定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成29年11月2日(木)

午前10時00分 〜 午前11時40分

 

 

第2 出席者 小此木委員長、奥野、川本、北島、木村、安藤各委員

坂口長官、栗生次長、三浦官房長、山下生活安全局長、樹下刑事局長、桝田交通局長、松本警備局長、村田情報通信局長

 

 

第3  議事の概要

 

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、11月28日付け地方警務官4名の人事案件について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)警察庁長官等の評価について

警察庁長官等の評価を実施した。

 

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)平成29年度全国警察逮捕術大会及び全国警察拳銃射撃競技大会の開催について

官房長から、11月17日に平成29年度全国警察逮捕術大会及び全国警察拳銃射撃競技大会が開催される旨の報告があった。

 

(3)最近の適格都道府県センターによる暴力団事務所使用差止請求について

刑事局長から、最近の適格都道府県センターによる暴力団事務所使用差止請求について報告があった。

安藤委員より、「暴力団の本部事務所に対する使用禁止等仮処分命令の申立てが成功したことは良かった。10月初めに請求して同月中に仮処分命令が決定したのは、とてもスピーディであり、恐らく裁判所にも緊迫感が伝わるような疎明資料を提出できたためだと思う。適格センターが今後ますます機能することを期待するとともに、地域住民の安全・安心を守るための運動がしっかりと展開されるよう、警察も支援していただきたい」旨の発言があり、刑事局長から、「本仮処分命令が迅速に決定された理由としては、六代目山口組の分裂に伴う対立抗争に起因するとみられる事件等が発生したことが背景にあり、付近住民の人格権の侵害が比較的認められやすい状況であったということに加え、今回の仮処分の申立てで6例目ということもあり、仮処分の申立ての際に示すべき事項が整理されてきたことなどが考えられる」旨の説明があった。

北島委員より、「この種の運動への支援も含めて、最近、暴力団対策が様々な形で進められていることを歓迎したい」旨の発言があった。

奥野委員より、「暴力団にとって、活動拠点であり、組織の象徴ともなる本部事務所が使用できないことは大きな打撃だ。今回、福井県及び兵庫県において使用禁止等の仮処分命令の決定がなされたことは、全国に設置した暴追センターの活動が定着したことの現れと見ている。暴力団からの報復を恐れる地元住民にとって、暴追センターは心強い存在ではあるが、その背後で住民を守る警察があってこそ、こうした動きも可能となる。他の都道府県でも、暴力団事務所の撤去を進めてほしい」旨の発言があった。

 

(4)上尾市議会議長、上尾市長らによるあっせん収賄等事件の検挙について

刑事局長から、ペットボトル結束機運転管理業務の一般競争入札に関し、上尾市議会議長が、請託を受け、最低制限価格等の教示を上尾市長にあっせんする報酬として現金を収受した事件について、10月30日に埼玉県警察が上尾市議会議長をあっせん収賄・官製談合防止法違反等で、上尾市長を官製談合防止法違反等でそれぞれ逮捕するなど4名を通常逮捕した旨の報告があった。

北島委員より、「平成28年度実績評価書の中で、「政治・行政・経済の構造的不正の追及の強化」の業績目標は「進展が大きくない」との評価だったが、今年度は、山梨県での市長の逮捕に続き、実績を挙げた。今回の埼玉県警察も非常に頑張ったと思う」旨の発言があり、刑事局長から、「本日現在の贈収賄事件の検挙事件数は、前年に比べ増加している」旨の説明があった。

奥野委員より、「近年、捜査第二課の捜査力が劣化しているのではないかと懸念しているが、山梨県に続く市長逮捕の汚職事件の摘発を評価したい。汚職事件捜査は忍耐力の勝負でもあり容易ではないが、こうした汚職事件への積極的な取組が全国の県警にも広がるよう期待している」旨の発言があり、刑事局長から、「しっかりと取り組んでまいりたい」旨の説明があった。

 

(5)複数の被害者に係る死体遺棄等事件の発覚と被疑者の検挙について

刑事局長から、10月30日に神奈川県座間市内のアパートの一室内において複数の死体が発見された事件について、警視庁が同室に居住する男を死体遺棄罪で10月31日に通常逮捕した旨の報告があった。

北島委員より、「G7関係閣僚会議で決定した国際テロ対策におけるインターネット悪用防止と同様の議論が、本件を受けて国内でも出てくるのではないかという印象を受けた」旨の発言があった。

木村委員より、「犯罪に巻き込まれるおそれがあるにもかかわらず、自殺願望がある者がSNS等で自分の気持ちを表わすことが多いことから、SNS等に向かわないよう、地方自治体やNPOが相談窓口を設けるなどして対応できる仕組みを構築してもよいのではないか。若い世代は悩みが多いものなので、彼らを救うために社会全体で考えていく必要がある」旨の発言があった。

安藤委員より、「有害、違法な情報が書きこまれている場合にはプロバイダに削除を求めることができるような仕組みを構築することを推進してもらいたい。この種の書き込みを把握することはなかなか難しいかもしれないが、どのように対応するべきか、是非、考えていただきたい」旨の発言があり、刑事局長から、「今回の事件は、いわゆる自殺サイトではなく、SNSを利用したものである。そのSNSでは、ハッシュタグで「自殺願望」、「自殺仲間」といったキーワードを検索すると、関連する投稿が表示される。今回の事件で利用されたSNSの管理会社のポリシーでは、自殺等をほのめかす内容が投稿されたとの報告を受けた場合、支援のため、例えばメンタルヘルスパートナーの連絡先の情報を伝えたりするなど、さまざまな対応を行っているようである。今回の被疑者がどういう形で被害者にアプローチしたかというのは、今後の捜査を待つべきところはあるが、こうした状況を踏まえ、捜査を進めてまいりたい」旨の説明があった。

北島委員より、「有害情報や違法情報はインターネット・ホットラインセンターに通報されるが、警察でもそうした情報を把握する仕組みは無いのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「御承知のとおり、違法情報及び有害情報については、インターネット・ホットラインセンターで通報を受けており、違法情報については警察に通報され、有害情報については、インターネット・ホットラインセンター受託事業者により、サイト管理者等に対して削除依頼がされている。今回の事件に関連するものでは、「人を自殺に誘引・勧誘する情報」は有害情報となる。警察においても、インターネット利用者からの通報等で、「人を自殺に誘引・勧誘する情報」を認知した場合、サイト管理者等に対して削除依頼を行っているところである」旨の説明があった。

木村委員より、「SNS等に犯罪に繋がるような有害情報があった場合、悪質性や犯罪かどうかの判断は難しいと思うが、警察が行動を起こすことはあるのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「緊急性の高い情報については、プロバイダ等への発信者情報の開示に関する協力依頼を行い、発信者の人命救助を行っている。例えば、書き込みの内容から、自殺決行の日時が切迫していると認められるような場合である。協力依頼を受けたプロバイダ等は、電気通信事業者4団体が策定しているガイドラインを判断基準として対応している。このような仕組みは、現に構築されている。この仕組みにより、自殺を防いだ例は、年に数十件ある」旨の説明があった。

奥野委員より、「まだ捜査中なので、被疑者が本当に自殺を手助けしようと被害者に接触したのか、又は殺人目的で相手を物色していたのか判然としないが、今回の事件で、SNS等を通じて見知らぬ人間と簡単に接触する若い人たちの無防備な感覚を実感した。かつて大久保清連続殺人事件では、路上で見知らぬ男に誘われた若い女性が次々と被害に遭ったが、今はインターネット上の仮想空間なら、見知らぬ人に誘われても警戒心を持たないのかと疑問を覚える。現代社会の新たな問題点として、若い人への教育を徹底すべきだとも考える。犯行の状況、動機等はまだ明らかになっておらず、どこまで被疑者の供述が得られるか分からないが、極めて異常な犯行であり、被疑者の人間像、人格形成等の徹底捜査をお願いしたい」旨の発言があった。

 

(6)福岡市中央区における多額強盗致傷等事件の検挙について

刑事局長から、4月20日に福岡市中央区所在の駐車場内において現金3億8,400万円が強取されるなどした事件について、福岡県警察が被疑者ら9名を強盗致傷罪等で10月31日に通常逮捕した旨の報告があった。

 

(7)改正道路交通法の施行後6月の状況について

交通局長から、3月に施行された改正道路交通法の施行後6月の状況について報告があった。

川本委員より、「今回の改正道路交通法の施行の結果、高齢者の交通事故が減少している点はとても良いと思う。一方、一部の報道では、交通死亡事故における高齢者のシェアが減少し、テクノロジーが進歩しているにもかかわらず、高齢者から運転免許を取り上げることに警察庁がまい進しているとの批判も見られるので、警察庁は、この施策にどのくらいのコストがかかっていて、どのくらいの効果が得られたかということを国民に伝えるべきだと思う」旨の発言があった。

北島委員より、「政府全体で規制緩和を進めている中、警察庁が関係する重要な案件だった準中型自動車免許の新設については、一定の取得者があったことを評価したい」旨の発言があった。

木村委員より、「概ね計画どおりに進んでいると思う。今後は、高齢者の運転免許制度等も含め、どのような方向で進めていこうと考えているのか」旨の発言があり、交通局長から、「高齢運転者対策については、引き続き、改正道路交通法の施行状況について注視するとともに、現在開催している「高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議」分科会の結果も踏まえ、更なる対策を講じていく必要があると考えている」旨の説明があった。

 

(8)「公式実務訪問賓客」トランプ・アメリカ合衆国大統領夫妻来日に伴う警護警備について

警備局長から、11月5日から7日までの日程で、「公式実務訪問賓客」としてトランプ・アメリカ合衆国大統領夫妻が来日する予定であり、これに伴い、所要の警護警備を実施する旨の報告があった。

 

(9)安倍内閣総理大臣のベトナム社会主義共和国(APEC)及びフィリピン共和国(ASEAN)歴訪に伴う警護警備について

警備局長から、11月9日から15日までの間、APEC(アジア太平洋経済協力)及びASEAN(東南アジア諸国連合)出席のため、安倍内閣総理大臣がベトナム社会主義共和国及びフィリピン共和国を歴訪予定であり、これに伴い、所要の警護警備を実施する旨の報告があった。

 

3 その他

(1)交通局長から、内閣府が実施した「運転中の携帯電話使用に関する世論調査」の結果について報告があった。

奥野委員より、「今回の調査は、内閣府が実施する世論調査の附帯調査として実施したとのことだが、調査方法は、日中に個別訪問しての対面方式だと聞いた。この時間帯に在宅しているのは高齢者が多く、運転中に携帯電話を使用することが多いと思われる若中年世代は少ないため、調査結果が運転者全体を反映したものにはなっていないのではないか。改めてしっかりとした調査ができないか検討を願う。質問事項も、「ヒヤリ・ハット経験の有無」、「公私用の区別」等更に知りたい項目も加えたらどうか」旨の発言があり、交通局長から、「調査結果では、70歳以上の人のうち43.6%が運転免許を持っていないと答えているため、調査結果の分析に当たっては、こうした点も考慮しなければいけないと考えている。調査結果等を踏まえながら、引き続き、運転中の携帯電話使用等対策を推進してまいりたい」旨の説明があった。

木村委員より、「今回の調査結果でも、ある程度の傾向は出ていると思う。運転中に携帯電話を保持せずに画面を注視する行為についても厳罰化を検討してもよいと思う。また、運転中に携帯電話を使用すると処罰される可能性があることを知らない人が約14%いるという結果を踏まえると、広報啓発を更にしっかりと進めていく必要がある」旨の発言があった。

川本委員より、「ほとんどの人が処罰される可能性があることを知っているにもかかわらず、携帯電話を使用している人が一定数いるのは、ペナルティが不十分だからではないかとも思われる。調査結果の広報に当たっては、これから国民に訴えるべきメッセージを明確にして伝えてもらいたい」旨の発言があった。

安藤委員より、「携帯電話使用を防止するために特に有効な対策として、ペナルティの強化を挙げている人が多いが、ペナルティの強化の前提として、運転中に携帯電話を使用することは、悪質・危険な行為であり、処罰される可能性があるということを国民に十分に理解してもらうことが重要である。厳罰化できる程度に国民の意識を高めるよう働きかけていくことが必要だと思う」旨の発言があった。

 

(2)警備局長から、「南海トラフ地震に関連する情報」が発表された際の政府対応の決定を受けた警察庁の対応等について説明があった。

木村委員より、「東海地震の予知は難しいということを前提に対応していくということか」旨の発言があり、警備局長から、「「南海トラフ沿いの地震観測・評価に基づく防災対応検討ワーキンググループ」による「大規模地震対策特別措置法に基づく警戒宣言後に実施される現行の地震防災応急対策が前提としている確度の高い地震の予測はできないのが実情である」等との報告を踏まえたものであるが、他方で、南海トラフ沿いでは、これまでおおむね100〜150年の周期で大規模地震が発生しているところ、前回の大規模地震から既に70年以上が経過し、南海トラフ全体で大規模地震の切迫性が高いとの認識に至っているほか、近年の観測網の整備により様々な現象が捉えられるようになってきていることから、今回の「南海トラフ地震に関連する情報」を発表するとしたものと承知しており、警察庁としても、当面の間の政府対応に対し、的確に対応してまいる所存である」旨の説明があった。