定例委員会の開催状況
第１ 日 時 令和５年８月３１日（木）
午前１０時００分 ～ 午前１１時１５分
場 所 国家公安委員会室
第２ 出席者 谷委員長、櫻井、横畠、宮崎、竹部、野村各委員
露木長官、緒方次長、楠官房長、檜垣生活安全局長、渡邊刑事局長、太刀川交通局長、迫田警備局長、河原サイバー警察局長、島﨑技術総括審議官
飯利政策立案総括審議官
第３ 議 事
（１）人事案件について
官房長から、人事案件について説明があり、原案どおり決定した。
（２）デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令案について
官房長から、デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令案について説明があり、原案どおり決定した。
（３）「デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律の施行に伴う警察庁関係政令等の整備に関する政令案」に対する意見の募集について
官房長から、「デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律の施行に伴う警察庁関係政令等の整備に関する政令案」に対する意見の募集について説明があり、原案どおり決定した。
（４）令和５年度の政策評価について
政策立案総括審議官から、令和５年度の政策評価について説明があり、原案どおり決定した。
櫻井委員より、「政策評価について、文書を作成すること自体が自己目的化することのないよう、違うアプローチがあり得るということを実務的に研究いただきたい」旨、横畠委員より、「今回の政策評価が全省庁一律の定型的なものではなく、各省庁の視点で作成することとなったが、工夫のあとも見られ、現段階のものとしては評価できるものと思う。他方、これで完成ではなく、来年以降、更なる工夫や検討をお願いしたい」旨、竹部委員より、「常識では考えられないようなことが起きている治安状況において、警察が何を考えているのかを伝えることは非常に重要。警戒の空白への対処に主眼を置いた政策評価の第一弾ができたものと評価している」旨、宮崎委員より、「今後３年間でどう肉付けするかということはあるが、今年から新たに独自の方法で政策評価を進めることは、有意義であり、その雛形として良くできていると思う。警察行政全体を俯瞰する機会であると同時に、ＳＮＳの普及や国境を越える犯罪等の外部要素等について、どのように政策に組み込んでいくのかという点がもう少し立体的に見えると、また次の段階に進めるのではないか」旨、野村委員より、「与えられた枠組みの中で、現場の方々が議論するプロセスそのものが意味のあることだと思う。政策評価の仕組みや議論を通じて得た気づきによって、今後の組織改編等のヒントが出てくると思う」旨の発言があった。
（５）国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について
国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。
２ 報告事項
（１）令和５年度全国警察柔道選手権大会及び全国警察剣道選手権大会の開催について
官房長から、令和５年度全国警察柔道選手権大会及び全国警察剣道選手権大会の開催について報告があった。
（２）パラリンピック選手村内での中型バスの接触事故に係る事故調査報告書について
交通局長から、パラリンピック選手村内での中型バスの接触事故に係る事故調査報告書について報告があった。
横畠委員より、「警察は、行政機関として道路交通の安全確保に責任を負い、加えて、本件では道路使用許可を与えてｅ－Ｐａｌｅｔｔｅの運行を許したという立場にあり、また、今後、様々な人の関与を必要とする「発展途上の技術」を用いた自動運転車の道路における供用が更に活発化すると思われることから、その安全の確保について、本件事故からできる限りの教訓を引き出すとともに、関係者に対して必要な対応を求めるべきである。本件調査は、関係者の責任追及を目的とするものではなく、こうした行政としての必要による事案の解明を目指したものであったが、緊急停止によって一部直近のデータが消失してしまうという「仕様」や調査に対して関係者からの十分な協力が得られなかったなどといった制約により、詳細が不明なまま可能性の指摘にとどまる事項が多く残されていることは残念であるが、困難の中報告書をまとめられた自動運転車事故調査委員会の皆様には敬意を表します。その上で、報告書は、関係者の「責任」には触れないということによるのか、事故の「原因」について、その軽重や因果関係の濃淡を問わずに広く捉える立場のようで、本件事故に関係する多くの事項が平板に列挙されており、何が重要なポイントなのかが分かりにくくなっている。従って、警察としては、この報告書を適切に「読み解いた」上で、今後の参考とする必要がある。そこでいくつか指摘をしたい。まず、報告書にはｅ－Ｐａｌｅｔｔｅについて、自動車製作者であるトヨタ自動車が「自動運転レベル４相当」であると発表していた事実が記載されているが、これは大変重要なポイントである。そのような公式発表の存在は、社員であるオペレーターを始めとする「原因」に登場する関係者に対し、本件ｅ－Ｐａｌｅｔｔｅがレベル４相当の自律的な安全性能を備えているとの優良誤認、誤解を与え、それぞれの注意や行動に影響を与えていた可能性があるのではないか。例えば、本件でオペレーターは、横断歩道の手前で「再発進」の操作をし、自動で加速する「ＡＵＴＯモード」での走行を開始させたが、そのまま横断歩道を横断しようとする被害者に気づくのが遅れた上、危険を感じたと思われる時点では、緊急停止スイッチではなく、ＳＬＯＷ ＤＯＷＮスイッチを押している。いずれも、「ＡＵＴＯモード」により自動で衝突の回避ができるはずだという意識が背景にあった可能性がうかがわれる。道路使用許可を与えた警察においても、本件ｅ－Ｐａｌｅｔｔｅの安全性能について「信頼」していたのではないか。報告書ではそのような事実と異なる発表が行われた理由などは明らかにされていないので、今後、警察庁において、自動車製作者から説明を受け、問題があれば必要な指導をしていただきたい。併せて、各種センサーの検知状況などの運転システムのデータについても、緊急停止によって消失しないように改めることも求めていただきたい。次に、警察としての今後の対応として、道路使用許可によって運行される自動運転に係る自動車については、その許可に当たって、道路運送車両法との役割分担はあるが、当該自動車の備えている安全性能、人との役割分担の適否、緊急時における挙動や操作性などについて、具体的にチェックする必要があるのではないか。報告書には、緊急ブレーキの減速度も乗客の転倒防止に考慮して予め設定されていたと記載されているが、その詳細は明らかにされず、本件において同じタイミングでＳＬＯＷ ＤＯＷＮスイッチではなく緊急停止スイッチが押されていれば衝突前に停止することができたか否かも分からないという。乗客の乗り心地の確保や転倒防止と車外の人との衝突防止との兼ね合いは、いわゆる「トロッコ問題」の一種であり、自動運転におけるこの種の問題については、自動車製作者において、そのポリシーを明らかにするとともに緊急時における挙動に係る仕様を公表すべきである。また、今後、警察として自動運転における安全の確保について適切に対処するためには、自動運転に係る電気自動車の制御技術はもとより人間工学や技術倫理に関する専門的知見なども踏まえる必要があると思われるので、そのような体制の整備についてもお願いしたい」旨、櫻井委員より、「当委員会の関心事項として申し上げれば、総評としては、この報告書は目配りの効いた水準の高いものとはいい難いといわざるを得ない。報告書は、自動運転車優先の思想が暗黙の前提にあるように読めるもので、人々が行き交う社会における自動運転車の在り方に係る視点が希薄であり、現行法規に対する理解が十分でないところがある。今後のこともあるので、道路交通法を所管する警察としては、道路使用許可の在り方について早急に考え方を整理しなければならないと考える」旨の発言があり、交通局長から、「いただいた御指摘を踏まえて対応してまいりたい」旨の説明があった。
（３）岸田内閣総理大臣のインドネシア共和国及びインド訪問に伴う警護について
警備局長から、「岸田内閣総理大臣は、９月５日(火)から９月１１日(月)までの間、ＡＳＥＡＮ首脳会議、Ｇ２０首脳会合等のため、インドネシア共和国及びインドを訪問予定であり、所要の警護を実施する」旨の報告があった。
３ その他
（１）官房長から、中国国内からとみられる嫌がらせ電話に対する対応状況について報告があった。