定例委員会の開催状況
第1 日 時 令和7年8月28日(木)
午前10時00分 〜 午後0時10分
場 所 国家公安委員会室
第2 出席者 坂井委員長、宮崎、竹部、野村、秋吉、相星各委員
楠長官、太刀川次長、森元官房長、山田生活安全局長、谷刑事局長、早川交通局長、筒井警備局長、逢阪サイバー警察局長、飯濱技術総括審議官
重松総括審議官
松坂政策立案総括審議官
第3 議 事
1 議題事項
(1)令和7年度の政策評価について
政策立案総括審議官から、令和7年度の政策評価について説明があり、原案どおり決定した。
宮崎委員より、「各政策について、PDCAが見えやすくなっており非常に良いと思う。ただ、いきなり個別の評価となっているので、もう少し総括的な方向性を示す全体の大きなヴィジョンも見える形で取りまとめてもらうと分かりやすいのではないか」旨の発言があり、政策立案総括審議官から、「来年度以降、新たな計画を立てる際の参考にさせていただく」旨の説明があった。
(2)「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令案」等に対する意見の募集について
生活安全局長から、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令案」等に対する意見の募集について説明があり、原案どおり決定した。
(3)「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」等について
交通局長から、「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」等について説明があり、原案どおり決定した。
(4)「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」について
交通局長から、「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」について説明があり、原案どおり決定した。
(5)国家公安委員会への意見・要望文書等の措置について
国家公安委員会宛ての電子メール、書簡等について閲覧し、回答を要するか否かの判断を行った。回答を要するものについては、その内容を了承した。
2 報告事項
(1)監察の取扱い事案について
青森県警部補による不同意性交等事案に関し、同県警察は、同警部補を免職処分とする予定である旨、三重県警部補による詐欺事案に関し、同県警察は、同警部補を免職処分とする予定である旨の報告があった。
(2)令和7年度全国警察術科大会の実施について
総括審議官から、令和7年度全国警察術科大会の実施について報告があった。
宮崎委員より、「警察力の質を向上させるための大事な要素の一つだと感じているが、ただ強さを競うだけでなく、スポーツマンシップを通して相手を尊重する精神等を養い、非違事案を減らす良い機会にすることもできるのではないか」旨の発言があり、総括審議官から、「勝敗はもとより、過程も踏まえながら、意義のある大会にしたいと考えている」旨の説明があった。
(3)令和8年度警察庁予算概算要求(案)について
官房長から、令和8年度警察庁予算概算要求(案)について報告があった。
竹部委員より、「警察学校や職員の生活に関わる施設等の改善について、全体的なロードマップを基に中長期的に行っていくということであり、計画自体に異論はないが、スピード感を持って取り組んでいただきたい」旨の発言があり、官房長から、「警察学校等にいまだ空調が無い県が3分の2を占める状況であり、厳しい採用情勢に対処する上でも、早く改善して、受験者層にもしっかり伝わるよう、スピード感を持って取り組んでまいりたい」旨の説明があった。
(4)安定的な人材確保に向けた取組の推進について
官房長から、安定的な人材確保に向けた取組の推進について報告があった。
秋吉委員より、「夜間、休日勤務を伴わない勤務を選択できる、あるいは、引っ越しを伴う異動が免除される、などといった多様な採用枠を設けることを検討する必要があるのではないか。あわせて、一度ある枠を選択したとしても、他の枠への乗換えも可能として、自分の生涯設計ができるような仕組みも検討すべきではないか」旨、竹部委員より、「同一県内で勤務が終始するという県警察採用の職種に加え、県警察採用あるいは管区採用ではあるがそれぞれの区域を越えて全国勤務する職種などというように、ライフスタイルや犯罪の種類の多様化に適応できる警察官の新しい職種を作ってもいいのではないか」旨、野村委員より、「勤務地の範囲が多様化できれば採用に効果があると思うので、早めに議論していただきたい」旨の発言があり、官房長から、「御指摘の勤務場所の件については、一部の都道府県警察でその実情に合わせた検討を進めているところである。また、管区単位での採用や県内における勤務地域を限定した採用等といった点について、引き続き、しっかりと検討してまいりたい」旨の説明があった。
宮崎委員より、「採用に関わるプロジェクトチームのメンバーについては、若者の感覚を理解できる若手職員に限定して闊達な議論をするなどの対応が必要なのではないか」旨、野村委員より、「若い職員主導でアイデアを出す場を設定していただきたい」旨の発言があり、官房長から、「若者に訴求するため、御指摘のような対応を進めてまいりたい」旨の説明があった。
秋吉委員より、「警察学校については、連帯感を身に付けるといった目的等から、泊まり込みが必要な場面はあると思うが、この時代に警察学校の近代化を進めようとする中、例えば、学科については自宅からオンラインで受講ができるようにし、知識面は試験で確認するなど、寮に泊まり込む期間や学校教養の在り方についても検討の余地があるのではないか。また、警察官に興味を持っている者に訴えるだけではなく、一般の方に広く興味を持ってもらえるよう、テレビドラマとのタイアップを検討してはどうか」旨の発言があり、官房長から、「合理的に知識を吸収したり、厳しい治安情勢の場面で部隊行動を行ったりするためには泊まり込みの入校が一定程度必要と考えられるが、どれくらいの期間を入寮することが必要なのか、現在の感覚に合った形で整理してまいりたい。また、テレビ番組等を活用した広報は、警察官という業務をよく知らなかった人々に関心を持っていただくきっかけになる。関係業界に対して、積極的に働き掛けを行ってまいりたい」旨の説明があった。
竹部委員より、「採用基準については、学力や知識よりも志や人格を重視し、面接による採点の比重を高める必要があるのではないか。また、警察官の仕事が非常に厳しいという点はしっかり教えないといけないが、教え方自体が厳しくある必要はない。今後新しい世代の人材が警察官の大宗を占めていく中で、かつてのように上意下達の強制性で行動を規律していくのではなく、相互理解と信頼に基づいて組織の団結や行動の規律を自発的に生じさせるように組織の風土を変えていかないといけないのではないか。こうした議論を、この機会に是非深めていただきたい」旨の発言があり、官房長から、「学科試験の評価だけでなく、良い人材を採用するために、人柄についてもしっかりと着目してまいりたい。また、表面的な統制ということではなく、お互いを尊敬した上での真の統制がなされるような環境作りを進めてまいりたい」旨の説明があった。
相星委員より、「警察の業務は特殊な面があり、誰でも、というわけにはいかないと思うので、大量退職時代の到来を迎える中、若い職員の採用に力を入れる一方で、退職した職員がその知見・経験に基づき活躍できるような再雇用の場も、もっと充実させる必要があるのではないか」旨の発言があり、官房長から、「現在も段階的に定年が引き上げられているところ、再雇用を望む者も相当増えている。これらの中には、体力的にも、能力的にも充実した者もいることから、指導的な立場だけではなく、若い警察職員と一緒に活動するといったようなことも含め、活躍の場を柔軟に検討してまいりたい」旨の説明があった。
(5)令和7年度警察庁総合防災訓練について
警備局長から、令和7年度警察庁総合防災訓練について報告があった。
宮崎委員より、「災害時に飛び交うフェイク情報に対する訓練も含むのか」旨の発言があり、警備局長から、「今回の訓練は、災害発生時の参集や連絡に重点を置いた訓練となる。他方、御質問の件については、過去の災害を踏まえ、通達等でこれらの対策を実施するよう指示しているところである」旨の説明があった。
3 その他
(1)神奈川県川崎市内におけるストーカー事案に関する警察の対応についての検証結果等報告書(案)及び神奈川県警察の検証結果を踏まえた警察庁による全国警察への指導等(案)について
生活安全局長から、神奈川県川崎市内におけるストーカー事案に関する警察の対応についての検証結果等報告書(案)及び神奈川県警察の検証結果を踏まえた警察庁による全国警察への指導等(案)について報告があった。
秋吉委員より、「本件は、交際の解消、復縁の申立て、被害届の取下げ等、様々な事情があったとはいえ、危険性・切迫性を過小評価してはならない、本来とるべき対応を怠ってはならないということを改めて強く認識させられた事案であった。問題点が検証され、組織としての対策が構築されるとともに、警察庁から全国警察に対して対処方針が示されたことは評価できる。他方、年間2万件もあるストーカー事案に適切に対応するためには、危険性・切迫性の評価方法を充実させることが重要である。今後も危険性・切迫性判断のチェック票の精度を高めるための取組を進めるとともに、精神科医や他機関との連携についてもしっかり取り組んでいただきたい」旨、野村委員より、「本件では、判断を署長任せにしておきながら、事後的に署長の判断について批判している。トラブルが繰り返し発生する当事者間においてトラブルの再発可能性が高いと認識しながら、事前に対応の結了や再開についてのルールを設定していなかったことが問題なのではないか。また、現場の捜査員のためにも、このような難しい案件に関する相手方との相談、連絡等の対応について、しっかりと記録化することを徹底してほしい」旨の発言があり、生活安全局長から、「現在示している危険性判断チェック票は、今後専門家を交えながら見直すこととしたい。また、加害者をいかにカウンセリングや医療機関につなげるかは重要な課題であり、いかにして加害者の行動変容を促していくかについて、心理学の専門家や精神医療の専門家等の知見をいただきながら、しっかりと対応していきたい。神奈川県警察の通達においては、「結了の判断に関して、「継続的に対処している事案において、一定の要件に該当するものについては、人身安全対策課長の指導・助言を受け、署長において結了の適否を判断する」とされているところ、今回、通達に基づいた対応が取られなかった。また、記録化すべきという点はそのとおりであり、神奈川県警察のルール上も、本来そのようになっている。この点については、現場のためにも指導を徹底していきたい」旨の説明があった。
宮崎委員より、「評価部分において、「形骸化・機能不全」という言葉が出てくるが、最近、冤罪と言われる様々な事件がずっと続いており、常にこの「形骸化・機能不全」が指摘されていることを考えると、マニュアルを作ってもどれくらい有効なのか、非常に疑問である。本来、記録化は忘れてはならないはずであり、報告すべき内容も報告されておらず、残念でしょうがない。先入観だとか、様々な理由があったのかもしれないが、なぜこうなってしまったのか、しっかりと分析しないと、世間の理解は得られないのではないか。また、今後の対応について、生安部門と刑事部門が適時的確な情報共有を行うことはとても大切だが、広報県民課や地域部門のような県民との直接の接点になる相談窓口の部署に対しても、情報を共有しておく必要があると考えるので、適時的確な部署に対する情報共有を心がけていただきたい」旨の発言があり、竹部委員より、「警察庁による全国警察への指導については、本部対処体制において、警察署の事案対処を「一体的かつ確実に管理する」という表現にすべきである。やはり、本部と署が一体的に連携するという部分が肝であり、「確実に管理する」だけでは足りない。また、特にストーカー事案は、後々警察の対応が問われるケースが非常に多く、それに備えるという意味でも、現場の警察官の行動基準をマニュアル化すべきだと思う。それが市民生活を守り、かつ、現場のためにもなる」旨の発言があり、生活安全局長から、「本件では、結了したとの先入観が醸成されたこともあり、ルールどおりの記録化が行われなかったものと考える。本件を踏まえた対策としては、マニュアル等を整備するだけでなく、例えば、横の連携を強化するため、本部の生安部門と刑事部門を俯瞰することができる立場にある者を新たに設け、司令塔として機能させるなど、体制面の仕組み作りを行うことに加え、研修や教養を徹底することとしている。また、相談窓口との情報共有について、署の対処体制には、生安課員や刑事課員だけでなく、相談業務担当部門の者を交えるような形で対処体制を構築しているケースもあるところ、必要なところに必要な情報が届くよう指導してまいりたい。また、本部と署が一体的な姿勢で取り組んでいくことは大変重要であると認識している。」旨の説明があった。
竹部委員より、「マニュアルの内容が、県警察によって濃淡がつかないよう、また、神奈川県警察の通達についても、警察庁通達と齟齬が生じないよう、警察庁でよく指導していただきたい」旨の発言があり、生活安全局長から、「よく確認してまいりたい」旨の説明があった。
長官から、「事案の結了の判断をどうするかという点については、大変難しい問題だと考えている。現行の通達では、定性的ではあるものの、一応の判断基準を示しているが、具体の事例に照らして、どのように判断できるのかという点について、更に分かりやすいものにする必要があると考えている。また、人身安全関連事案や相談事案については、記録化しなければならないと例規で決まっている。記録化については、現場のためにも、しっかりと行っていれば、警察はしっかりここまで対応したと説明できる。また、一旦結了したものについて、どうなれば事案への対応を再開するのかという点についても、難しい面はあるが、過去に桶川事件の発生を契機として、ストーカー規制法ができ、つきまといや待ち伏せ等といった行為が規制の対象として類型化されていることから、少なくとも、そういった行為があるという通報が被害者からなされた場合には、改めてしっかりと対応しなければならなかったと考えられる。他方、ストーカー事案が年間2万件もある中で、問題となり得る事案をどのように見つけ出し、組織的に対応していくかということについては、警察庁としても考えなければならず、しっかり対応してまいりたい」旨の発言があった。
委員長より、「難しい案件ではあるが、今後こういったことが起こらないよう、しっかりと検証していただきたい」旨の発言があった。