定例委員会の開催状況

 

 

第1 日 時 令和7年8月7日(木)

午前1000分 〜 午前11時50分

 

場 所 国家公安委員会室

 

第2 出席者 坂井委員長、宮崎、竹部、野村、秋吉、相星各委員

楠長官、太刀川次長、森元官房長、山田生活安全局長、谷刑事局長、早川交通局長、筒井警備局長、逢阪サイバー警察局長、飯濱技術総括審議官

片倉首席監察官

 

第3  議 事

1 議題事項

(1)人事案件について

官房長から、人事案件について説明があり、原案どおり決定した。

 

(2)「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律第二条第五号に規定する指定金属切断工具を定める政令案」等について

生活安全局長から、「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律第二条第五号に規定する指定金属切断工具を定める政令案」等について説明があり、原案どおり決定した。

 

(3)「古物営業法施行規則の一部を改正する規則案」について

 生活安全局長から、「古物営業法施行規則の一部を改正する規則案」について説明があり、原案どおり決定した。

 

(4)「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う猟銃安全指導委員規則の一部を改正する規則案」について

   「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う猟銃安全指導委員規則の一部を改正する規則案」について説明があり、原案どおり決定した。

 

(5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について

国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。

 

2 報告事項

(1)監察の取扱い事案について

   首席監察官から、高知県巡査長による性的姿態等撮影事案に関し、同県警察は、同巡査長を免職処分とする予定である旨及び警視庁公安部における捜査指揮不十分事案の関係職員の処分予定について報告があった。

   宮崎委員より、「性的な犯罪をした職員については、再犯防止のため、専門家に相談の上、医療的措置につなげるといったことも検討するべきではないか」旨、竹部委員より、「反復性が認められるような性的な犯罪については再犯性が高いので、初犯の段階で厳格に処分を科すことを検討していただきたい」旨の発言があり、首席監察官から、「依存症に詳しい専門家の助言を受けるなどといった対応は重要だと認識している。処分については、御指摘の点を踏まえながら、適切に対応してまいりたい」旨の説明があった。

   野村委員より、「警視庁公安部が行った捜査の件に関しては、亡くなった関係者の御遺族から謝罪を求められているという話があった。謝罪をどうするのか」旨の発言があり、長官から、「御遺族の御意向に沿う形で調整し、誠実に対応してまいりたい」旨の説明があった。

 

(2)国家賠償請求訴訟判決を受けた反省事項と再発防止対策について

   警備局長から、国家賠償請求訴訟判決を受けた反省事項と再発防止対策について報告があった。

   秋吉委員より、「本件に関して、これまで累次にわたり議論を重ね、国家公安委員会としても、警察庁としても真摯に取り組んできたところであり、この反省と再発防止対策が、被害に遭われた方々、国民に対し、少しでも多く伝わることを願っている」旨の発言があった。

 

3 その他

(1)神奈川県川崎市内における殺人等事件に関する神奈川県警察の対応の検証結果等報告書の骨子案について

 生活安全局長から、神奈川県川崎市内における殺人等事件に関する神奈川県警察の対応の検証結果等報告書の骨子案について報告があった。

 秋吉委員より、「検証に当たっては確認された事実が前提となるため、事実認定の根拠が警察側の資料や聴取結果しかないのであれば、それを根拠に本当に事実として認定してよいのか、遺族の主張や意見を踏まえるなどして、慎重に事実を確認しないといけないのではないか」旨の発言があり、長官から、「事実関係は、神奈川県警察において実際に対応した職員から聴取をしつつ確認したものであるが、遺族側と認識が異なっているところもあるため、引き続き、遺族の主張や意見を丁寧に聞くことにしている」旨の説明があった。

 相星委員より、「ストーカー事案が起きた際に、現場の警察官がどういう対応をすべきかが分かるマニュアルのような資料はあるのか。ストーカー事案というのは新しい治安課題ではないため、これまでの対応で一定のノウハウが蓄積されていて最低限やるべきことは分かっているのではないか。そういうマニュアルがないのであれば、全国の警察官が分かるようにポイントを押さえたマニュアルを作成すべきではないか」旨の発言があり、生活安全局長から、「警察庁の通達等を踏まえ、各都道府県警察では通達を発出しており、また、マニュアルを整備しているところもある。神奈川県警察においては必要な初動対応についてのチェック表を活用して対応に遺漏がないようにしているものの、本件では、通達上対処体制の役割や任務が明示されていない等の問題があったことから、その点については改善を図っていく必要がある」旨の説明があった。

 野村委員より、「本件のように当事者が交際の終了と復縁を繰り返すような事例は多いのではないか。そうであれば、専門家の知見も借りつつ、医学的な見地も含めて、この事案特有の難しさを踏まえた対応のマニュアルを作成し、分かりやすい形で共有することの方が重要ではないか」旨、竹部委員より、「第一線で被害者やその親族と対面している警察官は、対応が長期間に及ぶと、被害者と加害者の関係に何か変化が生じても、既視感に囚われて、見逃してしまいかねない。こういう場合に、重大事件に発展するのを防ぐためには、管理職や組織幹部がしっかりと事案を管理し、現場の判断に目を光らせていないといけない。再発防止策にはそのような組織的対処を見直す視点が重要である」旨の発言があり、生活安全局長から、「本件では、当事者から、交際の解消と復縁の申立てが繰り返しなされるなど、短期間に事情が二転三転する経緯があった状況下での対応の中で、警察署が最終的に今回のような判断を下してしまったのではないかと考えている。一方、署長の実質的な指揮がなされれば、あるいは本部の介入があれば違った対応になった可能性もあると考えられるため、それを教訓として各都道府県警察にとって参考となるようなマニュアル等を作成し、提示していきたい」旨の発言があり、長官から、「報告書に記載する再発防止策の方向性としては、職員の意識付けを徹底して、相談を受けたときに確実に署長のほか、本部に報告させて幹部に指揮をさせる、いわば縦のラインの報告の徹底と、生安部門と刑事部門がしっかり連携する、いわば横のラインの連携の徹底というものになると思われるが、今回いただいた意見等を踏まえながら引き続き検討していきたい」旨の説明があった。

宮崎委員より、「事案の対応が長期化し、いつ事案を終結させるのかの判断が難しい事案は多いと思われる。そのような難しい事案にどのように対応するのかは整理しておくべきである。また、対応が長期化する要因の一つとして、当事者間の共依存があることが指摘されているところ、どうすれば医療的な措置を受けてもらえるのかということも課題だと思われる。さらに、本件に限らず、警察の不適切な対応が見られた事案に共通しているのは、報告の形骸化と指揮の機能不全であると思うが、その背景には組織の中のコミュニケーション不足があるのではないか」旨、竹部委員より、「神奈川県警察については、人身安全関連事案の取扱いにおいて機能不全に陥っていたということだが、神奈川県警察の組織としての根本的な問題がないかどうかをよく見ていただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「本件において、神奈川県警察は、本部の指導、助言が不十分であったという点があったところ、今後の対策としては、本部が積極的に介入し、本部と警察署の意思疎通をしっかり確保できるような取組を推進していきたい」旨の説明があった。

委員長より、「本部と警察署の意思疎通に関しては、警察署が本部に意見できないという問題もあるのではないか。また、新たな案件の取扱いが出てくる中で、現場の警察官が疲弊するのではないかと思われ、そうした場合には、現場の負担軽減のため、病院や他の機関と連携するなど、事案によって対応に差をつける仕組みを検討してほしい」旨の発言があり、生活安全局長から、「今後の対策では、本部が警察署に主体的・積極的に関与することとしており、積極的に警察署に人員を派遣するなどしてコミュニケーションを図っていくことで、警察署が本部にものを言いにくい雰囲気を改善していきたいと考えている。また、この種事案の対処に当たっては、メリハリをつけた対応が重要であり、そのメリハリをつけるのが正に警察署の署長や副署長であり、あるいはこれまでの経験を踏まえた指導ができる本部の職員である。教養等も通じてメリハリをつけた対応が機能するような仕組みづくりを考えてまいりたい」旨、長官から、「メリハリの観点で言えば、どのような場合に何をポイントとして確認すべきかを整理し、それを組織的に判断していくことが重要である。本件の検証結果を踏まえ、全国警察でも教訓とすべき事項があると思われるため、9月上旬には警察庁としても改善策を取りまとめ、全国警察に指示したいと考えている」旨の説明があった。