警察刷新会議第7回会議議事要旨
1.日時
平成12年5月25日 13時35分ころから15時35分ころまで
2.場所
三田共用会議所 3階 第三特別会議室
3.出席者
氏家座長、樋口座長代理、大森委員、大宅委員、中坊委員、後藤田顧問
保利国家公安委員会委員長、田中警察庁長官、佐藤警察庁次長
4.議事要旨
(1)事務連絡
ア 座長指示に基づき、事務局から、4月24日から5月21日までの間に警察刷新会議ホームページに寄せられ、各委員に配付しているご意見・ご要望を整理した資料の説明が行われた。
イ 座長指示に基づき、事務局から、大阪公聴会の結果報告及び新潟公聴会の進め方について概略説明が行われた。新潟公聴会については、大阪公聴会と同様の形式、段取りで進めることとされた。
(2)監察と公安委員会の在り方について
ア 警察法上の公安委員会の「管理」について
「管理」概念の整理に当たった委員から、概要次のような説明が行われ、議論の結果、「管理」の概念を何らかの形で法令上明文化すべきであるとの考え方で意見が一致した。
説明
「管理」の意義
一般に、行政機関相互の関係を表す場合における「管理」の用語は、「監督」又は「所轄」と対比して、下位の行政機関に対する上位の行政機関の指揮監督が、内部部局に対する場合と大差ない位に立ち入って行われることを示すときに用いられる。
国家公安委員会と警察庁との関係について、警察法第5条第2項において用いられている「管理」の意味も、基本的にはこれと変わるものではないはずである。
ただ、警察法においては、国家公安委員会を警察に関する最高行政機関と位置付けながらも、警察事務の執行については、別個の組織として警察庁を設置してこれに行わせ、自らはその執行を管理する責めに任ずることとし、国家公安委員会は、警察行政の民主的運営の保障と政治権力からの中立性の確保のため、合議制の機関とされ、その構成員たる委員には、警察の職務経験を有する者は排除され、社会各界の有識者が充てられることとされていること等にかんがみ、国家公安委員会による「警察庁の管理」は、「国家公安委員会が警察行政の大綱方針を定め、警察行政の運営がその大綱方針に則して行われるよう警察庁や警察本部に対して事前事後の監督を行うこと」を一般原則とするのが相当であるとされてきた。
「管理」の形態
警察の捜査活動や警備実施に関する事務など警察運営に関する専門的・技術的知識が必要とされる事務については、公安委員会は、上記のような原則的な形態での管理の任に当たることで相当かつ十分とされよう。
しかし、警察事務の執行が法令に違反し、あるいは国家公安委員会の定める大綱方針に則していない疑いが生じた場合には、その是正又は再発防止のため、具体的事態に応じ、個別的又は具体的に採るべき措置を指示することも、「管理」の本来の意味が上記のものである限り、なんら否定されないものというべきである。
いずれの場合においても、公安委員会の行う「管理」に内在するものとして、警察庁は、適宜、国家公安委員会に対して警察事務の執行につき所要の報告を行うべき職責を有し、また、国家公安委員会から報告を求められたときは、速やかにそれを行うべきものである。
地方警察関係
以上の理は、地方公安委員会と地方警察本部等との間においても、妥当する。
意見
- A 「管理」の解釈が「大綱方針を定め…」ということにとどまるという従前の解釈を維持するのか、これを変更するのかを明確にすべき。
- B 「管理」の一般的形態としては、大綱方針を示して、警察の執行が大綱方針どおりにやっているかレビューする。しかし、「管理」というのはそれしかやってはいけないということではなく、必要な場合には、「管理」という概念のぎりぎりのところまでやれるという意味である。
- A 「管理」という概念の外延を延長していけば、公安委員会が事実調査をするというところまで「管理」という概念に入るのではないか。
- C 現在の警察法の解釈の結果、公安委員会という隠れ蓑の中で警察の執行はやや国民の期待に反するようなことになっているのではないか。公安委員会の「管理」の概念を明確にして、公安委員会の活性化を図ることが一番大事。そのためには、1番目は、国家公安委員会は警察庁を管理する。2番目は、警察法第5条第2 項に定める警察行政を管理するため必要な限り、警察庁長官に対し警察行政の処理状況の報告、資料の提出、調査及びその改善を勧告し並びに厳正な監察を実施させ、その他所要の指示を行うものとする。このようなことを法律なり、国家公安委員会規則なりで明確にしたらよいのではないか。
イ 監察、公安委員会及び苦情処理の在り方について
前回までの議論を踏まえ座長から示された考え方について、質疑応答、意見交換が行われた結果、骨子として次のような項目をとりまとめるに至り(概略こちら)、今後提言に盛り込んでいく方向で意見の一致をみた。
- 警察における監察の強化
- 公安委員会による点検機能の強化
- 監察点検機能の強化
- 管理能力の強化
- 苦情処理システムの整備
意見
- D 公安委員会による警察本部長の懲戒・罷免勧告の前提として「正当な理由なく」監察の指示に従わない場合と限定する必要があるのか。
- A 常に公安委員が正しく警察本部長が間違っていると限らないので、必要な感じがする。
- B 「警察職員の懲戒事由に該当する事案については、都道府県公安委員会に「すべて報告を行う」こととすべき。
- A 苦情処理システムの「文書による」という概念の中に、受付のところで文書にしてあげて本人がサインするという「口頭受付」を含めるべきではないか。
また、苦情申出への回答は義務とすべき。 - E 苦情申出をテープで受け付けることはどうか。
- D テープというのはその時間全部聞いておかないといけない。紙ならさっと見られる。形式は決めておいて、簡潔に書くようにするべき。
- B 苦情申出の意志の明確さと苦情内容の明確化を担保することと、後の誠実処理の出発点として文書にしておくのが手続き的な確保につながることから、申出は書面を原則とすべきである。
- C 監察に重点が置かれているが、今日の警察が本当の意味で信頼感を得ているかとの反省の上に立って、この機会に、もう少し広い意味において警察の刷新改革をやらなければならない時期に来ているのではないか。
- F 全く同感。今回は前2回の議論を踏まえてとりまとめた。次回以降、職務執行における責任の明確化、民事不介入の考え方の払拭、キャリアシステムの在り方等を取り上げていきたい。
5.次回以降の会議予定
次回は6月8日16時30分から(変更の可能性あり)。
議題は、「職務執行における責任の明確化」及び「民事不介入の考え方の払拭」について。
速報版のため、事後修正の可能性があります。