定例委員会の開催状況
第1 日 時 令和7年3月13日(木)
午前10時00分 〜 午前11時55分
場 所 国家公安委員会室
第2 出席者 坂井委員長、宮崎、竹部、野村、横畠、秋吉各委員
楠長官、太刀川次長、森元官房長、檜垣生活安全局長、谷刑事局長、早川交通局長、筒井警備局長、逢阪サイバー警察局長、堀内技術総括審議官
江口組織犯罪対策部長、大濱審議官(生活安全局担当)
片倉首席監察官
第3 議 事
1 議題事項
官房長から、警察法施行令の一部を改正する政令案等について説明があり、原案どおり決定した。
秋吉委員より、「地方警察官の増員等は、国民の負担の上に成り立っているので、説明責任が伴うことを認識し、人材、情報、設備の強化策と連動させて増員枠等の活用を進めていただきたい」旨、宮崎委員より、「地方警務官の配置は、都道府県警察の規模に応じた人数というものがあると思うが、単に枠を埋めるのではなく、能力や状況に応じて配置先を変更するなど、一定の柔軟性が必要ではないか」旨の発言があり、官房長から、「サイバーや匿名・流動型犯罪グループといった現在の治安課題に対応するための地方警察官の増員等を認めていただいたものであり、適材適所の人材配置や充実した対策を講じられるよう組織一体となって取り組んでまいりたい。また、地方警務官の配置については、人選を見極め、適した能力を備えた者が相応のポストに配置できるよう留意してまいりたい」旨の説明があった。
(2)警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律施行令の一部を改正する政令案について
官房長から、警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律施行令の一部を改正する政令案について説明があり、原案どおり決定した。
(3)「警察法施行令の一部を改正する政令案」及び「警察官の服制に関する規則及び交通巡視員の服制に関する規則の一部を改正する規則案」等について
官房長から、「警察法施行令の一部を改正する政令案」及び「警察官の服制に関する規則及び交通巡視員の服制に関する規則の一部を改正する規則案」等について説明があり、原案どおり決定した。
秋吉委員より、「夏服の着用期間や活動服以外の制服着用時のネクタイ着脱など、職員の健康を第一に考え、節度を保ちながらも状況に応じて柔軟に運用するべきだと思う」旨、横畠委員より、「警察官を志望する者が減っている中で、今般の服制の改正は、警察が職員を大切にする職場であることをPRする材料にもなるのではないか」旨、宮崎委員より、「女性用制服の見直しが、組織における女性職員の位置付けや職務内容などの質的な部分にまで発展するトリガーとなることを期待している。また、制服の様式が統一されれば、費用の効率化が見込まれるのではないか」旨の発言があり、官房長から、「夏服の着用期間については、都道府県警察において柔軟に定めることができる。ネクタイの着脱については、現場の声や国民の反応なども踏まえ、今後の検討項目としたい。また、こうした服制の見直しが、女性が働く機会の拡大や業務の質的な面に好影響を及ぼすよう、引き続き取り組んでまいりたい。御指摘のとおり、制服の様式が男女共通化されることによる費用面での効果は大きいと思う」旨の説明があった。
(4)人事案件について
交通局長から、人事案件について説明があり、原案どおり決定した。
(5)令和7年度国家公安委員会・警察庁交通安全業務計画(案)について
交通局長から、令和7年度国家公安委員会・警察庁交通安全業務計画(案)について説明があり、原案どおり決定した。
(6)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について
国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。
2 報告事項
(1)国会の状況について
官房長から、国会の状況について報告があった。
(2)令和6年度監察の実施状況及び令和7年度監察実施計画について
首席監察官から、令和6年度監察の実施状況及び令和7年度監察実施計画について報告があった。
竹部委員より、「令和6年度の監察実施結果は全般的にレベルが上がっていると感じるが、都道府県警察ごとにやや跛行性が見られるので、引き続き標準化に向けて努力してもらいたい。令和7年度の実施計画は、鹿児島県警察の一連の非違事案を教訓に構成されているものと理解しており、特に個人情報保護は高いモラリティとセキュリティが求められる。関心があるのは職員の意見の反映で、組織の民主的かつ透明性の高い経営が本部長に求められる。全般的にレベルが高く、監察のレベルが上がるということは、それだけ底上げができているということでもあり、更に高い次元を目指して取り組んでいただきたい」旨、横畠委員より、「いわゆる警察改革このかた監察の役割は重視され、時々の課題に的確に対応することが求められている。令和6年度においては、問題が多発した現場貴重品の取扱いや留置業務などの適正化について具体的な成果を挙げている。また、令和7年度の実施計画の内容も適切である」旨、宮崎委員より、「再発防止策にもかかわらず業務上において同種の非違事案が繰り返し発生している面もあるので、職員の階級や職務内容に応じ、幅広く、漏れのない指導・教養が必要だと思う。また、都道府県警察の取組で功を奏している事例については、ほかの都道府県警察でも同様の効果を発揮するか検討してもらいたい。さらに、目的を果たした前年度の項目も、そこで終わるのではなく、新年度も継続して取り組むことが大切だと思う。風通しの良い組織は大切だが、自由に意見を出せる環境を整えるのと同時に、組織全体で協力して意見に対応する態勢が必要である」旨の発言があり、首席監察官から、「監察の実施結果は好事例を含め全国に還元しており、引き続き都道府県警察を適切にフォローしてまいりたい。令和7年度の監察実施項目は、御理解のとおり、鹿児島県警察における一連の非違事案に対する再発防止策をベースとしており、都道府県警察の取組を確認するものとなっている。個人情報保護に関しては、システム管理と人事管理の両面からしっかりと検証することとしている。監察は取組の継続性が重要なので、重点項目だけでなく、それ以外の項目についてもしっかり指導してまいりたい。また、職員からの意見については、組織として処理する際のプロセスの見える化が重要であり、この点を踏まえて指導してまいりたい」旨の説明があった。
(3)令和6年における少年非行及び子供の性被害の状況について
審議官(生活安全局担当)から、令和6年における少年非行及び子供の性被害の状況について報告があった。
秋吉委員より、「SNSをきっかけにして被害に遭う子供が多いので、海外では使用を禁ずる国もあるが、年齢に応じて高度なフィルタリングをかける仕組みが必要だと思う」旨の発言があり、審議官(生活安全局担当)から、「フィルタリング自体は既に導入されているが、関係省庁と連携し、海外の取組も研究しつつ、表現の自由などにも配慮しながら、我が国に適した方法を検討してまいりたい」旨の説明があった。
生活安全局長及び審議官(生活安全局担当)から、オンラインカジノの実態把握のための調査研究について報告があった。
野村委員より、「メディアへの多額の広告費の投入により公営ギャンブルや宝くじのCMが流され、著名人を広告塔としたオンラインカジノサイトの誘引、誘導がネットを含めて展開され、そしてデジタル化を進めた公営ギャンブルのサービスが高度化、多様化、エンタメ化を強めている中で、特に若年層にオンラインカジノの違法性を理解させることの難しさを踏まえると、警察だけでなく政府全体で、総合的に広告の有り様を点検するための取組を進める必要があると思う」旨、竹部委員より、「推計で約337万人がオンラインカジノ経験者というのは驚くべき規模であり、個別に検挙してもその撲滅は容易ではない。アクセス遮断やプロバイダによる広告、リーチサイトの自動削除といった強力な手段を用いて、サイトに誘導する入り口の部分でシャットアウトしなければ目に見える効果が得られないと思う」旨、横畠委員より、「外国において合法とされているものであっても特定のオンラインカジノに誘導するサイトのいわゆる広告塔となる行為は賭博罪の幇助になり得るということについて個別に警告を行うべきである。また、オンラインカジノであっても資金をやり取りする確かな手段、サービスの提供がなければ賭けは成立しないので、資金の移動や決済を行う事業者に賭博関係資金の取扱いをしないよう所管庁からの指導、監督を強化していただきたい」旨、宮崎委員より、「若年層にとっては公営ギャンブルやオンラインゲームとの線引きが難しいので、単に「オンラインカジノは犯罪」と言うだけでなく、何がいけないのか理解できるところまで丁寧に説明する必要がある」旨、秋吉委員より、「ギャンブルによる借金が原因だと自己破産の免責不許可事由ともなり得るし、10代、20代の若者がオンラインカジノをきっかけに借金をし、依存症の自覚がある者も相当割合いる状況を踏まえると、こうした若者を守るためにもしっかりと取締りを進める必要がある」旨の発言があり、生活安全局長から、「警察としては運営側の取締りを中心に進め、オンラインカジノで実際に金を賭けることは違法だということもあわせて広報するなどして警鐘を鳴らしてまいりたい。また、御指摘のとおり、警察だけで解決できる問題ではなく、ギャンブル依存症対策の観点からも講じていくべきものは多いことから、今回の調査結果を関係省庁に提供し、それぞれが講じるべき対策についてしっかり議論し、実効あるものにしてまいりたい」旨の説明があった。
警備局長から、大阪・関西万博警備について報告があった。
横畠委員より、「万博協会による警備を「自主警備」と表現されたが、会場における来場者等の安全確保については、主催者である万博協会が第一義的責任を負うものであり、協会側の責任意識や警備態勢に問題はないか。警察は警備のプロとして、民間では対処困難な事態にも的確に対処する能力があると思うが、民間警備とも連携して、しっかりとその役割を果たしていただきたい」旨、秋吉委員より、「先般、野村委員とともに開会前の会場を視察したが、会場内外によく目配りがされ、また、様々な場面を想定した訓練も行われており、頼もしく感じた」旨、野村委員より、「秋吉委員と同意見であり、現場での権限委譲が細かく分類され、警備業務の整理の仕方が見事だった。不測の事態があるかもしれないが、警備を完遂していただきたい」旨、宮崎委員より、「警察は、事案が発生した際のダメージの最小化を図るクライシスマネジメントに長けているが、リスクマネジメント、つまり選挙日程との兼ね合い等事前のプランニングの段階での関わりにももう少し目配りが必要だと思う。また、警備に従事する警察官が暑熱対策として新たに導入される夏服を着用すれば、効果的な情報発信となるのではないか」旨、竹部委員より、「造成中の会場を視察した際、大阪の夏の暑さを肌で感じた。警備に従事する警察官一人一人がパフォーマンスを発揮できるよう、幹部は職員の心身の健康管理に配意していただきたい」旨の発言があり、警備局長から、「様々な事態を想定しているが、「不測」が生じることのないようしっかり事前準備してまいりたい。プランニングの段階でも警察から万博協会に必要な意見を出してきたが、今後開催される類似のイベントでも御指摘を踏まえて対応してまいりたい。警察から万博協会に警備の趣旨を説明した結果、万博協会は自身の責任において警備を行うと認識しているものと承知している。また、危機管理センターに万博協会、警察、海上保安庁等が一堂に会し、役割を分担して必要な連携をとりながら警備に当たることとしている。暑熱対策については、休憩場所としてトレーラーハウスを設けたり、スポットクーラーを設置したりするなどして職員の負担軽減を図るほか、長期間にわたる警備を見据え、メリハリをつけた態勢で臨むこととしている」旨の説明があった。
(6)令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について
サイバー警察局長から、令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について報告があった。
竹部委員より、「組織に対する投資と個々の職員の熟練度の向上との相乗効果がサイバー犯罪と対峙していくための生産性の向上につながり、その結果が今のサイバー警察局の力となっている点を高く評価したい」旨、宮崎委員より、「すばらしい成果を上げているが、捜査に支障を及ぼさないようにしつつ、抑止の実を上げられるように情報発信の仕方を一層工夫していただきたい」旨の発言があった。
(1)監察の取扱い事案について
首席監察官から、鹿児島県警視による地方公務員法違反等事案について報告があった。