国家公安委員会の概要

警察に関する基本法として「警察法」という法律があります。
国家公安委員会に関する事項や警察の仕組み・権限に関することなどはこの法律に定められています。

(1)国家公安委員会制度

国家公安委員会は、国務大臣である委員長と5人の委員の計6人で構成される合議制の行政委員会です。この制度は、戦後新たに導入されたもので、国民の良識を代表する者が警察を管理することにより、警察行政の民主的管理と政治的中立性の確保を図ろうとするものです。

なお、第一回の国家公安委員会は、旧警察法の下で昭和23年3月8日に開催され、新警察法の下での第一回の国家公安委員会は、昭和29年7月1日(新警察法施行の日)に開催されています。

(2)国家公安委員会の組織

国家公安委員会は、内閣府に置かれる外局(金融庁も内閣府の外局)です。
委員長は内閣の一員である国務大臣とされています。これは内閣の治安に対する責任を明らかにするためです。
委員の数は5人で、これは、合議制の機関として、過半数の決議を得るには委員の数を奇数とする必要があるからです。なお、委員の可否が同数の場合のみ、委員長が決します。

(3)国家公安委員会の任務と権限

任務

我が国では、犯罪の捜査や交通の取り締まりなどの仕事は都道府県警察が行い、国の警察機関(国家公安委員会・警察庁)は、警察の仕事のうち

  • 国全体の安全に関係するものや、国が自らの判断と責任において行うべきもの
  • 警察官の教育制度や、警察の通信、統計など、国において統一的に行うことが能率的であるもの
  • 広域にわたる事件など国において調整を行う必要があるもの

を担当しています。

国家公安委員会は、こうした任務を達成するため、警察制度の企画立案や予算、国の公安に関係する事案、警察官の教育、警察行政に関する調整などの事務について、警察庁を管理しています。

権限

国家公安委員会は、個々の具体的な警察活動について直接の指揮監督を行うのではなく、あくまで、警察庁を管理し、また、警察庁に補佐させながら仕事を行っています。 具体的な仕事については、警察庁長官が、国家公安委員会の管理に服しながら、警察庁としての事務を行い、また、都道府県警察を指揮監督することによって行なわれます。

(4)国家公安委員会委員の義務など

国家公安委員会委員は、特別職の国家公務員です。一般の国家公務員と同様、厳正公平にその職務を行うことが必要ですので、積極的な政治活動が制限され、また、秘密を守る義務などがあります。

(5)国家公安委員会の庶務

国家公安委員会の庶務は、警察庁が行っています。
一般的に、行政委員会には事務局が置かれていますが、国家公安委員会は、その管理の下に特別の機関として警察庁が置かれていますので、警察庁が事務局としての役割も果たしています。

(6)その他

都道府県公安委員会との連絡

国と都道府県の公安委員会は、いずれも国民を代表する機関として、それぞれ、警察庁、都道府県警察を管理しており、常に相互の緊密な連絡を保ちながら 、国と地方との意思疎通を図り、警察の仕事が滞りなく行なわれるように努めています。

このような観点から、国家公安委員会委員と全国の都道府県公安委員会委員との連絡会議が年2回開催され、また、各ブロックごとに年2回開催される連絡会議等に国家公安委員会委員が出席しています。

緊急事態の布告

内閣総理大臣は、大規模な震災や外国の侵攻などの緊急事態が発生し、治安が混乱する状態が現実に生じた場合に、治安の維持のため特に必要があると認めるときは、緊急事態の布告を発することができます。この布告は、国家公安委員会の勧告に基づいて行わなければなりません。これは極めてまれな事態であり、 今までに例はありません。

(7)国家公安委員会の組織と役割