定例委員会の開催状況
第1 日 時 令和7年5月8日(木)
午前10時00分 〜 午前11時15分
場 所 国家公安委員会室
第2 出席者 坂井委員長、宮崎、竹部、野村、横畠、秋吉各委員
楠長官、太刀川次長、森元官房長、檜垣生活安全局長、谷刑事局長、早川交通局長、筒井警備局長、逢阪サイバー警察局長、飯濱技術総括審議官
第3 議 事
1 議題事項
(1)「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案」に対する意見の募集について
刑事局長から、「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案」に対する意見の募集について説明があり、原案どおり決定した。
横畠委員より、「マイナンバーカードのスマホ化で、マイナンバー自体を持ち歩かなくてよくなるという理解でよいか。また、マイナンバーカードと一体化した運転免許証のスマホ化は検討されているのか」旨、宮崎委員より、「一つの電子機器に全ての個人情報が記録されていると、スキミング等で全ての情報が盗まれた瞬間に自分を証明するものを失ってしまう危険性があると思うので、セキュリティはもとより事後の対応についても万全を期してほしい」旨、秋吉委員より、「犯罪グループの手口は非常に巧妙なので、情報が盗まれないか、悪用されないか、十分な対策が講じられているかしっかり見ていただきたい」旨の発言があり、刑事局長から、「スマートフォンには、マイナンバーの情報を含むカード代替電磁的記録が搭載されることとなるが、マイナンバーカードを提示することなく、マイナンバーカードの代替としてスマートフォンに搭載された電磁的記録によって本人確認が可能となる。セキュリティ上の問題はないという前提での改正であるが、全ての個人情報がスマートフォンに集約されるという意味では、これを落としたり、他人に悪用されたりするといった危険性が増すことを踏まえた注意が必要になろうかと思う」旨、交通局長から、「いわゆるモバイル運転免許証の社会実装については検討事項であり、今後、法的な手当やシステム等の制度設計を検討していく必要がある」旨の説明があった。
(2)重要経済安保情報に係る業務の適正の確保及び国家公安委員会における保護に関する規則等について
警備局長から、重要経済安保情報に係る業務の適正の確保及び国家公安委員会における保護に関する規則等について説明があり、原案どおり決定した。
秋吉委員より、「重要経済安保情報を指定する際に、遺漏や紛れ込みが生じないよう組織として特定に十分注意していただきたい」旨、横畠委員より、「規則の整備は必要だが、公安委員会が実際に重要経済安保情報の指定をしたり、保管をしたりする場面としてはどのようなものがあるか」旨の発言があり、警備局長から、「年に1回指定の理由を点検し、本来指定すべきでないものが紛れていないか確認することとしている。また、特定秘密や重要経済安保情報以外の秘密文書についても確認し、重要経済安保情報等として指定すべきものが適切に指定されるように遺漏のないよう努めてまいりたい。国家公安委員会の場合は、例えば議事録に重要経済安保情報、あるいは特定秘密に該当する記載があれば、国家公安委員会による指定と保管が必要となる場面が生じ得る」旨の説明があった。
(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について
国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。
2 報告事項
(1)人事案件について
官房長から、人事案件について報告があった。
(2)国会の状況について
官房長から、国会の状況について報告があった。
(3)警察庁サイバー部門・デジタル部門における技官採用の実施について
技術総括審議官から、警察庁サイバー部門・デジタル部門における技官採用の実施について報告があった。
竹部委員より、「今回の枠組での採用の規模感を教えていただきたい。この枠組で採用されるサイバー部門の技官に期待されるのは、捜査能力の習得を含めた警察官としてのキャリアなのか、それとも専門人材として特定の能力を発揮することなのか。また、こうした人材は、従前の枠組で採用された技官と同じキャリアパスを歩むと理解してよいか」旨、横畠委員より、「今般の技官の本庁採用は、警察庁におけるサイバー、デジタル分野での技術力の基軸を作るもので、大きな意義があると思う。良い人材を採用し、しっかりと育てていただきたい」旨、宮崎委員より、「この分野では、技術だけでなく、捜査能力を含め様々なセンスが求められるので、こうしたセンスの裏打ちとなる見聞を広げるための研修等を含めた新たな人材育成の方針を見える形で示すとよいと思う」旨の発言があり、技術総括審議官から、「従前の地方機関における採用では地方での勤務が主となるところ、新たな枠組で採用された技官については、東京を中心とした勤務を通じてサイバー、デジタル分野により深い知見を有する人材を育成していく。各部門で継続的に若干名を採用し、技官としての知識・技能を習得させることに加え、サイバー部門の採用者については警察官としての業務にも従事させて仕事の幅を持たせることとしており、御指摘を踏まえ、幅広い経験を積ませながらしっかり育成してまいりたい」旨の説明があった。
委員長から、「この分野の人材は需要があるので、民間に引けを取らない待遇等を考えると同時に、民間で能力を養った人材の採用も進め、警察のサイバー対処能力の確保に努めていただきたい」旨の説明があった。
3 その他
(1)川崎市内における死体遺棄事件について
生活安全局長から、川崎市内における死体遺棄事件について報告があった。
野村委員より、「事件発生直後の遺族への説明やメディア対応に関して問題はなかったのか」旨、秋吉委員より、「この種事案への対応要領についてマニュアルのようなものはあるのか。それとの関係で本件対応はどうだったのか、検証の必要があると思う。また、この事案を警察がどのように把握して、どのような対応をしたかということを、理由もあわせて、きちんと説明する必要があると思う」旨、竹部委員より、「客観的な事実に基づく検証並びに公平中立な発表内容としていただきたい」旨、宮崎委員より、「警察の対応については、都度、しっかりと説明できるようにしておく必要があり、被害者に寄り添い、世間の納得が得られるものであるかを常に考えながら対応していただきたい」旨、横畠委員より、「本件は被害者が亡くなった重い事案であり、警察として最悪の結果を避けるためにできることはなかったのかと思う。今は、捜査を尽くして事案の真相を解明することが最優先だが、あわせて、一連の警察の対応についてしっかりと検証を行い、問題点があれば明らかにして改めるということが必要。神奈川県警察には、本部長の下に検証チームを作り、県公安委員会の指導を受け、報告書を取りまとめて公表するようにしていただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「神奈川県警察は被害者が亡くなられたことを重く受けとめており、今後、人身安全関連事案に関する対応について警察庁が発出した通達の趣旨に沿った対応がなされていたか確認を進めるところ、警察庁としても神奈川県警察に対して、一連の対応状況について県公安委員会の指導も仰ぎながら、しっかり確認するよう指導してまいりたい」旨、長官から、「被害者が亡くなられていることを重く受けとめ、神奈川県警察の対応が被害者の安全確保に関して十分なものであったのかしっかり確認する必要がある。事案の全容解明に向けて捜査を尽くすことはもとより、当時の判断や対応が警察庁の通達の趣旨に沿った適切なものであったかよく確認するよう改めて神奈川県警察を指導してまいりたい」旨の説明があった。