定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 令和4年12月8日(木)

午前10時00分 〜 午前10時40分

午前11時15分 〜 午後0時20分

 

場 所 国家公安委員会室

 

第2 出席者 谷委員長、櫻井、横畠、宮崎、竹部、小田各委員

露木長官、緒方次長、楠官房長山本生活安全局長、大賀刑事局長、太刀川交通局長、原警備局長、河原サイバー警察局長、増山技術総括審議官

山田審議官(国際担当)、佐野審議官(犯罪被害者等施策担当)、谷首席監察官

 

第3  議 事

 

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、人事案件について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)犯罪被害者等給付金の審査請求事案の裁決について

審議官(犯罪被害者等施策担当)から、犯罪被害者等給付金の審査請求事案の裁決について説明があり、原案どおり決定した。

 

(3)「火薬類の運搬に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令案」に対する意見の募集について

生活安全局長から、「火薬類の運搬に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令案」に対する意見の募集について説明があり、原案どおり決定した。

 

(4)国家公安委員会・警察庁防災業務計画の修正について

警備局長から、国家公安委員会・警察庁防災業務計画の修正について説明があり、原案どおり決定した。

宮崎委員より、「昨年6月の防災業務計画の修正の際に、掲載した事項について、同年秋の会計検査院の検査結果報告で未対応と指摘された都道府県警察があり、非常に残念に思った。今回は速やかに周知徹底していただきたい。また、この計画の中で使用されている文言に「テレビ会議」等の古めかしいものもあるが、技術革新が日進月歩の分野については、陳腐化しないような大まかな記載ぶりも考えていただきたい」旨、竹部委員より、「日本海溝・千島海溝周辺の震災対策について、寒冷の厳しい条件下における装備資機材の整備も大切であるが、温暖な地方から寒冷地に応援に駆けつける警察官は、まずはその状況を経験することが大切である。警察官本人が怪我をしたり、遭難したり、あるいは殉職することはあってはならず、まずは身を守った上で救難作業に当たれるよう、寒冷地での経験を積ませることも重要視していただきたい」旨の発言があり、警備局長から、「都道府県警察において速やかに本計画が反映された計画が作成されるよう要請し、その進捗状況も確認してまいりたい。機器の進歩に合わせ、計画に記載された文言のアップデートも行ってまいりたい。また、二次災害を防止することは災害対策の鉄則であり、温かい地域から寒冷な地域へ職員を特別派遣等することに備えるためには段階的な訓練が必要と考えている」旨の説明があった。

横畠委員より、「令和3年に熱海市で発生した土石流を踏まえた修正について、都道府県警察が具体的状況を把握すべきものに盛土の状況が追加されたが、そもそも盛土の安全性については、例えば盛土の補強等を命ずるべき行政官庁や地方自治体が責任を負っている。危険な盛土が崩れた場合の人命の保護などについては、警察として備えることが必要であるが、警察の責任範囲を明確にするため、業務の過程で危険な盛土を発見した場合は所管する行政官庁に文書で連絡をするなどといった運用体制について、都道府県警察に具体的な指示をしていただきたい」旨、櫻井委員より、「人が住んでいない所に盛土等がされることもあり、所管の官庁だけでは把握しきれないため、政府の方針は、各機関がそれぞれの活動の中で発見した場合に適時適切に対応する、という趣旨であったと理解している。そうだとすれば、本計画には盛土の発見後に所管の責任ある部署に伝えることについて記載すべきではないか」旨の発言があり、警備局長から、「この計画には、あくまでも「危険が確認された盛土」について記載しており、盛土の危険を把握し、確認する主体は警察ではなく、自治体であると認識している。都道府県警察に対しては、その趣旨を明確に伝え、実際の現場において問題が生じないようしてまいりたい」旨の説明があった。

 

(5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

官房長から、国会の状況について報告があった。

 

(2)監察の取扱い事案について

首席監察官から、警視庁の巡査部長による強制性交等事案に関し、同庁は、同巡査部長を免職処分とする予定である旨の報告があった。

 

(3)日中韓警察局長級会議(第5回)、日中警察協議(第12回)及び日韓警察協議(第7回)の開催結果について

審議官(国際担当)から、日中韓警察局長級会議(第5回)、日中警察協議(第12回)及び日韓警察協議(第7回)の開催結果について報告があった。

宮崎委員より、「韓国の群集雪崩や中国政府によるゼロコロナ政策に対する反対デモが発生した後の開催であったが、そのような場面における参加国のノウハウ交換のような話があったのか伺いたい」旨の発言があり、審議官(国際担当)から、「公式な議題にはないものの、韓国の群集雪崩について被害に遭われた方に対するお悔やみを述べたほか、幕間では各国の雑踏対策やコロナ対策に関するやりとりも行われた」旨の説明があった。

横畠委員より、「各国共通の敵となるような犯罪に連携して対処するため、政治の状況とは区別し、実務レベルで協力をするつながりは確保しておく必要があり、こうした取組を推進していただきたい」旨、小田委員より、「日中韓の関係は、その時々の政治情勢に翻弄されることもあるが、警察が持っているこのような枠組みはとても意義があり、さらに深掘りしていただきたい」旨の発言があり、審議官(国際担当)から、「中韓両国からも、治安の課題についてはお互い共通の利益を見いだせるところであり、情勢にかかわらず一緒に協力してやっていきたいという姿勢が見えたところである。ご指摘も踏まえ、関係強化に一層努めてまいりたい」旨の説明があった。

 

3 その他

(1)留置施設における自殺事案の調査結果について

官房長及び首席監察官から、留置施設における自殺事案の調査結果について報告があった。

宮崎委員より、「留置に関しては不適切事案が散見されており、根底から反省し、やるべきことをしっかりやらせていただきたい。また、発表の仕方によって良くも悪くも世間の印象は変わるが、今回はその報道対応が全くできていなかったと言わざるを得ない。事実関係を把握し、どこまで公表していいか判断する権限のあるスポークスマンを用意しておく必要があるのではないか」旨の発言があり、官房長から、「今回の件を踏まえ、留置業務の見直しを行い、各都道府県警察において再発防止策を講じてまいりたい。また、スポークスマンを一律に決めておくことにはメリット・デメリットがあると思うが、少なくとも今回の報道対応者の人選については検討の余地があったことから、効果的な報道対応の在り方について検討してまいりたい」旨の説明があった。

横畠委員より、「被留置者が記載した遺書が発見されていたにもかかわらず、組織としての適切な判断がなされず、その後の対応が緩くなった。今後、兆候があった際にどのように自殺を防ぐのか、組織的に対応すべきである。また、今回の報道対応が拙劣であったことは間違いない。報道対応担当者は、事前に情報を集めて確認した上で、正確な事実を述べることが肝要であり、それだけの権限と責任を持った者が当たるべきである。指導・教養は、話し方などのテクニカルな対処術に流されないようにしていただきたい」旨、竹部委員より、「被留置者が記載した内容について、初期の確認者の主観的な心証が組織の最終判断に直結しており、とても組織的対応をしたとは思えない。少なくとも複数の目で検討する必要があった。警察署の規律が緩み、先入観、予断で判断していることの根は深く、徹底的に直す必要がある」旨の発言があり、官房長から、「報道対応は、犯罪捜査と同様、事実に基づいて行うことが基本であり、改めて必要な教養を実施してまいりたい。また、自殺をほのめかす内容の便せんが発見された際に自殺の危険性について組織的な検討がなされておらず、巡回の強化についても決められたとおりに行われていなかったことは問題であると考えている。大阪府警において厳しい処分をするとともに、各署において、規律の緩み等がないか確認するよう指示することとしている」旨、長官から、「留置管理業務は単調な面もあり、様々な背景のある人を相手にする業務であることから、担当する職員の士気をどのように保っていくのかは全国的な問題である。また、現場の規律が弛緩しないように、警察署長自らが担うべき管理業務の在り方についても検討すべきであると思っている」旨の説明があった。

小田委員より、「自殺を防ぐ対策は、厳格に巡回をするなどの対応でかなりカバーできると思うが、一方で、報道対応の問題の方がより深刻である。今回は、報道対応担当者には便せんの存在を隠蔽する意図があったわけであり、警察に対する信頼を著しく失った。報告書に対外説明を的確に行うための今後の対策として記載されているロールプレイング形式での指導・教養等は全く意味が無い。再発を防ぐためには、定例の記者会見を本部長や警務部長等が行い、正確に発信するプロセスを実践的に学んでいくことが必要である。会見者の言葉に載せるために、その材料を集め、内容を精査し、正確な内容を会見者が発信するに至るまでのプロセスを職員が繰り返し経験することが、今回のような虚偽の発表にならない一番の対策である」旨、櫻井委員より、「今回の報道対応の在り方は杜撰と言うほかはなく、この問題は独立して扱うべきである。外部社会と接していれば外側への発表も訓練されていくものであり、今後は人事のローテーションで外部の人と接する業務に就かせるなど、外に出せる人材を育てる必要があるのではないか。報道対応の在り方については、本日の議論を踏まえ、後日改めて説明していただきたい。また、留置業務に関しては組織的なガバナンスの問題もある。警察署が中心になり過ぎているところがあり、警察本部の関与を増やすなど、署と本部のつながりにおける力関係をシフトさせる必要がある」旨の発言があり、官房長から、「今回の報道対応については、その時点での事実関係を正確に把握し、確実な部分以外は調査中である旨を説明するという基本的な対応ができていなかった。このような問題は留置業務に限らず、他の警察業務でも発生する可能性があることから、発生ものに対する報道対応の在り方をしっかりと見直し、都道府県警察に対し、改めて必要な指示をしてまいりたい。また、留置業務における本部と警察署の関係についても、必要な見直しを行ってまいりたい」旨の説明があった。