定例委員会の開催状況
第1 日 時 令和7年4月3日(木)
午前10時00分 〜 午前10時55分
場 所 国家公安委員会室
第2 出席者 宮崎、竹部、野村、横畠、秋吉各委員
楠長官、太刀川次長、森元官房長、谷刑事局長、早川交通局長、筒井警備局長、飯濱技術総括審議官
大濱審議官(生活安全局担当)、阿部審議官(サイバー警察局担当)
第3 議 事
1 議題事項
(1)国家公安委員会の権限に属する事項の専決区分の整理(案)について
官房長から、国家公安委員会の権限に属する事項の専決区分の整理(案)について説明があり、原案どおり決定した。
秋吉委員より、「サイバーなどの専門的・技術的な分野での各種基準や計画の策定が「専門的・技術的事項」のみを定めるものであったとしても、結果として人権に関わるような重要な部分が生じることがあるようにも思うが、「専門的・技術的」という言葉は専決区分を整理する上で適した表現なのか」旨、横畠委員より、「ここでいう「専門的・技術的」とは、サイバーなどで言うところの科学的・技術的といった意味ではなく、法律等の本体では決めずに下位法令等に委任できる細目的事項ということではないか」旨、宮崎委員より、「サイバーのような専門的・技術的な問題を扱う際も同様の表現が使用されているので、表現に工夫が必要ではないか」旨の発言があり、官房長から、「「専門的・技術的」な内容であっても、警察庁の重要な方針を定める場合には専決処理とすることなく国家公安委員会の決裁が当然必要と考えている。御指摘を踏まえ、その表現も含めて検討してまいりたい」旨の説明があった。
(2)人事案件について
刑事局長から、人事案件について説明があり、原案どおり決定した。
(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について
国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。
2 報告事項
(1)国会の状況について
官房長から、国会の状況について報告があった。
(2)令和6年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯等の取締り状況について
審議官(生活安全局担当)から、令和6年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯等の取締り状況について報告があった。
竹部委員より、「悪質ホストクラブやオンラインカジノの相談件数や検挙事件数が大きく増加していることについて、警察の努力を評価したい。今回、悪質ホストクラブとオンラインカジノをトピックスとして取り上げているが、これらは依存性が高く、また、犯罪に利用されやすいので、社会に警鐘を鳴らしていくためにも、改正風営法の施行状況等を踏まえつつ、その他の風俗関係事犯等の取締り状況と一括りにせずに、しばらくは継続して特出ししていただきたい」旨、横畠委員より、「特に悪質ホストクラブとオンラインカジノについて主要検挙事例を挙げて具体的に実態を取りまとめて公表することは、客を含む関係者に注意と自制を促すという点でも大きな意義があると思う。引き続き積極的な取締り、検挙をお願いしたい」旨の発言があり、審議官(生活安全局担当)から、「今回は単なる統計の公表ではなく、社会問題化している悪質ホストクラブとオンラインカジノをトピックスとして取り上げたものであり、今後も社会情勢や国民の関心を踏まえながら取り上げてまいりたい。これらの問題では、依存状態から抜け出せない人やその家族など、多くの人々が悩みを抱えているので、時宜を得た広報啓発をしっかり行うとともに、厳正な取締りを推進してまいりたい」旨の説明があった。
刑事局長から、令和6年における組織犯罪の情勢について報告があった。
野村委員より、「これまでとは構成を変更し、警察が取り組むべき事項の優先順位を明確にした点を評価する。匿名・流動型犯罪グループと暴力団との結節点や現時点における問題点の把握の進展度、匿名・流動型犯罪グループの資金獲得活動の態様を踏まえた暴力団の活動の質的変化について伺いたい」旨、横畠委員より、「多くの具体的事例の紹介もあり、刑事局で所管する組織犯罪の実態をよく表した資料になっていると思う。暴力団等の伝統的な組織にとどまらず、各種の犯罪が分業や協業を含む様々な形態の組織によって敢行されている状況に対して、警察においても組織の縦割りにとらわれない柔軟、的確な対応を進めていただきたい」旨、竹部委員より、「他の項目と比べて、匿名・流動型犯罪グループの記載にやや物足りなさを感じる。説明事例を増やすと同時に、他項目のところにある匿名・流動型犯罪グループに関連する記載を同グループの項目にまとめ一覧性を高めるなど、警察庁の重点項目を明確に発信するための工夫が必要だと思う」旨、秋吉委員より、「ベトナム人の犯罪が増加しているが、犯行目的で入国しているのか、それとも入国後に勧誘されるなどして犯行に及んでいるのか伺いたい。後者であれば、警察の取組だけでは限界があり、入国後における技能実習制度の在り方や健全な地域コミュニティを構築するために他の行政機関との連携が必要ではないか」旨、宮崎委員より、「統計単体ではなく、関連する様々な要素と合わせてクロス分析すると新たなものが見えてくるのではないかと思う。例えば、数的変化の経年推移を示す横グラフの中に状況変化をもたらした施策や法律の施行のタイミングを縦線で示せば政策評価にもつながるのではないか」旨の発言があり、刑事局長から、「匿名・流動型犯罪グループの取締りを進めると、上部に暴力団が関与している実態が多くみられる。暴力団の資金獲得犯罪はその時々で変化しているが、金融サービスの悪用が浸透し、暴力団のリソースが詐欺に集中して有力な資金源の一つとなっている実態が認められる。今後、匿名・流動型犯罪グループの分析を更に深め、情報発信や取締りにより柔軟、的確な対応を進めてまいりたい。ベトナム人の犯罪では、不法残留者が検挙人員の多くを占めており、技能実習で入国後に不法残留となり、犯罪に手を染めているケースが多いとみている。改正入管法で育成就労制度が設けられ、外国人材受入れについては柔軟な仕組みとなる予定であり、引き続き入管当局や関係省庁等と情報共有しながら取組を進めてまいりたい」旨、長官から、「暴力団の従来の資金獲得活動は、組織の威力を示して縄張内で飲食店等に「みかじめ料」を要求するといったものであったが、現状では暴力団が匿名・流動型犯罪グループの一員として、自らは表に出ることなく、一般人を対象として詐欺等の資金獲得活動をしている実態が認められるので、伝統的な暴力団の資金獲得犯罪だけでなく、新たな資金獲得活動にもしっかり対応してまいりたい」旨の説明があった。
3 その他
(1)オンライン上の児童性的搾取事犯の集中取締りに係る国際協同オペレーションについて
宮崎委員より、「オンライン上の児童性的搾取事犯の集中取締りに係る国際協同オペレーション「オペレーション・サイバー・ガーディアン」が実施されるなど、近年、様々な国際共同捜査が有効に進んでいる。こうした取組は積極的に報告していただくとともに、犯罪の抑止力にもなるので、様々な方法で情報発信していただきたい」旨の発言があった。