定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成30年3月1日(木)

午前10時00分 〜 午前10時55分  

 

 

第2 出席者 奥野、川本、北島、木村、安藤各委員

栗生長官、三浦次長、松本官房長、山下生活安全局長、樹下刑事局長、桝田交通局長、村田警備局長、村田情報通信局長

 

 

第3  議事の概要

 

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、3月15日付けを始めとする地方警務官159名の人事案件について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案について

    官房長から、成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案について説明があり、原案どおり決定した。

安藤委員より、「国家公安委員会規則等で、それぞれの法の趣旨・目的に沿った欠格事由を定めるとともに、運用面でも十分な指導をお願いしたい」旨の発言があり、官房長から、「適切に対応してまいりたい」旨の説明があった。安藤委員より、「警察庁の所管外ではあるが、成年後見制度については、今後、より利用者の利益に適う使いやすい制度に向けた検討がされることを期待したい」旨の発言があった。

 

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)監察の取扱い事案について

官房長から、大阪府警察の巡査部長による道路交通法違反等事案に関し、同府警察は同巡査部長を、千葉県警察の巡査による強制わいせつ等事案に関し、同県警察は同巡査を、それぞれ3月1日及び3月7日に免職処分とする予定である旨の報告があった。

 

(3)兵庫県三田市居住の行方不明女性にかかる死体遺棄等事件の検挙について

刑事局長から、兵庫県三田市に居住する女性の行方不明事案について、大阪市内の集合住宅の一室において同女の死体を損壊した上、別の集合住宅の一室に遺棄したとして、兵庫県警察が米国国籍の男を2月28日に死体遺棄罪等で通常逮捕した旨の報告があった。

北島委員より、「宿泊施設の関係は厚生労働省等の管轄だが、警察庁として、本件捜査を踏まえて何か注意喚起できるようなことがあるか関心がある」旨の発言があった。

奥野委員より、「最近はネット予約が多いこともあり、宿泊者記録の備付け等の指導が必要ではないか。また、昨秋の座間事件と共通のものを感じる。こうした行方不明事案について相談があったときは、捜査員が事件性の有無をどう感知するかが重要な要素となるが、座間事件以降、行方不明事件の相談の取扱いについて、新たな指示をしているのか」旨の発言があり、刑事局長から、「宿泊者名簿の備付け等は、厚生労働省等の所管省庁において、関係法令に則りしかるべく指導されるものと考えている。また、機会あるごとに、行方不明事案の事件性の有無を的確に判断するよう指導しており、現場の意識は高まっていると思う」旨の説明があった。

 

(4)山口組系暴力団をめぐる最近の情勢について

刑事局長から、六代目山口組等の最近の情勢について報告があった。

北島委員より、「六代目山口組の分裂等も含めて、現在の暴力団情勢をマクロ的にはどのように見ているか」旨の発言があり、刑事局長から、「様々な暴力団対策が講じられた結果、資金獲得活動が容易ではなくなり、従来のような組織運営が困難になってきたということが大きな背景としてあり、それが山口組の分裂にもつながっているのではないか」旨の説明があった。

 

3 その他

議事終了後、3月4日をもって任期満了となる奥野委員より、「この5年間、多くの方々に支えられて任期を終えることができた。私は、定例会議での発言を通して、一般社会の動静を見つつ、自分なりの考えを示そうとしてきた。個々の事案についても詳しく説明を求めたので、結果として、従来は知り得なかった警察組織、警察活動の実情を多少なりとも把握できたのではないかと思っている。警察は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの警備のほか、国際テロ対策、サイバーセキュリティ対策、ネット社会特有の様々な新しい犯罪への対策等、多くの問題を抱えている。また、どのような有事に際しても失敗が許されないのが警察であり、そのために日ごろからの訓練と準備が必要だと思うが、過去にも数々の難しい問題を乗り越えてきた伝統と歴史があるので、これからも様々な困難に立ち向かって、必ずや日本の治安の安定を確保してくれるものと願っている。日本の警察は、基本的には、国民の信頼も厚く、たいへん優秀かつ民主的な組織だと考えている。ただし、警察は、油断すると、強権的で独善に陥る危険性を抱えていると思う。世界に冠たる警察であると同時に、今後も政治からの中立性を維持しつつ、批判の声に謙虚に耳を傾ける民主的な警察であってほしいと願っている。最後に、幹部の方々はもちろん、特にこれから将来を支えていく若い警察職員の奮闘を期待して、私の離任の挨拶としたい。ありがとうございました」旨の挨拶があった。

委員長が定例会議を欠席したため、川本委員より、「奥野委員には、平成25年3月から5年間、国家公安委員会委員の重責を果たしていただいた。平成25年は、刑法犯認知件数などにおいて治安の改善が見られる一方、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が決定したほか、サイバー犯罪の被害が深刻さを増すなど、治安上の新たな課題への対応が求められていた時期であった。就任以来、現在に至るまで、豊富な経験と高い御見識に基づき、治安対策上の諸課題についていろいろな視点から御指摘・御示唆を頂いた。とりわけ、時代に即した捜査力の強化、高齢者の交通安全対策に関する御示唆を頂いた。さらに、全国各地で公安委員会委員との意見交換を積極的に行われたほか、各都道府県警察の視察を通じて、職員の士気高揚にも配意していただいたところである。国家公安委員会の審議を大変充実したものとしていただいた御尽力に対し、厚く御礼を申し上げるとともに、今後益々の御健勝、御活躍をお祈り申し上げ、御挨拶といたしたい」旨の委員長の送辞の代読があった。