警察刷新会議第6回会議議事要旨

1.日時

平成12年5月8日 13時35分ころから16時5分ころまで

2.場所

グランドアーク半蔵門4階「富士」

3.出席者

氏家座長、樋口座長代理、大森委員、大宅委員、中坊委員、後藤田顧問
保利国家公安委員会委員長、田中警察庁長官、佐藤警察庁次長

4.議事要旨

(1)大阪公聴会について

事務局から大阪公聴会の実施要領について説明が行われた。

(2)監察と公安委員会の在り方について

各委員・顧問から、監察との関連を中心に、公安委員会の在り方についての意見が述べられた後、意見交換が行われた。

監察機能の強化等について

警察本部及び警察庁の監察機能の強化及びこれを管理する公安委員会の機能の強化・活性化が必要ということについては意見が一致した。 
監察の具体的なシステム等については、次回以降議論することとされた。

意見
  • A 監察については、よく第三者による監察という話になるが、悪いことを隠そうとするのが人間の常であるから、いきなり第三者が行って実効性が上がるとは思えない。
     監察ばかりで本来の仕事が出来なくなるのもいけないし、何月何日監察に行くといって監察ができるとも思えない。どうやったら監察ができるのかというのは本質的に難しい。
  • B 警察庁の行う監察を組織的にも人的にも充実し、国家公安委員会は警察庁に対する「管理」を充実する方策に重点を置くべきである。都道府県警察における監察についても、同様である。
     実施方策としては、国家公安委員会に監察管理委員を指名し、警察庁との連絡を密にして、監察の実施状況の把握に努めることとしてはどうか。警察庁については、首席監察官を格上げし、人事上も最優秀者を充てることを検討してはどうか。また、都道府県警察本部では、監察官のキャップを国家公安委員会の任命職とし本部長等に直属させることを検討してはどうか。
  • C 警察本部長の監察については、抜き打ち監察を行うなど効果的な監察を実施するとともに、監察担当官の増員、優秀な人材の登用等を行い、その強化を図る。監察は外部の者が急に来てやれる仕事ではない。さらに、警察庁、管区警察局による都道府県警察に対する監察の体制を強化し、充実させる必要がある。
  • D 規律保持を目的とする監察は、警察内部による監察を基本としながらも、公安委員会にも独自の監察権限を付与して、チェック機能を果たさせる必要がある。
    特に、監察と苦情処理は、組織の「静脈」として浄化作用を営むので、個々の事案について公安委員会が自らチェックする権限を持つべき。
  • B 都道府県警察に対するチェックは、警察庁による監察を現行より充実することで実効性を確保できるのではないか。
     公安委員会に事務局を作って監察をやらせても、日頃業務をやっていない者が的確にやれるのかという疑問がある。結局は膨大な組織を作ることになり、組織が重複し、実効性は確保できない。
  • E 管区の監察能力を高めることによって、各県の監察を強化する。管区にその地区における監察の中心を持っていって、それがさらに国家公安委員会に結びつくという一つの形がありうるのではないか。

公安委員会の「管理」について

警察法上の公安委員会の「管理」概念を明確化することが必要との意見が示され、その内容について更に検討することとされた。

意見
  • A 国家公安委員会の権限は非常にたくさんあって、すべてをこなすのは無理。識見も高く、経験もあり、いわゆる普通の人の意見を言える人を国家公安委員に選んでいるのだから、それが活かされるようにプライオリティーを付けて、本当にやれることだけに特化すべきではないか。
  • F 公安委員会の傘の下で、警察がやや官僚的、独善的な運営になっているのではないか。公安委員会の「管理」をしっかりする、公安委員会を活性化することが課題。ただし、公安委員会は警察の外部組織ではなく、二重組織とならないよう活性化の限界を考えることが必要。また、政治権力からの独立、ポピュリズムの空気に流されないこと、警察官僚の独善からの回避に留意して、「管理」の意義を明確化することが必要。
  • D 「管理」という概念の中には、特定の部分だけはある程度具体的に踏み込める部分があり、それは公安委員会が市民の代表としてチェック機能を発揮する監察や苦情処理ではないかと考えている。
  • E 「管理」概念を拡大することは必要なことであるが、管理概念の拡大の中に公安委員会が直接に監察を行ったり調査することを入れて考えるのか。管理概念をどう整理して表明するかというのは重要な問題であり、更に検討が必要。

公安委員会を補佐する体制等について

公安委員会を補佐する体制については、概ね、

  • 警察内部の組織とし、その体制を強化することが適当である
  • 人数的にあまり大きなものは必要ではない

との意見であった。

意見
  • B 国家公安委員会については、委員会の事務担当室を置き、各委員に補佐官を付けるとともに、執務室を整備してはどうか。また、都道府県公安委員会については、委員のうち1名ないし2名を常勤とし、補佐官を付けて委員会による管下警察の運営状況の把握に資することを検討してはどうか。
  • C 庶務を担当する警察庁内の組織を充実させ、各委員一人一人に優秀な補佐官を配置するなど、国家公安委員会の補佐機能の強化を図る必要がある。
  • D 警察内部にあっても相対的に独立した事務局が必要。事務局職員の中にはむしろ司法からも出ていくべき。
  • F 独立の事務局を置いた場合には、どの程度のものを置くかによるが、これは二重組織になる。また、独立の事務局は職員をどこから出すのか。警察組織の中でないと、人事ができなくなる。
  • E 民間では、社長室を作って直接下からの意見を吸い上げる仕組みを作る。膨大な組織はいらないが、警察庁の中に監察的なことを公安委員にアドバイスする社長室みたいな組織を作る必要はあるのではないか。
  • F 独立した事務局ではなく、公安委員会が警察を管理するのに必要最小限の事務組織を置くというようなことが適当ではないか。

その他

意見
  • B 公安委員会については、国家公安委員会の手直しよりも、第一線の警察を管理する都道府県の公安委員会・警察の組織・運営の在り方を検討する方が重要ではないか。
  • D 公安委員に適宜な人を得るためにはどうしたらいいか問題。両議院と都道府県議会の審査の実質化を図って、そういう方法から選ばれることが必要である。また、都道府県公安委員の常勤化が必要ではないか。

5.次回以降の会議予定

大阪公聴会は5月13日14時から。
第7回会議は5月25日13時30分から。議題は、引き続き監察と公安委員会の在り方について。

速報版のため、事後修正の可能性があります。