定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 令和7年6月26日(木)

午前1000分 〜 午前11時20分

 

場 所 国家公安委員会室

 

第2 出席者 宮崎、竹部、野村、秋吉、相星各委員

楠長官、太刀川次長、森元官房長、檜垣生活安全局長、谷刑事局長、早川交通局長、筒井警備局長、逢阪サイバー警察局長、飯濱技術総括審議官

松坂政策立案総括審議官

 

第3 議 事

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、人事案件について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)令和7年警察白書(案)について

   政策立案総括審議官から、令和7年警察白書(案)について説明があり、原案どおり決定するとともに、数値の誤りや誤植等があった場合には、今後も適宜校正を行うことを決定した。

   相星委員より、「写真も豊富で非常に見やすく、資料価値が高い仕上がりになっている。内容のみならず、発行媒体の在り方も含め、読者の反応・評価を何らかの方法で調べて、今後の参考とするとよいのではないか」旨、宮崎委員より、「紙媒体から電子データに置き換わっていく中で、どのようなターゲットにどのような媒体を活用すると、より徹底した周知ができるのか、検討すべきだと思う。警察白書は毎年の特集を並べると、よく時代の波が見えるので、過去の白書で取り上げられた課題が現在このような状況になっているという検証も有意義なのではないか」旨、竹部委員より、「「SNSを取り巻く犯罪と警察の取組」という特集は時宜を得ており、また、特殊詐欺や匿名・流動型犯罪グループに関する統計や内容の充実度が増していることを評価したい。警察白書の目的の一つは、具体的な事例や犯罪に関する様々な分析を掲載して周知することによって特殊詐欺等に巻き込まれない社会的免疫力を高めることなので、この目的達成に向け、引き続き取り組んでいただきたい」旨の発言があり、長官から、「警察白書を作成する目的は、警察活動を広く周知し、国民に対して犯罪情勢や治安上の課題について広報啓発することである。その意味では、読者がどのように思われているのかということは大事な視点であるので、何らかの形で利用者の反応を把握することを検討してまいりたい」旨の説明があった。

 

(3)「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律第二条第五号に規定する指定金属切断工具を定める政令案」に対する意見の募集について

   生活安全局長から、「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律第二条第五号に規定する指定金属切断工具を定める政令案」に対する意見の募集について説明があり、原案どおり決定した。

 

(4)「古物営業法施行規則の一部を改正する規則案」に対する意見の募集について

   生活安全局長から、「古物営業法施行規則の一部を改正する規則案」に対する意見の募集について説明があり、原案どおり決定した。

 

(5)人事案件について

   刑事局長から、人事案件について説明があり、原案どおり決定した。

 

(6)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)令和6年度における留置施設の巡察の実施状況について

   官房長から、令和6年度における留置施設の巡察の実施状況について報告があった。

   竹部委員より、「留置業務は、基本を徹底しつつも、個々の被留置者に応じた対応が必要となる非常に難度の高い業務であり、今年度の巡察においても、一昨年に改正した通達に即した業務状況となっていることを改めて確認していただきたい。また、これまでも申し上げているが、地道に勤務している留置担当職員のモチベーション向上のため、幹部による目配りと適切な評価を心掛けていただきたい」旨、秋吉委員より、「特別要注意者や問題被留置者はどのような基準で、誰が指定するのか。また、巡察では戒具や保護室の使用状況についても確認しているのか」旨、宮崎委員より、「過去に指摘された医療機関との連携不足を踏まえ、再発防止のための体制が構築され、しっかり運用されているのか」旨の発言があり、官房長から、「留置担当職員からは、緊張感の伴う厳しい業務である旨の意見が多く寄せられており、緊張感とともに充実感が得られるよう引き続き配意してまいりたい。特別要注意者や問題留置者は、警察本部の留置担当課と協議の上、留置業務管理者である警察署長が指定しており、犯罪の態様や言動から自殺や逃走のおそれがあるかを判断し、注意を要する兆しを認識した段階で記録化して警察本部に報告するよう指導している。巡察では、戒具や保護室等の使用状況についても必ず確認しており、令和6年度の巡察においては問題となる事例は認められなかった。夜間等で嘱託医が対応できない場合には迷うことなく救急車を呼ぶよう指導しており、現状では医療機関との連携に構造的な問題はないと承知しているが、現場の声に耳を傾け、改善が必要な点があれば厚生労働省に積極的に働き掛けてまいりたい」旨の説明があった。

   秋吉委員より、「対応を記録化することによって、その時の警察の判断が明確になり、事後の説明責任にも資するので、引き続き、記録化の徹底をお願いしたい」旨の発言があった。

   

(2)監察の取扱い事案について

   長崎県巡査による犯罪収益移転防止法違反等事案に関し、同県警察は、同巡査を免職処分とする予定である旨の報告があった。

 

(3)第27回参議院議員通常選挙に向けた警備諸対策について

   警備局長から、第27回参議院議員通常選挙に向けた警備諸対策について報告があった。

   相星委員より、「選挙運動期間中だけでなく、投開票日も警備諸対策を講じているのか」旨、宮崎委員より、「選挙運動期間に重なる形で、関西万博では7月3日に日本の、投開票前日の7月19日には米国のナショナルデーがそれぞれ設定されているが、選挙に向けた警備に支障はないか」旨、竹部委員より、「安倍元総理の銃撃事件を受けて新たに制定した警護要則に沿って警護警備の在り方を見直してきた成果を発揮していただきたい。近時、警備諸対策のレベルが上がり、選挙に関連した重大な事案は発生していないが、一方でこのような状況が常態化すると、現場の危機意識が希薄化するおそれがある。これまで、「警戒の空白を生じさせないための組織運営」に努めてきたわけであるから、全国警察をしっかり指導し、現場の危機意識を高めてほしい」旨の発言があり、警備局長から、「投開票日には、主に投票所の警戒を行っている。日本や米国のナショナルデーに合わせて、多くの警護対象者等が関西万博に訪れる予定であり、大阪府警察では、選挙警護との兼ね合いも考慮した態勢を整えているが、必要に応じて他府県警察の部隊を応援派遣するなどして対応することとしている。これまでも緊張感を持って警備に臨むよう全国警察を指導してきたところであるが、更にしっかり取り組んでまいりたい」旨の説明があった。

 

3 その他

(1)警視庁に係る国家賠償請求事案の東京高裁判決を踏まえた方針について

   野村委員より、「通り一遍の検証や再発防止策の検討ではなく、警察庁主導の下、危機感を持ち、相当踏み込んだ検証を行い、再発防止策と併せて公表する必要がある。警察のガバナンスにも関わるので、逐次、国家公安委員会への報告を求めたい」旨、相星委員より、「東京都公安委員会が警視庁をしっかり管理して検証を進めていくと思われるが、関係者にもよく理解していただけるものとなるよう、警察庁による指導と監督が非常に重要である」旨、秋吉委員より、「裁判での証拠関係を踏まえつつ、関係者から更に深く話を聞く機会が必要である。警察庁においても、警視庁とのやり取りを含め、本件に係る対応状況を確認し、当時の経緯を明らかにしていかなければ世間の納得は得られないと思う」旨、竹部委員より、「東京都公安委員会が警視庁からの報告を丁寧に吟味して真相に近づけていく役割を果たすのと同時に、国家公安委員会も警察庁と共に検証の全体の在り方を管理していかなければならない」旨、宮崎委員より、「本件に警察庁としてどのような立ち位置で臨んだのかも含め、正面から向き合っていかなければならないということで国家公安委員会委員の意見は一致している」旨の発言があり、長官から、「本件を大変重く受け止めており、本件における警察庁の関与の状況についても確認し、逐次、国家公安委員会に報告してまいりたい。本件についてしっかり反省した上で、同じ事が繰り返されないよう再発防止策を講じ、組織としてこの種の捜査にどのように取り組んでいくのか世の中に示すことが大変大事であると考えている。現在、副総監をトップとする警視庁の検証チームが東京都公安委員会の指導を受けながら検証を進めているところであるが、その状況についても逐次国家公安委員会に報告し、御指導いただくこととしたい」旨の説明があった。