定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 令和7年2月6日(木)

午前1000分 〜 午前11時10分

 

場 所 国家公安委員会室

 

第2 出席者 坂井委員長、宮崎、竹部、野村、横畠、秋吉各委員

楠長官、太刀川次長、森元官房長、谷刑事局長、早川交通局長、筒井警備局長、逢阪サイバー警察局長、堀内技術総括審議官

大濱審議官(生活安全局担当)

松坂政策立案総括審議官

 

第3  議 事

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、人事案件について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案について

審議官(生活安全局担当)から、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案について説明があり、原案どおり決定した。

横畠委員より、「今回の法改正は悪質ホストクラブを契機としているが、ホストクラブに限らず、キャバクラなどを含めて接待飲食営業全体に規制が適用されることを周知していただきたい」旨、宮崎委員より、「スカウトグループを摘発するなど成果を上げているが、取締りにとどまることなく、未納付の税金の徴収なども含め、警察庁が司令塔機能を発揮して関係省庁を牽引していただきたい」旨の発言があり、審議官(生活安全局担当)から、「接待飲食営業全般への改正法の適用を周知するとともに、営業所等への立入りを行うなどして先制的に対処してまいりたい。また、現状でも客観証拠に基づき課税通報や組織的犯罪処罰法に基づく犯罪収益等の没収等を行っているが、引き続き検察や国税当局と連携して対応してまいりたい」旨の説明があった。

 

(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

   官房長から、国会の状況について報告があった。

   

(2)令和6年の犯罪情勢について

   政策立案総括審議官から、令和6年の犯罪情勢について報告があった。

   横畠委員より、「受け子や出し子といった人を介した現金の授受から、直接的に被害者から預金や暗号資産を引き出す手口にシフトしている。振込も窓口からインターネットへと移行している中、金融機関も様々対策を講じているが、インターネットバンキングの不正送金事案が令和5年以降に急増している原因とその対策を教えてほしい」旨の発言があり、政策立案総括審議官から、「フィッシングの手口の高度化が背景にあり、被害者に対して正規に発行されたワンタイムパスワードを不正サイトに入力させるリアルタイム型の手口の増加が一因と考えられる」旨、サイバー警察局長から、「金融機関ではパスキーなどの新しい認証技術を導入し始めたり、自動音声認証を含む高性能な本人認証に取り組んだり、振込や送金額を制限したりするなど様々な対策を導入しており、警察からも金融機関に対し、これらの対策を講じるよう働きかけている」旨の説明があった。

   竹部委員より、「詐欺の被害総額が一年で三千億円を超える規模というのは驚きの数字である。一国における一犯罪類型の被害額として尋常でなく、年々増加しているのは現行の防犯対策や取締りでは一定の限界があるのではないか。新たに導入される仮装身分捜査や「闇バイト」募集広告の摘発などの実施効果を待つ以外に、犯罪に利用されるSNSへの対応を含め、国を挙げて抜本的対策を講じる必要があると考える」旨、野村委員より、「体感治安の悪化が著しいという現実は率直に認めざるを得ないと思う。他方、性犯罪に関しては、これまで潜在化していたものを警察の努力で積極的に事件化してあぶり出したという面も踏まえると、統計の見方に注意を要する部分もあるので、対外的な発信の仕方について工夫をお願いしたい」旨、宮崎委員より、「ごく身近な場所で一般人が被害者となる無差別殺傷事件が発生すると体感治安を悪化させるが、迅速に検挙に結びついており成果を上げている。個々の事案を分析した上で必要な対策が講じられていることを訴求力を持って発信していくことが重要だと思う」旨、秋吉委員より、「特に高齢者の振込による詐欺被害が多い。被害者となり得る方々が自ら振込や引出限度額を低く設定するなど、ATMで振込や引出をする前に、その適否を一瞬でも考えられるような仕組み作りが被害防止につながるのではないか。また、インターネット上の名誉毀損罪や侮辱罪は、検挙事例が年に487件もあるにもかかわらず、そのことが世間に認知されていない可能性があるので、警察がその種の事件に厳正に対処していることが伝わればいいと思う」旨の発言があり、刑事局長から、「国際的にも組織的な詐欺の被害が増加しており、各国は頭を悩ませている。SNSの匿名性が非常に高まる中、これを悪用した犯罪収益の流れをどのように食い止めていくのか、警察庁としても政府全体で検討している詐欺対策を牽引してまいりたい。性犯罪に対する取組やインターネットバンキングを利用した犯罪の手口についても、情勢分析の高度化を図って工夫しながら、わかりやすく情報発信するとともに、ATMの引出限度額についても金融機関と検討を進めるなどして被害防止の取組を強化してまいりたい。また、警察では、インターネット上での名誉毀損罪等について、しっかりと捜査を行い、特定に至った被疑者を検挙している」旨の説明があった。

 

(3)監察の取扱い事案について

   警視庁警部補による不同意わいせつ事案に関し、同庁は、同警部補を免職処分とする予定である旨の報告があった。

  

(4)令和6年における通信傍受に関する国会への報告について

   刑事局長から、令和6年における通信傍受に関する国会への報告について報告があった。

   宮崎委員から、「相当な成果を上げているが、犯罪者の使用ツールが電話以外の秘匿性の高い通信アプリへ移行しつつある中で、令状審査を行う裁判官の理解も得つつ、警察の取組を進化させる必要性を感じる」旨、横畠委員より、「いわゆる客付き携帯のほかは、電話が犯罪関連通信に使用されていることは多くないのではないか。電話以外の通信手段についても、令状に基づいて通話なり通信を傍受することができるように、技術的、法的な検討を進めていただきたい」旨の発言があり、刑事局長から、「通信傍受法に基づく傍受は音声通信に限られたものではないが、犯罪者間の連絡通信に対応しきれていない部分もうかがえるので、法務省とも連携し、今後の取組を検討してまいりたい」旨の説明があった。

   委員長より、「法的に改善すべき点があるならば、法務省とも連携して整理していただきたい」旨の発言があった。

 

(5)石破内閣総理大臣のアメリカ合衆国訪問に伴う警護について

   警備局長から、「石破内閣総理大臣は、2月6日から2月8日までの間、首脳会談等のため、アメリカ合衆国を訪問予定であり、所要の警護を実施する」旨の報告があった。