定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成29年11月9日(木)

午前10時00分 〜 午前11時30分

 

 

第2 出席者 小此木委員長、奥野、川本、北島、木村、安藤各委員

坂口長官、栗生次長、山下生活安全局長、樹下刑事局長、桝田交通局長、松本警備局長、村田情報通信局長

中村総括審議官

 

 

第3  議事の概要

 

1 議題事項

(1)不動産特定共同事業法の一部を改正する法律の施行に伴う関係国家公安委員会規則の整備に関する規則案について

刑事局長から、不動産特定共同事業法の一部を改正する法律の施行に伴い整備される関係国家公安委員会規則案及び同規則案に対する意見の募集結果について説明があり、原案どおり決定した

 

(2)「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」に対する意見の募集について

交通局長から、外国人運転免許制度の対象国としてエストニア共和国を追加すること及び運転免許等に関する手数料の標準を見直すことを内容とした「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」に対する意見の募集について説明があり、原案どおり決定した

川本委員より、「当初の意見募集を求める資料案では、エストニア共和国の運転免許制度が「我が国と同等の水準にあると認められる」と判断された根拠が記載されていなかったので、書き加えてもらった。意見公募の際には、立案の基となる判断の根拠を記載するべきである」旨の発言があった。

安藤委員より、「外国人運転免許証等に関する規定は分かりにくいが、資料案では、分かりやすく説明されていると思う。外国人運転免許制度の対象への追加要請の無い国は、他の制度により日本国内での運転が認められているということなのか」旨の発言があり、交通局長から、「基本的には、ジュネーヴ条約締約国であって、同条約に基づく国際運転免許証を発給している国であれば、当該運転免許証の発給を受けるなどにより、日本国内での運転が認められる。現在、具体的な要請があるのはエストニア共和国のみであるが、インバウンドを増やすという政府方針のもと、今後新たに要請があった場合には、適宜適切に対応してまいりたい」旨の説明があった。

 

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

総括審議官から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)天皇皇后両陛下の鹿児島県行幸啓(地方事情御視察)に伴う警衛警備について

警備局長から、11月16日から18日までの間、地方事情御視察のため、天皇皇后両陛下が鹿児島県へ行幸啓になる予定であり、これに伴い、所要の警衛警備を実施する旨の報告があった。

 

3 その他

(1)生活安全局長から、いじめ問題の現状と警察における対応について報告があった。

木村委員より、「いじめ問題に対する関係機関の共通の認識作りが少しずつ進んでおり、非常に良いと思う。ただ、子供がいじめを受けていると判断しているかどうかを把握することは非常に難しく、どのように子供との対話を重ね、普段から接点を持って、それを把握できるかが課題である。いじめ問題に対しては、学校が主体ではあるが、警察も含めた社会、さらには家庭が三位一体となって取り組むことが重要だと思う」旨の発言があった。

北島委員より、「これまでの取組を今後も続けていってもらいたいが、特に、スクールサポーター制度については、予算的な制約もあると思うが、地方の公安委員会委員からも評価されており、拡充できれば良い」旨の発言があった。

奥野委員より、「いじめ防止対策推進法がいじめを広範囲に定義し、ちょっとしたけんかやふざけ合いも含まれるようになったため、いじめの認知件数が大幅に増加したが、それらについては、学校現場の教師が対応するのか、スクールサポーターの対応も増えるのか」旨の発言があり、生活安全局長から、「早い段階でいじめの芽を摘んでいくことは一義的には学校現場で対応となる。深刻ないじめが把握された場合は、スクールサポーターの対応が必要となるところ、早期の軽い段階での学校の組織的対応が進んできていることから、認知件数全体の増加が即スクールサポーターの業務の増加につながることはないと考えている。スクールサポーターは、普段から各学校を巡回し活動していることから、そのような取組について関係機関と情報共有する等取り組んでまいりたい」旨の説明があり、奥野委員より、「各県の公安委員会委員からも、スクールサポーターの増強を求める声が強い。本年度当初には全国で862人が配置されており、多くの地域で好評だと聞くが、人数や取組については、都道府県間の温度差がある。予算の問題もあるが、長年少年非行対策に取り組んできた警察OB等をもっと活用し、スクールサポーターを増強できないだろうか」旨の発言があり、生活安全局長から、「スクールサポーターについては、地方財政計画上の措置はされているが、実際には、それぞれの都道府県警察で予算を確保しなければならないところ、昨年の1年間でも多くはないが増員されるなど各都道府県警察において体制強化に向けた努力をしているところである。今後とも各都道府県警察の実情を踏まえて、取組を進めるよう指導してまいりたい」旨の説明があった。

安藤委員より、「警察が学校と連携していることは、いじめに遭っている子供を抱える家庭やいじめ問題への対応に苦慮している教師にとって非常に心強いと思うので、連携を強化していただきたい。また、スクールサポーターによる好事例については、小さなことでも全国で共有してもらいたい」旨の発言があった。

川本委員より、「スクールサポーターのどのような機能が評価されているのかを明確にできないか。スクールサポーターの拡充ばかりを目指すことは現実的ではないことから、それが評価されている機能を明確にして、学校の教師側にその機能を付加することで問題解決につなげられるのではないのかと思う」旨の発言があった。

委員長より、「人とコミュニケーションをとって思いを引き出すというのは、資格や技術という面でとらえるのは難しい面もあると思う。PTAと警察、地域の人達も含めてよく話し合えば、対応の仕方も見えてくるのではないか」旨、木村委員より、「子供とコミュニケーションをとるということでは、町内会等のいろいろな既存の組織を活用することも考えられるのではないか」旨の発言があった。

 

(2)交通局長から、自動運転の実現に向けた取組について報告があった。

木村委員より、「徐々に進展が見られており、非常に好ましい。来年、ドイツでは、レベル3の実証実験を始めると聞いたがどうか」旨の発言があり、交通局長から、「ドイツでは、実証実験ではなく、レベル3に対応するような形で自国の道路交通法を改正しているものである。他方で、現在は、車両の型式認定に係る検討が行われており、来年にレベル3の機能が利用可能になることを目指しているものと承知している」旨の説明があり、木村委員より、「日本は2020年を目標としているので、2年の差が生じている。日本でのイノベーションの速度を速めていかないと諸外国に遅れてしまうのではないかと心配する」旨の発言があり、交通局長から、「技術開発の進展に合わせて制度整備が進むよう取り組んでまいりたい。そのためにも、自動車メーカー等とも連携を図ってまいりたいと考えている」旨の説明があり、川本委員より、「そうであれば、5年後、10年後に向けて警察庁として主体的に取り組まなければならない論点は何かというように、時間軸が設定された論点整理が本日の説明でも示されるべきではないか」旨の発言があり、交通局長から、「現在、2020年に向けた制度改正の大綱を本年度に策定することを踏まえ、論点整理を行っている。今回の論点整理を通じて、さらに将来に向けてどのような取組が必要となるかを検討してまいりたい」旨の説明があった。

北島委員より、「自動運転に関する基準についての国際的な議論はしっかりと進められているのか」旨の発言があり、交通局長から、「我が国を含む各国が積極的に議論を進めるべく取り組んでいるところである」旨の説明があった。

安藤委員より、「レベル2からレベル3への移行は、法的にも制度的にも非常に大きな転換であり、今、レベル3になった場合に想定されることを検討し、手当てし、その後にも対応できるようにしていくことが非常に重要である。スピード感を持って進められるように期待する。ここが正念場ではないかと思う」旨の発言があり、交通局長から、「レベル3では、レベル2とは異なる点がある一方、システムから運転者への運転の委譲があり得るなどの特徴がある。その意味では、移行期という位置付けであると考えている」旨の説明があった。

奥野委員より、「ジュネーブ条約で定める自動運転に関する基本的なルール作りには、日本も積極的に参画している。各国によって道路交通事情は異なっているが、自動運転に向けた日本の法整備では、こうした日本固有の道路交通事情も配慮した内容になるのか」旨の発言があり、交通局長から、「具体的にどのような自動運転システムが実現しているかに合わせた法整備が必要になると考えている。他方で、国際的な議論においても、将来的にどのような自動運転システムが実現するかを見越して議論を行うことは容易ではないという認識がある」旨の説明があり、奥野委員より、「レベル5も含め、自動運転の将来については明確に見通せない部分もある。自動運転構想の一部の計画には、世界的にも技術開発の進展や社会的ニーズを越えた先走り感があるように思える。日本警察としては、安全確保のためにも、技術開発の進ちょく度合いを見据えつつ、必要な施策を進めてもらいたい」旨の発言があった。