定例委員会の開催状況
第1 日 時 令和7年7月17日(木)
午前10時00分 〜 午前11時20分
場 所 国家公安委員会室
第2 出席者 坂井委員長、宮崎、竹部、野村、秋吉、相星各委員
楠長官、太刀川次長、森元官房長、檜垣生活安全局長、谷刑事局長、早川交通局長、筒井警備局長、逢阪サイバー警察局長、飯濱技術総括審議官
片倉首席監察官
第3 議 事
1 議題事項
(1)国家公安委員会規則の一部改正に係る国家公務員倫理審査会の同意の申請について
国家公安委員会規則の一部改正に係る国家公務員倫理審査会の同意の申請について説明があり、原案どおり決定した。
(2)令和8年度警察庁予算概算要求重点項目(案)について
官房長から、令和8年度警察庁予算概算要求重点項目(案)について説明があり、原案どおり了承した。
野村委員より、「警察基盤の充実強化として、学校施設等の整備を人材確保方策に位置付けて焦点を当てた重点テーマを掲げたことを高く評価したい。将来的な警察力維持のために大事な投資となるので、臆することなく予算獲得に向けて進めていただきたい」旨、竹部委員より、「学校施設に関しては、単に新しいものに置き換えるのではなく、例えば管区ごとにまとめて数的な合理化を図るとともに、新しい学校には、若者も共感できるような先進性を取り入れるなど、計画的かつ戦略的に進めていただきたい」旨、宮崎委員より、「様々な事象が警察組織の各部門の境界線を越えて起こっている中、事象全体を俯瞰的に捉えるに当たっては、政策評価にも反映できるような構造的な資料を示すと、対外的にも部門間の相関関係を分かりやすく説明できると思う」旨の発言があり、官房長から、「警察学校の在り方については議論を開始しており、御指摘も踏まえながら中長期的な計画を立案するなどしてまいりたい。また、サイバー空間の脅威への対処や匿名・流動型犯罪グループ対策等について、複数の部門にまたがるものであることを財務当局に理解していただけるよう、工夫して説明してまいりたい」旨の説明があった。
委員長より、「警察学校等の施設の整備は、職員の採用にも大きな影響を及ぼすものであるので、前例踏襲ではなく、組織の能力、また存続を左右する懸案であるという危機感を持って、財務当局にもしっかり理解してもらえるよう予算要求に取り組んでいただきたい」旨の発言があり、長官から、「委員長から御指摘のあった点について、庁内で認識を改めて統一した上で予算要求を進めてまいりたい」旨の説明があった。
(3)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について
国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。
2 報告事項
(1)監察の取扱い事案について
首席監察官から、警視庁警部による窃盗事案に関し、同庁は、同警部を免職処分とする予定である旨、警視庁巡査による詐欺事案に関し、同庁は、同巡査を免職処分とする予定である旨、静岡県巡査による酒気帯び運転等事案に関し、同県警察は、同巡査を免職処分とする予定である旨の報告があった。
(2)インターネット・ホットラインセンターにおける「ホットライン運用ガイドライン」の改定案に対する意見募集について
サイバー警察局長から、インターネット・ホットラインセンターにおける「ホットライン運用ガイドライン」の改定案に対する意見募集について報告があった。
3 その他
(1)川崎臨港事件の捜査状況及び神奈川県警察における検証の進捗状況について
生活安全局長及び刑事局長から、川崎臨港事件の捜査状況及び神奈川県警察における検証の進捗状況について報告があった。
(2)警視庁検証チームの活動状況等及び警察庁における対応状況等について
警備局長から、警視庁検証チームの活動状況等及び警察庁における対応状況等について報告があった。
委員長より、「警視庁が東京都公安委員会の管理を受けて進めている今回の検証について、国家公安委員会はどのような立場で関わるのか」旨の発言があり、警備局長から「国家公安委員会の管理を受ける警察庁が、警視庁の検証作業を監督しているという関係性である」旨の説明があった。
相星委員より、「今回の報告書案について、経済産業省に関わる部分は同省にも共有されているのか。経済産業省令の規定にあいまいさがあるとの指摘について、同省は対応を講じているのか」旨の発言があり、警備局長から「経済産業省には関係する部分をこれから共有し、確認を求めていく。経済産業省では、今回の判決を受けて省令の見直しを検討していると聞いている」旨、長官から「経済産業省令の規定のあいまいさは判決の中で言及されており、原告側弁護士の要望も踏まえて経済産業省が見直しを進めていると認識している。報告書の記載内容は同省ともよく調整をしていく」旨の説明があった。
竹部委員より、「今回の報告書案には、東京都公安委員会の意見をはじめ、今後、様々な意見が出てくる可能性があるが、それらをどのように調整するのか」旨の発言があり、警備局長から「東京都公安委員会の委員には、警視庁から報告書案を示して意見を求めており、頂いた御意見に対して都度しっかりと対応していく」旨、長官から「国家公安委員会からの御指摘は警視庁にも伝達し、必要な論点が報告書に盛り込まれるよう、検討していくこととしたい」旨の説明があった。
野村委員より、「産業の育成・振興を旨とする経済産業省は、警察のように不正輸出を粘り強く追いかけて食い止めていくという意識を持っているのか。グローバルなサプライチェーンの管理が難しくなる中で、同省には対応できる体制があるのか」旨の発言があり、警備局長から「いずれも経済産業省がお答えすべき事項であるが、外為法の目的に関する認識は同省と警察の間で共有されている。アプローチの在り方については同省の考えもあるかと思うので、意見交換してまいりたい」旨の説明があった。
宮崎委員より、「当該事件の検挙について、報告を受けた内容を基に、警察庁として一度は肯定的に評価し長官賞を出すなどしたことについても反省や検証が必要ではないか」旨の発言があり、警備局長から「外為法違反取締りの在り方の見直しとして掲げた取組を通じて、問題のある案件がそのまま進捗し、今回のような状況を招くことのないようにしたいと考えている」旨の説明があった。
秋吉委員より、「報告書案に掲げられた再発防止策は、外為法違反事件に限らず、行政法規の解釈を伴う他事件にも妥当する部分があるのではないか。捜査指揮の在り方等については、部門横断的に検討していただくことをお願いしたい」旨の発言があり、警備局長から「今回の事件においては、事件検挙の数が少なく捜査経験が蓄積されにくい公安・外事部門特有の事情や、国際合意を根源とする非常に専門的・技術的な規制を扱わなくてはならない外為法違反取締りの特殊性が主な要因になったものと考えており、報告書案はそうした観点からの記載となっているが、他部門においても教訓とすべき事項等については、部門横断的に情報共有を行うなどしながら対応してまいりたい」旨、長官から「今回の反省事項と再発防止策を様々な機会を通じて部門横断的に共有し、これを他山の石として対応してまいりたい」旨の説明があった。