定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 平成30年7月19日(木)

午前10時00分 〜 午前11時25分

 

場 所 国家公安委員会室

 

 

第2 出席者 川本、北島、木村、安藤、小田各委員

栗生長官、三浦次長、松本官房長、山下生活安全局長、樹下刑事局長、桝田交通局長、村田警備局長、村田情報通信局長

藤本首席監察官

 

 

第3  議事の概要

 

1 議題事項

(1)「古物営業法施行規則の一部を改正する規則案」に対する意見の募集について

生活安全局長から、「古物営業法の一部を改正する法律」の一部の施行等に伴う所要の改正を内容とする「古物営業法施行規則の一部を改正する規則案に対する意見の募集」について説明があり、原案どおり決定した。

安藤委員より、「この機会に、非対面取引における本人確認のための措置を追加した点は評価したい」旨の発言があった。

 

(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、最近の国会の状況について報告があった。

 

(2)殉職事案の発生について

首席監察官から、7月6日に勤務先警察署から車両で帰宅途中、広島市内において被災者の避難誘導に当たっていたところ土砂崩れに巻き込まれた広島県警察の巡査長2名が、同17日までに遺体で発見された旨の報告があった。

 

(3)平成30年上半期の懲戒処分者数について

首席監察官から、平成30年上半期の懲戒処分者数について報告があった。

小田委員より、「懲戒処分の事由区分として「職務放棄・懈怠等」があるが、私行上の事案はどのようなものがあるのか」旨の発言があり、首席監察官から、「失踪事案などは私行上のものとなる一方、無断で本来の職場を離れ業務を怠るような事案は、業務上のものとして計上される」旨の説明があった。

木村委員より、「私行上、業務上を区分して統計をとっているが、どちらに重点を置いて減少させようとしているのか」旨の発言があり、首席監察官から、「特に業務上の事案は、警察の信頼に直接関わるものであり、業務方法の改善などの対策を講じ、減少させる努力をしてきたところであるが、引き続き継続していく必要があると考えている」旨の説明があり、木村委員より、「なかなか減少しないように思うが、さらに少しでも減らすためには、どこに対策を打つべきなのかを明確にして徹底して取り組む必要がある」旨の発言があった。

安藤委員より、「免職となっている事案が10件増加したのは何故か。また、それぞれの非違事案の真の原因究明のため、事案ごとに背景も含めて客観的、具体的に分析を行うことが必要だと思う。非違事案の情報共有の在り方についても、しっかりと現場で共有されているのかなどをよく把握し、更に工夫と改善を進めていただきたい」旨、北島委員より、「定年間近の年輩の職員が飲酒運転をして交通事故を起こし免職となる例が増えたような印象がある」旨の発言があり、首席監察官から、「30年上半期の免職は22人であり、飲酒運転による事案が増加している。また、懲戒処分事案を取り扱った府県警察において、その事案の概要や問題点をその他の府県と共有するようにしているほか、警察庁や管区警察局において各都道府県警察の担当者が集まった会議などでも議論している。私行上の事案が減少していないことから、その傾向を元に防止の取組を継続してまいりたい」旨の説明があった。

 

(4)平成30年度第1四半期監察の実施状況について

首席監察官から、「組織的な健康管理施策の推進状況」を全国統一実施項目として行った平成30年度第1四半期監察の実施状況について報告があった。

木村委員より、「心の健康づくりに関して、警察では、通常の業務の中で感じるようなストレスが溜まってきても、上司にはなかなか相談しにくいのではないか。こうしたストレスが蓄積して非違事案に繋がってくることもあると思うが、うまく解消・発散することができるようにするための制度的なものを考えてみてもよいのではないか」旨の発言があり、首席監察官から、「非違事案の背景として、ストレスを感じていたということを挙げる職員もいる。一部の県警察では、上司部下の関係はないが、比較的年齢が近く、出身の地域や学校が同じであるなど、ざっくばらんに話ができる関係にある職員が、若手職員をケアしサポートする取組も行われている」旨の説明があった。

川本委員より、「アルコールや喫煙による健康障害の防止対策の状況を対象としたのは非常に評価できると思う。警察はアルコールや喫煙の愛好者が多いように感じるが、健康管理はもとより、飲酒運転など非違事案防止の観点からも対策を徹底していただきたい」旨、木村委員より、「警察官としての責任の重さを感じ過ぎている職員もいるのではないか。ストレスから自暴自棄になってしまう例もあると思う」旨の発言があった。

安藤委員より、「警察庁では、庁舎内の喫煙に対する取組を何か進めているのか」旨の発言があり、次長から、「改正健康増進法により、基本的に行政機関は建物内が禁煙となるので、現在警察庁各階にある喫煙所は、改正法の施行を待たずに撤去する予定である」旨の説明があった。

 

(5)監察の取扱い事案について

首席監察官から、高知県警察の警部補による道路交通法違反事案に関し、同県警察は、同警部補を7月20日に免職処分とする予定である旨の報告があった。

 

(6)平成30年上半期における刑法犯認知・検挙状況について

生活安全局長及び刑事局長から、平成30年上半期における刑法犯認知・検挙状況について報告があった。

北島委員より、「刑法犯認知件数が、戦後最少だった昨年を更に下回った点を評価したい。重要犯罪については認知件数が増えているものも見られるが、検挙率が高水準を維持している点は良かった。詐欺の認知件数が減少に転じたが、これが継続されるようにしてもらいたい」旨の発言があった。

小田委員より、「振り込め詐欺の検挙人員で少年が増加しているが、どのような背景によるものか」旨の発言があり、刑事局長から、「受け子でも起訴されることが増え、受け子役を確保しづらくなったことから、少年を受け子役にするようになったためではないかと考えられる」旨の説明があった。

川本委員より、「殺人の認知件数に未遂のものが含まれていることを、広報の際には徹底していただきたい。今後とも、統計の取り方を含め、より対策に結び付くような分析を進めていただきたい」旨の発言があった。

 

(7)児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議における決定について

    生活安全局長から、7月20日の児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議において決定される予定の「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」について報告があった。

木村委員より、「必要な施策が出そろったと思うので、警察として児童相談所等との連携がより図られるよう、通達を発出するなどして積極的に進めていただきたい」旨の発言があった。

小田委員より、「現場レベルでは、親との信頼関係に影響することを恐れて、警察との連携が進まない児童相談所もあるようなので、早期の段階からどのように連携していくのかをもう少し検討する必要があると思う」旨、安藤委員より、「児童相談所側も警察の活動をうまく取り入れるようにするとともに、警察側も検挙だけでなく、ソフトに対応できるようなスキルを磨くべきではないか。また、児童相談所との実戦的な訓練も定期的に行っていただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「28都道府県において警察と児童相談所との情報共有に関する協定を締結しており、そのうち一部の県では、児童相談所と全件情報共有を実施している。現場では模索が続けられている状況であり、警察庁としても真摯に向き合ってまいりたい」旨の説明があった。

川本委員より、「情報共有の在り方には様々な意見があると思うが、必要な時に十分かつ行き過ぎないように提供されるよう注意していただきたい。日本ではソーシャルワーカーが不足しているので、その点を改善することが適当ではないかと思う。また、警察官のリスクアセスメントのスキルを磨いていただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「昨年の段階で手引きを作成して配付し、スキルアップを図っているところである」旨の説明があった。

 

(8)「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第4次)」の策定について

    生活安全局長から、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」に基づき、「子ども・若者育成支援推進本部」において策定される予定の「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第4次)」について報告があった。

木村委員より、「フィルタリングの徹底と、子どもが自分の問題として理解できるような教育啓発が一番大事だと思う。中高生向けの迫力ある内容のDVDを使っていたのを福岡県で視察したが、怖さをよく認識してもらうことが必要である。警察と学校との連携は難しい面もあるが、大きな目標に向けてお互いに信頼関係を構築しながら進めていただきたい」旨の発言があった。

北島委員より、「子供への啓発は難しい面もあるので、保護者、家庭向けに啓発を行うのが良いと思う」旨の発言があった。

川本委員より、「インターネットの普及による社会変化は、昭和30年代のモータリゼーションに伴う交通事故の急増と同様の現象である。不可逆的な状況なので、そのような環境の変化をより意識して対策を進めればよいと思う」旨、木村委員より、「この流れは逆らえないという前提で、どうやったらより良く利用できるかを保護者に対して教育するなど社会を良い方向に導くように考えていただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「もはやそのような流れは変わらないものであり、うまく利用すれば社会に大きな効用をもたらすものの、負の部分もしっかりと手当てすべきことが計画に盛り込まれている。いずれにせよ、教育機関等とよく連携してまいりたい」旨の説明があった。

 

(9)平成30年7月豪雨に伴う警察措置等について

警備局長から、平成30年7月豪雨に伴う警察措置等について報告があった。

北島委員より、「行方不明者の捜索や被災者への相談対応のほか、今後の警察の役割はどのようなものが考えられるか」旨の発言があり、警備局長から、「被災地における窃盗等の犯罪の予防と検挙である。また、相談で把握した要望等を関係機関に迅速に伝達することも重要な役割だと思う」旨の説明があった。

川本委員より、「相談に対応しているのは女性警察官だけか。「相談は女性の仕事」とならないよう、バランス感を持って進めてもらいたい」旨の発言があり、警備局長から、「女性警察官が多いが、男性警察官も対応している」旨の説明があった。

小田委員より、「装備面は、十分足りているのか。今後整備すべきものはあるのか」旨の発言があり、警備局長から、「部隊員の暑さ対策や都道府県警察における災害対策の体制規模は課題であり、今後検討してまいりたい」旨の説明があった。