定例委員会の開催状況
第1 日 時 令和7年7月10日(木)
午前10時00分 〜 午前11時50分
場 所 国家公安委員会室
第2 出席者 坂井委員長、宮崎、竹部、野村、秋吉、相星各委員
楠長官、太刀川次長、森元官房長、檜垣生活安全局長、谷刑事局長、早川交通局長、筒井警備局長、逢阪サイバー警察局長、飯濱技術総括審議官
阿部審議官(交通局担当)
小笠原審議官(国際担当)
第3 議 事
1 議題事項
(1)警察行政手続オンライン化システムの概要等について
官房長から、警察行政手続オンライン化システムの概要等について説明があり、原案どおり決定した。
秋吉委員より、「国民の利便性が向上する良い取組だと思う。システム導入当初は様々な対応が予想されるが、審査を担当する職員の判断を補助する機能を導入するなどして、職員にとってもシステム利用によるメリットを感じられるよう配意していただきたい」旨、宮崎委員より、「警察と申請者間における申請の補正に関するやり取りは、どのような形式で行うのか」旨の発言があり、官房長から、「職員が効率的にシステムを使用できるよう準備してまいりたい。申請者とのやり取りは、基本的にはシステム上で一連の手続を行うこととなる」旨の説明があった。
(2)「警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律施行令の一部を改正する政令案」について
「警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律施行令の一部を改正する政令案」について説明があり、原案どおり決定した。
(3)「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」等に対する意見の募集等について
交通局長から、「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」等に対する意見の募集等について説明があり、原案どおり決定した。
宮崎委員より、「外国人が免許を取得する際には、日本の慣習やマナーを理解した上で試験を受けてもらうことが大切だと思うが、試験前に講習会のような何らかの取組を実施する予定はあるのか」旨、秋吉委員より、「申請者が住民基本台帳法の適用を受けない者である場合に必要となる書類として、「公の機関が発行した住所を確かめるに足りる書類又はこれに準ずるもの」とあるが、この「準ずるもの」は何を想定しているのか」旨の発言があり、交通局長から、「諸手続のために免許センターを訪れる外国人へのリーフレットの配布を含め、免許取得後もカバーした多角的なアプローチにより、日本の交通ルールやマナーについての理解の深化を図ってまいりたい。お尋ねの「準ずるもの」は、例えば外国人レーサーの手続において、従前から外国運転免許証の翻訳実績のある機関であるJAFが発行する証明書類が挙げられる。これ以外でも個別の判断が必要とされる例外的なケースが生じ得るであろうが、あくまでも限定的な運用であることを対外的にも明確に示してまいりたい」旨の説明があった。
(4)「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」に対する意見の募集について
交通局長から、「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」に対する意見の募集について説明があり、原案どおり決定した。
(5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について
国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。
2 報告事項
(1)監察の取扱い事案について
東京都警察情報通信部の警察庁事務官による職務懈怠事案に関し、同部は、同事務官を減給処分とする予定である旨の報告があった。
(2)国際刑事警察機構(ICPO)執行委員会選挙への立候補について
刑事局長及び審議官(国際担当)から、国際刑事警察機構(ICPO)執行委員会選挙への立候補について報告があった。
宮崎委員より、「国境を越えて様々な事象が発生し、国際社会における日本の立ち位置も転換期を迎えている中、こうして存在感を示すことは大事なことなので、ぜひ頑張っていただきたい」旨の発言があった。
(3)「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」に基づく再発防止処分請求に関する警察庁長官の意見陳述について
警備局長から、「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」に基づく再発防止処分請求に関する警察庁長官の意見陳述について報告があった。
3 その他
(1)米国財務長官の来日に伴う警備について
宮崎委員より、「米国財務長官が来日するが、警備体制について伺いたい」旨の発言があり、警備局長から、「事前準備を進めており、しっかりとした警備体制を構築できると考えている。引き続き、関係都府県警察との調整を図り対応してまいりたい」旨の説明があった。
(2)警視庁検証チームの活動状況等及び警察庁における対応状況等について
警備局長から、警視庁検証チームの活動状況等及び警察庁における対応状況等について報告があった。
秋吉委員より、「第五係長の捜査運営について、犯罪捜査規範に定める捜査の基本を欠いていたとのことであるが、具体的に教えてほしい。また、捜査員の問題点ではなく捜査指揮に関する問題点を取り上げたのはなぜか。捜査指揮というと、捜査の監督責任のような感じがする。加えて、弁解録取書の廃棄について、控訴審判決の事実認定の関係はどうなるのか」旨の発言があり、警備局長から、「第五係長が行ってきた捜査指揮は、例えば、犯罪捜査規範上の、合理捜査、総合捜査、公訴、公判への配慮、捜査の組織的運営等の規定等に照らし、捜査の基本を欠いていたものと考えている。弁解録取書の廃棄については、廃棄した本人に対してこれまでも確認を行ってきたが、本人は、一貫して故意に行ったものではないと主張しており、他の捜査員にも聞いてはいるが、本人の主張を覆す客観的な証拠は存在しない状況である」旨、長官から、「捜査指揮というのは、一般の監察事案における監督責任とは異なり、幹部は、それぞれの立場から犯罪捜査規範等に定められる指揮を行わなければならない行為責任がある。例えば、第五係長は捜査主任官として個別の捜査を指揮する責任を有しており、そうしたことを検証しているものである」旨の説明があった。
野村委員より、「今、メディアの関心事は、なぜ謝罪に時間がこれだけかかったのかということや、警察内部にチェック能力があるのかということだと思うので、踏み込んで検証していただきたい。今回の事案が発生した原因として、組織の体質についても踏み込むことはできないのかということを検討してほしい。また、再発防止策として、経済安全保障の確保方策として、事件化したら評価するというだけでなく、未然防止についても評価する仕組みとできないか」旨の発言があり、警備局長から、「捜査班運営上の問題については、消極的な情報が上に上がらないなどといった体質も関係していると考えており、こうした観点から問題を掘り下げ、再発防止策も考えたい。未然防止に関する評価の方法についてもよく検討したい」旨、長官から、「今回、判決の中で、「捜査機関解釈」という形で書かれていること自体反省しなければならないと考える。事件化と行政措置に関する経済産業省との役割分担については、きちんと整理し、経済産業省とも協議を行う必要があり、来週以降、警察庁の再発防止策について報告する中で御説明させていただきたい」旨の説明があった。
竹部委員より、「公安部長や外事第一課長が必要な指揮を行っていなかった旨記載があるが、なぜそうなってしまったのか。また、再発防止策についても、個々の捜査員の能力向上についてこれから練度を上げていくとのことであるが、公安部全体がどのように今後再発防止を図っていくのかを取り上げてほしい」旨の発言があり、警備局長から、「部長や課長の捜査指揮がなぜ行われていなかったのかということについては、原因を究明しなければいけないと思っており、十分留意して引き続き取り組みたい」旨、長官から、「本日、各委員から頂いた御意見を十分踏まえながら、更に検討していきたい」旨の説明があった。
宮崎委員より、「今、警察の守備範囲がとても広くなっているので、どこまで関与すべきかについては難しいところではあるが、個別の機械の性能や規制該当性については、警察が判断することではなく、まずは所管省庁が行うべきではないか。また、警視総監賞を出したことや、警察白書に書いたこと等も含め、広く検証をしてほしい」旨の発言があり、警備局長から、「今回の件に関しては、本来経済産業省において判断していただくべき部分について、警視庁の方が強く関与していたことは否めない。外為法違反捜査の在り方について整理していきたい。また、当時警察庁長官賞等も出すなど、事件を検挙した時点においては、肯定的に評価していたことは否めず、外為法違反捜査の整理の中で、警察庁としても、関係省庁との関係等にしっかりと取り組みたい」旨の説明があった。
委員長より、「記載については、経済産業省と調整する必要はないのか」旨の発言があり、警備局長から、「今後の外為法違反捜査の整理等については、経済産業省と協議する予定であり、内容に応じて経済産業省に確認したい」旨、長官から、「判決では、本件捜査において合理性を欠く解釈をとり、経済産業省から示された問題点について再考することなく逮捕に踏み切ったと指摘されており、こうしたことをベースにしながら記載内容を検討したい」旨の説明があった。
野村委員より、「不正輸出の問題に関して、経済産業省を前面に出し、警察は引くとのメッセージとして受け取られるようなことがあれば、この世界情勢の中でいかがなものか。国家戦略にも関わる話であり、懸念国を喜ばせる結果とならないよう、メッセージの発信の仕方は慎重に検討してほしい」旨の発言があり、長官から、「外為法の規制対象となる物品に係る法令解釈については、警察と経済産業省が協力し、経済産業省に確認してもらうことが基本だと考えているが、悪質な事案については、警察としてしっかりと捜査する必要があり、誤ったメッセージにならないように配慮しながら進めたい」旨の説明があった。
委員長より、「特に、こうした規制に係る法令解釈が定まっていない事案の時には、経済産業省と警察の棲み分けを整理しておいた方がいいと考える」旨の発言があり、長官から、「外為法違反取締りの考え方については、現在整理を進めており、その検討結果をお示しした上で改めて議論させていただきたい。やはり、規制対象となるか否かについて輸出者に理解してもらうことが重要であり、経済産業省による警告等の手続や、業界への周知が重要であると考えている。他方、悪質な事案については、規制対象物品に該当するかどうかについて捜査の過程で経済産業省に確認しつつ、必要な取締りを行うことは当然であり、経済産業省ですべての案件を行政的にやってくださいということでは決してない」旨の説明があった。