定例委員会の開催状況
第１ 日 時 令和５年１１月１６日（木）
午前１０時００分 ～ 午前１１時４０分
場 所 国家公安委員会室
第２ 出席者 櫻井、横畠、宮崎、竹部、野村各委員
露木長官、緒方次長、楠官房長、太刀川交通局長、渡邊刑事局長、迫田警備局長、河原サイバー警察局長、島﨑技術総括審議官
和田審議官（生活安全局担当）、山口生活安全企画課長
江口審議官（犯罪被害者等施策担当）、片倉首席監察官
第３ 議 事
１ 議題事項
（１）監察の取扱い事案について
愛知県警察における被留置者死亡事案に関し、警察庁長官は、同県岡崎警察署長について、部下を指揮して被留置者の適正処遇等に努めるべき責務を怠った責任により、懲戒処分に付する必要があると認め、国家公安委員会に申立てを行う旨の説明があり、同申立てを受理するとともに、同警察署長の規律違反について懲戒審査会に審査を要求することを決定した。
（２）犯罪被害者等給付金の審査請求事案の裁決について
審議官（犯罪被害者等施策担当）から、犯罪被害者等給付金の審査請求事案の裁決について説明があり、原案どおり決定した。
櫻井委員より、「被害者と加害者間の「密接な関係」については、その趣旨を整理する必要がある。裁定にあたっては、形式主義に偏ることなく、被害者救済の観点から検討しても良いのではないか。社会保障等の給付に関する裁判所の傾向も考慮要素としておくと良い」旨の発言があり、審議官（犯罪被害者等施策担当）から、「「密接な関係」の趣旨については、これまでも議論されてきたところであり、引き続き、検討してまいりたい。また、裁定にあたっては、様々な観点から検討すべきと考えている」旨の説明があった。
宮崎委員より、「裁定額を伝える際には、御遺族の感情や社会全体の受け止めに配意した説明を心がけていただきたい」旨の発言があり、審議官（犯罪被害者等施策担当）から、「御指摘を踏まえ、犯罪被害者等給付金やその他の支援に関する伝え方を検討してまいりたい」旨、官房長より、「丁寧な説明を基本として、しっかりと対応してまいりたい」旨の説明があった。
横畠委員より、「事案の態様は様々であるが、給付金を支給する行政としては公平性を重視した判断が求められる。法律に定められた要件に基づいた裁定のこれまでの積み重ねは、その目安として重要である」旨の発言があった。
（３）国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について
国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。
（４）国家公安委員会委員長を代理する者の互選について
国家公安委員会委員長を代理する者の順位について、委員間の互選により、１２月１日以降、第１順位横畠委員、第２順位宮崎委員、第３順位竹部委員、第４順位野村委員、第５順位櫻井委員とすることとした。
２ 報告事項
（１）国会の状況について
官房長から、国会の状況について報告があった。
（２）監察の取扱い事案について
首席監察官から、新潟県警察の警部による不同意性交等事案に関し、同県警察は、同警部を免職処分とする予定である旨の報告があった。
横畠委員より、「被害者の今後を考慮した対応をお願いしたい」旨、竹部委員より、「これまでも飲酒に起因する不祥事が多く発生しており、組織としての引き締めを図る必要がある」旨、櫻井委員より、「この種の事案は、第三者が後日検証可能な証拠があれば事後の対応策をとることが可能となり、抑止力にもなるので、本事案を一つの教訓としていただきたい」旨の発言があり、首席監察官から、「被害者を適切に支援してまいりたい。この種の事案を防ぐため、幹部による指導を徹底してまいりたい」旨の説明があった。
（３）「国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する財産の凍結等に関する特別措置法第四条第一項の規定に基づき国際テロリストを指定する件」について
警備局長から、「国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する財産の凍結等に関する特別措置法第四条第一項の規定に基づき国際テロリストを指定する件」について報告があった。
宮崎委員より、「指定された者が、バーチャル空間での取引で日本に関与する可能性はあるのか」旨の発言があり、警備局長から、「御指摘のような関与の可能性はあり得る」旨の説明があった。
櫻井委員より、「法律上、指定の際の聴聞が要求されているが、合理的な手続とはいいがたい。また、財産の仮領置については、都道府県公安委員会が処分権者とされているが、これが適切なのかという疑問もある」旨の発言があった。
３ その他
（１）警護の見直しを受けた警護措置等について
警備局長から、警護の見直しを受けた警護措置等について報告があった。
野村委員より、「現場レベルで様々な改善策が積み上げられている点を評価したい。クリアゾーンの設定を巡り、警察側と主催者側の考えに隔たりがある場合、折り合いはついているのか」旨の発言があり、警備局長から、「原則に従って警護を実施できるよう現場において対応しているが、主催者側の考えや場所的な条件等によっては理想とする警護措置を執ることが困難な場合がある。そうした場合には、現場から警察庁に状況を報告させ、安全を確保するための代替措置等について都度指導している」旨の説明があった。
竹部委員より、「警察庁は、一つとして同じ現場はないということを念頭に置いて、都道府県警察が作成する警護計画の熟練度や習熟度、警護を実施した後に都道府県警察から報告される気付き・反省事項等の質の変化を適確にフォローしていただきたい」旨の発言があり、警備局長から「各県警察の警護担当者の意見も吸い上げつつ、審査能力の向上、体制の構築に努め、常に新鮮な視点で警護計画案を審査してまいりたい」旨の説明があった。
宮崎委員より、「警護現場における市民の納得を得るための市民向けの説明訓練は実施しているのか」旨の発言があり、警備局長から、「主催者側の理解が得られる説明を行うことに重点を置いて各都道府県警察を指導している。また、聴衆の安全を確保するため、混乱が生じた場合に備えた訓練を実施している」旨の説明があった。
横畠委員より、「これまでの取組が標準となって定着していくよう努めるとともに、オープンな場所での群衆の警備について、抑止効果が発揮されるような工夫も取り入れていただきたい」旨の発言があり、警備局長から、「現場の状況に応じた態勢や人員の配置に努めてまいりたい」旨の説明があった。
櫻井委員より、「警護措置等が全体的に充実されていることがわかった。警護対象ではない方から警護の要請があった場合等はどのように対応するのか整理しておく必要がある」旨の発言があり、警備局長から、「警護対象者以外の方の警戒の在り方については、その方に対する脅威を評価して個別に検討している」旨の説明があった。
（２）福井県永平寺町における自動運転車の事故について
横畠委員より、「永平寺町から、本件事故の原因について画像認識で無人の自転車を認識できなかったとし、対策として無人の自転車の画像を追加学習させるなどとする調査結果が公表されたが、進路前方の静止したありふれた障害物にそのまま衝突しており、ＡＩの「学習」以前の問題なのではないか。警察庁としてしっかりと事実を確認し、県公安委員会が特定自動運行許可を継続しても問題はないのかを適切に判断することができるよう、状況をグリップしていただきたい」旨の発言があり、交通局長から、「自動運転装置が適切に機能を果たしていたかは、もっぱら道路運送車両法に基づく保安基準適合性の問題として国土交通省において確認するものと聞いており、自動運行装置が保安基準に適合するものとして特定自動運行の運行を許可している警察としては、その国土交通省による確認結果を待ちたいと考えている。もちろん警察庁として、国土交通省と連携を密にしてまいりたい」旨の説明があった。
野村委員より、「自動運転やＡＩは社会実装しつつ、トライアンドエラーによって、その技術レベルが飛躍的に向上する特性があるので本事案のような、ある程度管理された環境における事故については過剰に反応するのではなく、バランスのある対応が必要であると考える」旨の発言があった。