定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 令和7年4月17日(木)

午前1000分 〜 午前11時40分

 

場 所 国家公安委員会室

 

第2 出席者 坂井委員長、宮崎、竹部、野村、横畠、秋吉各委員

楠長官、太刀川次長、森元官房長、檜垣生活安全局長、谷刑事局長、早川交通局長、筒井警備局長、逢阪サイバー警察局長、飯濱技術総括審議官

片倉首席監察官

 

第3  議 事

1 議題事項

(1)人事案件について

   官房長から、人事案件について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)人事案件について

   官房長から、人事案件について説明があり、原案どおり決定した。

 

(3)「事業性融資の推進等に関する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案」に対する意見募集について

   「事業性融資の推進等に関する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案」に対する意見募集について説明があり、原案どおり決定した。

 

(4)「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令の一部を改正する政令案」について

   刑事局長から、「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令の一部を改正する政令案」について説明があり、原案どおり決定した。

 

(5)「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」等に対する意見の募集について

   交通局長から、「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」等に対する意見の募集について説明があり、原案どおり決定した。

   宮崎委員より、「特定技能等で公共交通機関の運転に携わる外国人の場合も、今回見直す手続により二種免許を取得することになるのか。また、安全面に関して問題はないか」旨、秋吉委員より、「技能教習の時限が大幅に短縮されている印象がある。事前の実験では、二種免許での運転で重視すべき一部の実践的実技を実施しなくても支障がなかったとのことだが、引き続き慎重に対象者の運転技術を見極めていただきたい。また、パブリックコメントについては、変更点が分かりやすく伝わるよう工夫していただきたい」旨の発言があり、交通局長から、「特定技能で入国する者で、タクシーやバスの運転手の場合は、その保有する外国免許を基に外免切替手続により我が国の一種普通免許を取得した上で、新たに二種普通免許を取得するために教習所に行くことが想定され、この場合の学科・技能教習は、今回見直されるカリキュラムに基づくことになる。ただし、今回の見直しは、二種普通免許に係る学科・技能教習についてのものであるので、大型バスを運転するために二種大型免許を取得するのであれば、我が国で一旦一種大型免許を取得した上で従来どおりのカリキュラムに従って学科・技能教習を受けることになる。また、今回の改正は、実験教習を行った上でのものであり、安全面での問題はないと考えているが、法施行後の状況については注視してまいりたい。また、パブリックコメントについては、分かりやすい資料を付して行ってまいりたい」旨の説明があった。

 

(6)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)国会の状況について

   官房長から、国会の状況について報告があった。

   

(2)犯罪対策閣僚会議(第42回)について

   官房長から、犯罪対策閣僚会議(第42回)について報告があった。

   野村委員より、「昨年末の緊急対策は、いわゆる闇バイト強盗の減少など劇的な効果があったと評価でき、多様化する犯罪に対してはスピード感を持って早めに対策を打つことが有効であることが実証されたのではないか。これからは、仮装身分捜査や架空名義口座捜査に効果が期待されるが、もし懸念点があれば教えていただきたい」旨、横畠委員より、「国民を詐欺から守るためには、関係省庁が密接に連携して取り組む必要があり、閣僚会議には大きな意義がある。その上で、国民を詐欺から守るためには、民間の役割、特に通信関係事業者や金融関係事業者の役割が一層重要になってきていると思われる。これらの事業者が提供するサービスが犯罪に利用され、そのサービスを利用する多くの顧客が犯罪被害に遭うということであれば、そのサービス自体の品質、信頼性の問題になるのではないか。事業者は、自己が提供するサービスを犯罪に利用させない、また、そのサービスによって他の顧客が犯罪の被害に遭わないようにする社会的責任を負うのではないか。このような点で、金融関係事業者の取組は相当に進んでいると思われるのに対し、通信関係事業者の取組はやや遅れているのではないか」旨の発言があり、官房長から、「今回新たに掲げた架空名義口座捜査については、金融機関の協力を広く得る必要がある上、関係法令の改正も検討しており、仮装身分捜査よりも導入に時間を要すると考えている。詐欺に誘導するようなSNSを見付けるアプリの無償化など、通信分野に対して依頼すべき事項がまだまだあることから、通信事業者には社会的責任があるという点を意識して、様々なルートを活用して通信事業者や関係省庁に働き掛け、当事者としての意識付けと取組の促進を進めてまいりたい」旨の説明があった。

   竹部委員より、「利用者の利益よりも通信事業者の利益を優先する傾向がないか懸念しており、閣僚会議を通じて改善を促すべきではないか。「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」に掲げられた通信事業者に対する要求事項は、むしろ利用者に対するお願いが前提となっており、「利用者と犯罪グループとの通信の遮断」という強い言葉とその内容がマッチしているのか疑問に感じるところがある。現段階では困難かもしれないが、国際電話を利用したり、警察や官公庁を偽装したりする詐欺電話などについては、その分析結果次第では通信事業者と連携の上、強制的な遮断にまで踏み込んだ対策が必要ではないか」旨、委員長より、「通信事業者に関し、強制力を有する取組について検討してもらいたいが、ブロッキングについては慎重な検討が求められるとした裁判例があるため、難しい問題でもあると思う。今後、総務省がオンラインカジノに関する検討会を立ち上げ、アクセス抑止の在り方を議論すると承知しているので、その内容なども踏まえながら、強制的な措置を可能とするための適切な手段を是非考えてほしい」旨の発言があり、官房長から、「総務省や通信事業者には、通信の秘密についてこれまで培ってきた考えがあると思うが、利用者が犯罪被害に遭わない環境を整えることは通信事業者にとって間違いなく責務であるので、この責務と通信の秘密をどのように折り合いをつけていくかといった視点で対策を研究してまいりたい」旨の説明があった。

横畠委員より、「事業者がその提供するサービスが現に犯罪に利用され顧客が被害に遭っていることを知りながら放置して被害を拡大させることは、顧客に対する背信行為であるばかりでなく、犯罪に加担する行為、共犯と評価されることもあるのではないか」旨、委員長より、「ブロッキングに関する訴訟では、慎重な検討が求められると判示されたケースがあると承知している」旨、横畠委員より、「「通信の秘密」は重要であるが、それが通信当事者の利益のためのものであるならば、通信を犯罪に利用する当事者の利益よりもその通信により犯罪被害に遭う当事者の利益が優先されるべきなのではないか。多数の善良な顧客の利益を守るために、一部の悪意ある顧客によるサービスの利用を制限することは、法令の定めによらなくても、事業者と顧客との関係を規律するいわゆる約款で規定することでできることではないか。通信サービスを犯罪に利用することが拒絶されたことを理由として事業者に損害賠償を求めるといったことが認められるとは思わない」旨の発言があり、長官から、「莫大な額の詐欺の被害金が裏社会に流れていることは決して許容できるものではなく、通信事業者や金融機関等を含め社会全体で対策を考えなければならない。今回はSNS型投資・ロマンス詐欺等の各種被害のフローチャートを作成し、既存の対策とそれでは足りない部分を明らかにした。これを第一歩として今後も施策のフォローアップを行い、更なる対策の強化が必要であれば、関係省庁や金融機関、通信事業者等に積極的に働き掛けてまいりたい」旨の説明があった。

秋吉委員より、「先ほど委員長よりブロッキングに関する裁判の御指摘があったが、裁判は事案の性質や時代・社会の流れによって変化する。国民の意見が割れるように、裁判も裁判官の考え方で割れることがあり得るので、通信事業者等の安心感を醸成するためには、結果に係る予測可能性を担保し、通信の秘密をなるべく侵さない形でのルール化を検討した方が前進できるのではないか。また、匿名性の高い通信アプリも非常に問題であるので、通信の秘密にも踏み込んだ対策が講じられている諸外国があるならば、そうした国と連携することも一つの解決策になると思う。ところで、先般知り合いに「匿名・流動型犯罪グループ」、「トクリュウ」を知っているかと尋ねたところ、「知らない」、「関心がない」との回答だったので、引き続き世間に浸透するよう様々な対策や情報発信に努めていただきたい」旨、宮崎委員より、「SNS型投資・ロマンス詐欺をはじめとする各種被害のフローチャートは、できているもの、できていないもの、これからのものとがわかりやすくまとまっており、関係省庁や事業者への働き掛けにおいて説得力があり、安全な社会インフラを構築するための司令塔としての警察の役割を示す根拠として活用できるものであり、評価したい」旨の発言があり、官房長から、「通信の秘密を侵さない形でのルール化については、約款による利用者の同意といったものを擬制できれば、通信事業者側にとっても受け入れやすいと考えられるので、これを含めて法的にも予測可能な方策を検討してまいりたい。また、諸外国の中には、警察がウイルスを忍び込ませ、スマートフォンの内容を読み取ることを可能としているところもあり、法的な検討を含めてこうした取組を参考としてまいりたい。匿名性の高いアプリについて、外国の捜査機関との情報交換やアプリ開発企業が所在する国の捜査機関への働き掛けなども検討してまいりたい。また、「匿名・流動型犯罪グループ」についても、引き続き、分かりやすい情報発信に努めてまいりたい」旨の説明があった。

  

(3)警戒の空白を生じさせないための組織運営について

   官房長から、警戒の空白を生じさせないための組織運営について報告があった。

   宮崎委員より、「大変緻密な検討がなされ、まさしくこれが政策評価だといえる。組織のリソースの再配分、特に都道府県警察の人員配置の転換が大規模に行われ、これが功を奏しているところもあれば、地域部門がリソースとなったために従来の地域警察が手薄になってしまうのではないかといった懸念や、慣れない部署に配置されたために不祥事につながるなど、様々な問題も生じていたのではないか。都道府県警察が個々の実情に応じた人員配置を考えていると思うが、組織運営の全体像と同時に個別の取組みを評価するためにも、現場の視点での分析も必要だと思う」旨、野村委員より、「過去3年間のリソースの集中的・効率的な配分を進めた施策として高く評価したい。一方で、今後の日本の人口動態や警察力を考慮すると、これまでのやり方が今後も通用するのか危惧しており、重点分野へのリソース配分だけでは対処できない課題が生じてくる可能性がある。これまで培ってきた警察の目線は大事にしつつも、ハレーションを恐れず、駐在所の運用なども含めて議論の俎上に載せ、タブーを設けずに取り組んでいただきたい」旨、竹部委員より、「現在の組織体制では、リソースの最適配分は地方警察官の任用と実際の離着任を前提としているが、犯罪の質的な変化に応じた知見の蓄積、専門性の養成を考慮すると、将来的に人的な限界を迎えるおそれがあり、既に構築されている都道府県単位の組織をベースにして人的リソースを有効活用することは難しいと思う。日本警察の一番の信頼の根幹は、都道府県警察がそれぞれの地域で培ってきた地域ごとの治安を守ることであり、これを揺るがすわけにはいかないので、地元を守る警察と、国内治安上の問題となっている特殊詐欺のような専門的な犯罪等に対しては警察庁を司令塔とし全国的に対処を担う警察部隊という二層構造で警察組織をとらえていく必要があると思う。今後のリソースの配分を考えると、幹部の間でこのような青写真を共有しておく必要があると思う」旨、横畠委員より、「「警戒の空白」は、これまでの警察の縦割り組織では、融通無碍ともいえる近時の犯罪事象に的確に対応できなくなってきているという問題であり、これに対し、警察組織がそれぞれの専門性を生かした部門間の連携、協力や部門を超えたリソースの再配分の推進を迫られているというのが現状であり、この状況は今後も継続すると思われる。令和7年度は、集中取組期間の最終年度ということで、当面の取組としての完成形を目指していただきたいが、あわせて、組織の改革には、人材の確保、育成、活用のための対応など中長期的な施策を取り込むことも重要であるので、集中取組期間後の取組の在り方について今からしっかりと検討を進めていただきたい」旨、秋吉委員より、「組織の最適化は大切であり、調査した上で省力化される業務を検討していると思うが、例えばIT化によるオンラインでの相談、拾得物、被害の届出を可能にしたり、緊急時でも迅速な対応が可能であることなどを住民にしっかりと説明して、省力化されることによる不安感を取り除き、代替手段や提供するサービスなどについて納得を得る必要があると思う。そのためには、市区町村との連携による警察と住民をつなげる仕組み作りが必要だと思う」旨の発言があり、官房長から、「リソースの再配分によって個々の職員が有する専門的なスキルが埋没してしまうことのないよう、引き続き留意してまいりたい。また、過疎化が進む地域における駐在所や交番の運用合理化に関しては、集中運用により近くの大規模警察署等から臨場した方がレスポンスタイムの短縮につながるといった住民にとってメリットがあることをしっかりと説明していく必要があると考えている。御指摘があった二層構造の組織体制については、まさに警察力最適化のサイクルを深掘りしていく必要があり、警察本部と警察署の関係や警察署に必要とされる機能の見直しのほか、都道府県警察間の連携強化や特殊詐欺連合捜査班のような恒常的な体制の枠組の拡大、更に踏み込んで国と地方との役割分担の在り方についてもタブーなく議論してまいりたい。従来の部門の垣根を越えた対応が必要となる治安課題に対しては、その課題ごとに各部門の職員が集まり、縄張り意識を排除して個々の専門性を生かすなどして、相互に連携した総合的な対策に取り組んでまいりたい。また、市区町村や関連部署との連携について、かなり意識は浸透してきているところ、組織横断的なIT化、オンライン化、合理化についても、御指摘を踏まえて検討してまいりたい」旨の説明があった。

竹部委員より、「引き続き「空白」を埋めていく作業が続くこととなるが、その「空白」の一つに国際的な観点を盛り込んでいただきたい。国際捜査における二国間、多国間の連携は進んでいるものの、日本警察の手が行き届きにくいという意味で海外は「空白」であり、これを埋めるための取組をお願いしたい」旨の発言があり、長官から、「「警戒の空白」に対する取組は、勢いを止めずに継続することが警察庁幹部の共通認識であり、そこでは、部門縦割りでやってきた方策では対応できていない海外を含めた犯罪の広域化にどのように対応していくのかという視点が必要である。さらに、現状では採用倍率の低下になんとか対応できているが、今後欠員が生じるような状況に陥った場合に、何を残し、また、どのように集約して組織を維持するのかといった点なども踏まえながら、犯罪の広域化と地方における社会情勢の変化にどう対応していくのかという2つの視点を持って令和7年以降の取組方針を各局部で検討しているところである。地方における社会情勢の変化に対応するための警察の将来の在り方についても、現行警察法の中でできることを検討しているところであり、時宜をとらえて国家公安委員会にお諮りしながら施策としてまとめてまいりたい」旨の説明があった。

   

(4)監察の取扱い事案について

   首席監察官から、警視庁巡査部長による占有離脱物横領、邸宅侵入・窃盗事案に関し、同庁は、同巡査部長を免職処分とする予定である旨の報告があった。

 

(5)「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」の施行状況に関する国会への報告について

   警備局長から、「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」の施行状況に関する国会への報告について報告があった。