定例委員会の開催状況
第1 日 時 令和7年2月27日(木)
午前10時00分 〜 午前11時35分
場 所 国家公安委員会室
第2 出席者 坂井委員長、宮崎、竹部、野村、横畠、秋吉各委員
楠長官、太刀川次長、森元官房長、谷刑事局長、早川交通局長、筒井警備局長、逢阪サイバー警察局長、堀内技術総括審議官
大濱審議官(生活安全局担当)
第3 議 事
1 議題事項
(1)人事案件について
官房長から、人事案件について説明があり、原案どおり決定した。
(2)警察庁旅費取扱規則の一部を改正する内閣府令案について
官房長から、警察庁旅費取扱規則の一部を改正する内閣府令案について説明があり、原案どおり決定した。
竹部委員より、「出張する職員が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、精神的・物理的に余裕のある環境を整えることが幹部の大きな役割の一つだと思う」旨、秋吉委員より、「実費支給となる交通費についても、様々な要素を考慮してルートを柔軟に選択できるのか」旨の発言があり、官房長から、「実費が基準額を超える場合でも、公務の円滑な運営や為替の急激な変動等を勘案して柔軟な運用が可能である。また、用務先へのルートについても、旅行命令権者が合理的に判断することができる」旨の説明があった。
(3)盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律案について
審議官(生活安全局担当)から、盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律案について説明があり、原案どおり決定した。
横畠委員より、「電線以外で金属盗の被害が多いマンホールの蓋やグレーチング、橋の銘板などは「古物」であり、古物営業法の対象になっているという理解でよいか。なお、この法案が施行されるまでの間においても、関係事業者に対する防犯指導を始め、窃盗犯やそのグループ、知情買取業者の検挙などの対処をしっかりと行っていただきたい」旨、宮崎委員より、「特定金属くず買受業に係る規制は、既に古物営業法で蓄積したノウハウを応用するものであることから、新法の成立後すぐにでも施行することはできないのか」旨の発言があり、審議官(生活安全局担当)から、「御理解のとおり、マンホールの蓋等は古物営業法の対象であり、例えば盗難被害の多いエアコンの室外機は、再利用可能な状態であれば古物営業法の対象となるが、スクラップの状態であれば新法の対象となる。また、買受業に係る措置は罰則を伴う規制のため、一定の周知期間が必要であることや、許可等事務に係るシステムの改修、細かなルールを定める国家公安委員会規則の準備にある程度時間を要するため、公布の日から1年を超えない範囲内の施行としている」旨の説明があった。
(4)「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案」に対する意見の募集について
刑事局長から、「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案」に対する意見の募集について説明があり、原案どおり決定した。
横畠委員より、「非対面での本人確認、なりすましや身代わりの防止ということでは、ICチップ情報の送信に加えて端末カメラに写っている人物の容貌とマイナンバーカードや運転免許証のICチップ内の写真データとの照合が有効だと思われるが、そこまで義務化することは難しいのか」旨の発言があり、刑事局長から、「規則で定める本人確認方法は、事業者に守ってもらう最低限のラインとなるが、御指摘のような取組を講じるよう事業者に要請することは可能であるので、詐欺の犯行態様も日々変遷していることから、更なる対策を事業者に講じてもらえるよう逐次働き掛けてまいりたい」旨の説明があった。
(5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について
国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。
2 報告事項
(1)国会の状況について
官房長から、国会の状況について報告があった。
交通局長から、令和6年における交通事故の発生状況について報告があった。
宮崎委員より、「令和7年までに死者数を2000人以下に抑えるという第11次交通安全基本計画で掲げられた目標を達成できるのか。いずれにしても、ハードとソフトの両面からの対策や指導などを効果的に組み合わせて実施していく必要がある」旨、野村委員より、「高齢運転者の事故が問題となっている一方で、運転手不足から個人タクシーの運転手の年齢上限を引き上げる議論もあるが、双方のバランスをどのように考えているか。また、先進国の交通事故死者数について、イギリスの数値が低水準で推移しているが、この辺りの数値を日本はベンチマークとして考えているのか」旨、秋吉委員より、「中古車にもアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置を容易に取り付けられるような施策の推進が必要ではないか。また、65歳以上の歩行者の事故のパターンを分析して反射材の活用等の諸対策を講じることや、自転車の飲酒運転の危険性を周知することも必要だと思う」旨、横畠委員より、「1月9日の委員会で令和6年中の交通事故死者数について報告をいただいた際に、徳島県の人口10万人当たりの死者数が異常に高いことについてお尋ねし、本日、都道府県別の高齢化率と人口10万人当たりの死者数を縦横にグラフ化した図が示され、両者にプラス0.55程度の相関関係があることは理解できたが、なお徳島県の人口10万人当たりの死者数の値は並み外れており、その原因の解明と、そこに焦点を当てた 対策が必要だと思われる。警察庁では全国警察から情報を収集して統計資料を作成しているのだから、EBPMの観点からAIの積極的利用を含めて統計資料の一層の活用を進めていただきたい」旨の発言があり、交通局長から、「令和7年の交通事故死亡者数を2000人以下に抑えるのは、死亡事故の減少幅から見て高い目標であり、一層努力したいが、現在策定作業中の令和8年からの次期基本計画において、ハードとソフトの両面で様々な取組を検討し、盛り込んでまいりたい。高齢運転者の事故と運転者不足の問題については、先進安全技術や制度改正により導入された運転技能検査の動向も踏まえて取り組むべきものと考えている。また、交通ルールは国によって異なる部分もあるが、先進国中で良好とされるイギリスの交通事故情勢とも対比しつつ、日本に適した対策を講じて安全な交通環境の実現を図りたい。さらに、踏み間違い防止装置や反射材の導入、自転車の飲酒運転の危険性についても、所要の働き掛けや広報啓発を引き続き実施してまいりたい。徳島県を含め四国は概して10万人当たりの死者数が多いので、四国の各県警察に警察庁が収集したデータを提供し、各県での分析や対策を今一度よく考えて活用してもらうとともに、警察庁としてもAIを活用するなどした分析を検討してまいりたい」旨の説明があった。
(3)令和6年度サイバーコンテストの実施結果について
サイバー警察局長から、令和6年度サイバーコンテストの実施結果について報告があった。
宮崎委員より、「一般の警察官としてキャリアをスタートした女性警察官を含む茨城県警察が優勝したことは大変意義深い。こうした人材を今後のキャリアパスが見える形で育成するとともに、警察に入ればこのような道もあるということを対外的な広報や採用業務において発信していただきたい。また、コンテストの問題作成に民間企業が関与することは、最先端の知見を持つ民間企業との関わりを深めることができる良い機会だと思う」旨、竹部委員より、「これまでのコンテストの結果として、上位入賞者の多くが地方で育っていること、上位に女性が占める割合が高いことが挙げられるので、これらの点を分析し、サイバー分野における人材育成のイノベーションにつなげてほしい。また、職員にはそれぞれ事情もあるので、地方にそのままいながらでもサイバー特捜部の構成員として業務に従事できるような枠組があってもよいのではないか」旨、横畠委員より、「捜査部門の設問形式やチーム内での役割分担について伺いたい。また、デジタル・フォレンジック部門には、実際に業務を担当する各県の警部補級の職員も参加しているのに対し、捜査部門には比較的若い職員が参加している印象があるが、コンテストには、どのような職員が参加しているのか」旨の発言があり、サイバー警察局長から、「御指摘を踏まえ、人材育成や勤務環境を検討し、サイバー分野の力を高めてまいりたい。コンテストは仮想環境を用いたネットワーク演習環境にオンラインで参加するもので、サイバー捜査部門は、サイバー事案を想定したシナリオに基づき、被疑者の特定に至るまでの設問について問うもの、デジタル・フォレンジック部門は、パソコンやスマートフォンを用いた犯罪捜査に必要な技術に係る設問について競うもので、両部門とも実務に基づいた問題となっており、特定の者が複数年にわたって上位を独占することのないよう一定の出場条件を設けている」旨の説明があった。
3 その他
(1)ミャンマーとタイ国境付近の大規模詐欺拠点について
宮崎委員より、「ミャンマーでの詐欺拠点摘発に、警察庁はどのように関与しているのか。先般開催された日中韓の最高事務レベル協議でも詐欺に対する国際連携が議題となったと承知しているが、こうした場が実効的に機能しているのか」旨、竹部委員より、「犯罪グループが活動する地域は反政府組織が活動していると思われる地域でもあり、関与した日本人が逃げ込んでいる可能性もある中、今後どのようなルートでミャンマー側と連携していくのか」旨、横畠委員より、「この種の詐欺については、日本同様中国も手を焼いていると思われるので、中国当局との連携も実務レベルで進めることができるのではないか」旨の発言があり、刑事局長から、「タイ当局と連携し、昨年から行方不明となっていた日本人少年を保護している。日本の捜査の過程で得られた具体的な情報は、タイ当局に提供するなどして連携している。日本人がまだ現地に滞在している可能性があり、こうした日本人の拘束や保護に備えてしっかり対応できるようにしているところである。今後は、情勢の展開に応じて大使館を通じたり、あるいは関係国と連携したりするなどして、ミャンマー側へのアプローチの手段や方法を都度検討してまいりたい。この種の事案を解決するためには、関係国の連携が重要であり、ハイレベルの協議や担当者レベルの個別具体的なオペレーションに係る協議など、様々な場面を引き続き活用してまいりたい」旨の説明があった。