織との関係がうかがわれる点が気になる。暴力団等の犯罪組織と連携するなど、日本の犯罪社会に浸透していくおそれもあるので、しっかりと警戒していだたきたい」旨の発言があり、組織犯罪対策部長から、「日本に在留するナイジェリア人の絶対数が少ないこともあり、ナイジェリア人の検挙は国別の検挙人員としては上位には入らず、表面的には目立たない。ただ、御紹介した「国際的マネー・ローンダリング」に関する事例にもあるとおり、ナイジェリア人らによる国際的詐欺に係るマネ・ロンは、国際的にも非常に大きな課題であり、例えば、米国においても、同種詐欺事件の被害が大きな問題になっている。こうした犯罪は、国際的に国境をまたいで敢行されるものであることから、関係する外国捜査機関と緊密に連携して情報交換を行っていくといった取組を推進していくことは、今後さらに重要となってくるものと認識している」旨の説明があった。

安藤委員より、「海外から見ると、日本は魅力的な国だが、犯罪組織にとっても魅力的なターゲットと見られているようだ。各種対策を一つ一つ講じていき、犯罪組織からは魅力的ではない国と見られるように取り組んでいただきたい」旨の発言があった。