定例委員会の開催状況
第1 日 時 令和7年7月24日(木)
午前10時00分 〜 午後0時05分
場 所 国家公安委員会室
第2 出席者 坂井委員長、宮崎、竹部、野村、秋吉、相星各委員
楠長官、太刀川次長、森元官房長、山田生活安全局長、谷刑事局長、早川交通局長、筒井警備局長、逢阪サイバー警察局長、飯濱技術総括審議官
片倉首席監察官
第3 議 事
1 議題事項
(1)人事案件について
官房長から、人事案件について説明があり、原案どおり決定した。
(2)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について
国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。
2 報告事項
(1)警察活動におけるウェアラブルカメラ活用の試行について
技術総括審議官から、警察活動におけるウェアラブルカメラ活用の試行について報告があった。
野村委員より、「雑踏警備で撮影された映像に不審者が映っていた場合に、その映像を警護警備のために使用することはできるのか。使用可能である場合、雑踏警備で撮影したデータが1週間で自動消去されるのは、現場からすると窮屈な運用とならないか」旨の発言があり、警備局長から、「具体的な犯罪の状況が映っているような場合に、刑事訴訟法に基づいて捜査に活用することはあるが、お尋ねのような本来の目的とは異なる使用は想定していない。また、映像の使用目的を勘案した上で、システムの構成上、保存期間が1週間となっている」旨の説明があった。
秋吉委員より、「地域警察活動におけるウェアラブルカメラの利用目的の一つとして挙げられている「適正な地域警察活動の確保」について、都道府県警察の地域部門での運用の中で拡大解釈されることがないよう、試行に当たり工夫していただきたい」旨の発言があり、官房長から、「御指摘を踏まえ、利用目的の趣旨を対外的にしっかり説明するとともに、都道府県警察が運用要領を定める場合にも、利用目的が拡張することにならないよう指導してまいりたい」旨の説明があった。
宮崎委員より、「職務質問の対象者がその様子を撮影し、編集するなどしてインターネット上に公開するケースも多いので、警察官側の撮影画像が実際の現場の状況を確認するための有効な手段になると思う。他方で、プライバシーの観点等、相手方から撮影を拒まれた場合には、どのように対応するのか」旨の発言があり、技術総括審議官から、「対象となる方に撮影の必要性を丁寧に説明し、理解を得て撮影を行うこととしている」旨の説明があった。
首席監察官から、令和7年上半期の懲戒処分者数について報告があった。
竹部委員より、「特定の県警察で懲戒処分者数が高止まりして固定化した状態にあるのだとすれば、これを打開するためにどのような対策を検討しているのか」旨、宮崎委員より、「警察活動として充実した評価を積み重ねていても、非違事案一つで信頼が崩れ去ってしまう。是非とも非違事案に至る前に何とか防ぐ手立てを考えていただきたい。また、大規模県でも懲戒処分者数を0名に抑えているところもあることから、参考となる取組を好事例として全国に還元していただきたい」旨、秋吉委員より、「異性関係や飲酒に関連した非違事案では、ストレスが一因となっている面があると思うので、ストレスチェック等の結果も分析して改善につなげていくことも検討していただきたい」旨の発言があり、首席監察官から、「必ずしも固定化しているわけではないが、特に懲戒処分者数が多い県警察には、その原因を分析させ、その分析結果を踏まえた取組について報告を受けながら指導してまいりたい。非違事案を防ぐためには、倫理観や使命感の醸成に加え、「兆し」を早期に把握するための取組が重要だと考えている。また、警察庁において把握した好事例については、あらゆる機会を通じて全国に還元してきているが、引き続きアップデートしながら還元してまいりたい。ストレスチェックの結果が非違事案の予防の参考となる場合があることも踏まえ、人事担当部門とも連携しながら対応してまいりたい」旨の説明があった。
(3)第27回参議院議員通常選挙に伴う警備諸対策の実施結果について
警備局長から、第27回参議院議員通常選挙に伴う警備諸対策の実施結果について報告があった。
相星委員より、「先の衆院選と比較して、手荷物検査等における危険物の発見数が大幅に増加した理由を教えていただきたい」旨の発言があり、警備局長から、「現時点では確たる理由は判然としないが、今後、都道府県警察から聴取して分析してまいりたい」旨の説明があった。
竹部委員より、「演説場所の設定や各種検査の導入等といった取組について、主催者や聴衆から一定の理解を得られたことが警護警備の完遂につながったものと思う。その一方で、演説現場での小競り合いも多くあったと聞いているが、今後、警護対象者以外の街頭演説等でも一定の危険度が予測される場合は、それに応じた警備体制を構築して対策を講じていくのか」旨、宮崎委員より、「事件検挙とは異なり、この種の分野における評価を数字で表すことは困難だが、違法行為を未然に防止した場合の評価の枠組は新たに考える必要があり、現場のモチベーション向上につながる工夫をしていただきたい」旨の発言があり、警備局長から、「警護対象者以外の方の街頭演説等についても、警察が事前に何らかの危険な兆候を把握した場合には、先方に自主警備の要請をしたり、警察から対策員を派遣したりするなどして、現状でも対策を講じているところ、ローン・オフェンダー等対策を含め、引き続き同様の対策を講じることとしている。警備における評価については、御指摘を踏まえ、数字に表れにくい部分を含めた評価について工夫してまいりたい」旨の説明があった。
委員長から、「今回の警備諸対策の結果を踏まえ、主催者や聴衆の理解の深化に努めながら、引き続きより良い警備を推進していただきたい」旨の発言があった。
(4)ランサムウェアPhobos/8Baseによる暗号化被害データに関する復号ツールの開発について
サイバー警察局長から、ランサムウェアPhobos/8Baseによる暗号化被害データに関する復号ツールの開発について報告があった。
宮崎委員より、「世界最先端の開発であり、携わった職員が更に良い仕事ができるよう勤務環境を整えていただきたい」旨の発言があった。
3 その他
(1)再審事件の判決等について
刑事局長から、再審事件の判決等について報告があった。
宮崎委員より、「判決をしっかり受けとめ、世間の信頼を回復すべく対応していただきたい」旨、秋吉委員より、「供述の取扱いの問題点を再認識させられる判決であり、警察はもとより、司法全体として、供述の扱い方を研究していかなければならないと感じた」旨、野村委員より、「供述に過度に依存せず、デジタルデータをいかに活用していくかが喫緊の課題だと思う。捜査活動におけるデジタルデータの取扱いについては、個人情報等のセンシティブな問題があることは承知しているが、議論の俎上にあげていただきたい」旨の発言があり、刑事局長から、「これまでも適正捜査に関して様々な取組を進めているところ、今回の判決等も踏まえ、現場の警察官に取調べの際の留意点をしっかり認識させて取り組むよう指導してまいりたい。また、デジタルデータを含め客観的な証拠の収集についても関係省庁等と連携して取り組んでまいりたい」旨の説明があった。
(2)警視庁検証チームの活動状況等及び警察庁における対応状況等について
警備局長及び首席監察官から、警視庁検証チームの活動状況等及び警察庁における対応状況等について報告があった。
相星委員より、「関係者との間で基本的な事実関係の認識について相違があるのであれば、報告書の中でもそれに留意した扱いが必要ではないか」旨、秋吉委員より、「捜査員から再実験に関する進言がなされたのかといった事実関係が確定されないと、現場の問題点は見えてこないのではないか」旨、宮崎委員より、「外為法の規制に対する該非の最終的な判断は経済産業省が担うはずであり、当時行われた同省と警察のやり取りについては、双方が合意できる形できちんと記載し、何が問題であったのかを明らかにすべきではないか」旨の発言があり、長官から、「事実関係については判決で一定の判断がなされていることから、基本的にはそれを前提として検証を行い、対策を考えていくことが建設的であると考えている。原告の立場からは、事実関係について疑問に思う点もあると思うので、そこはできる限り確認し、御説明していくものと考えている」旨の説明があった。
秋吉委員より、「今回、捜査指揮についての切り口が主となっており、捜査の現場の問題点があまり取り上げられていない理由は何か」旨の発言があり、警備局長から、「判決の中では、取調べや弁解録取に違法があったとされており、捜査指揮に限らず、こうした現場の問題点も含めて検証し、再発防止策にも反映している」旨、長官から、「現場で行われたことは判決で事実認定されているので、そこで触れられていない捜査指揮の面をしっかりと取り上げることを基本的な考えとしている」旨の説明があった。
野村委員より、「行き過ぎた捜査等を内部で修正する手段として、内部通報をより積極的に活用する旨を記載すべきではないか」旨の発言があり、警備局長から、「引き続き再発防止策を考えていく中で検討してまいりたい」旨の説明があった。
委員長より、「今後、同種事件については、経済産業省の判断を仰ぐこととしている中で、同省として責任を持って判断する姿勢となっているのか」旨の発言があり、警備局長から、「外為法は、経済産業省の所管法令であり、まずは同省の方で判断していくことや、事業者等の予見可能性を高めるための行政指導を行っていくことについて、共通の理解があると考えているが、それが実行に移されていくよう各級で協議を続けていくとともに、警察庁としても、同省と都道府県警察の協議に参画することなどを通じて、実効性が担保されるよう取り組んでいく必要があると考えている」旨の説明があった。