国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成23年1月20日(木)10:54~11:02

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。本日、中野委員長は閣議のために欠席です。議題事項は、「人事案件について」の説明があり原案どおり決定いたしました。報告事項につきましては、お手許の資料のとおりの報告が警察庁からありまして、いろいろ議論を行いました。定例会議の内容は以上です。

問  長官にお聞きします。平成22年の振り込め詐欺の認知・検挙状況が発表されましたが、認知件数は減っておりますけれども、一方で中国が拠点とみられる詐欺形態が多発しておりまして、かねてから言われているように「最後の固い岩盤」というような状況が見られますけれども、こうした情勢を踏まえまして、今後の振り込め詐欺対策についてお聞きします。

答 (長官)まず昨年の情勢ということでありますが、認知件数、被害額とも、一昨年と比べて、全般的に減少しているということ、中身的には融資保証金詐欺や還付金等詐欺がほぼ壊滅状態になっているという状況があります。他方で、高齢者が被害者となるオレオレ詐欺については、逆に増加に転じているということでありますので、警察としては、再び、極めて憂慮すべき危険水域に差しかかっているのではないかという意識を持っております。

そこで、2月を全国一斉の強化月間として設定し、一つは広報啓発活動の強化ということで、高齢者に対する直接的・個別的な働き掛けを強めるということが一つです。二点目は、中国当局との連携を含めて、犯行グループの摘発に向けた捜査を集中的に推進するということ、三つ目は、助長犯罪の検挙等の犯行ツール遮断対策を集中的に推進すること、この三つのアプローチで強化月間を頑張りたいと思っています。

今年をどう捉えるかということでありますが、やはり振り込め詐欺の撲滅というのは、本年中にオレオレ詐欺の増加傾向を完全に押さえ込めるかどうかにかかっていると思います。そうした意味で、2月の強化期間をてことして、検挙と防犯の両面で取組みを一層強化するということによって振り込め詐欺の撲滅を目指していきたいという考えでおります。

したがって今年は、撲滅という山の頂が見えるか否か正念場の年ではないかと思います。しかし、そのためには幾つかの山を越えていかなければいけないということでありますが、そういう困難な戦いでありますけれども、撲滅というものを現実のものにしていくように全力でやりたいと、そういう年にしなければいけないと思います。

問 長官にお伺いします。今日の報告にもありますが、プロ野球界で暴力団排除の取組みの関係で、今回、新たに選手会も加わって新しい暴力団排除宣言をするということなんですが、このプロ野球界の取組みの姿勢に対する評価と警察が今後どのように支援、対応をされていくのかについてお聞かせ下さい。

答 (長官)今日午後、暴力団等排除宣言が行われるとのことでありますが、社団法人日本野球機構におきましては、平成15年に暴力団排除宣言を採択するなど、球場からの暴力団排除に取り組んできていただいているところでありますが、今回、更にこれを徹底するために、選手会も加わって新たな暴排宣言を行う予定であると承知しております。プロ野球界におきましては、同機構が中心となって、いわばプロスポーツ界の先駆者として暴力団等の排除に取り組んできたものでありまして、今回の取組みは、それを更に徹底しようとする有意義なものと評価しております。警察としても、必要な支援を今後、行ってまいりたいと思っております。

国民的人気スポーツであるプロ野球界において、暴力団等との関係遮断が徹底されるということは、他の分野における暴力団等との関係遮断に向けた取組みが促進されるものと期待しております。

問  長官にお尋ねします。昨年12月に茨城でありました県議選の投開票日にトラックが突っ込んで、一人が亡くなったという事件についてなんですが、既に被疑者として、事件当時現役の暴力団組員だった男が逮捕されております。動機、背景の解明はこれからでしょうけども、警察は全国を挙げて暴力団取締りに取り組んでおられるところでありますが、この事件について長官の御所見を賜りたいと思います。

答 (長官)御指摘の選挙事務所に対する器物損壊事件というのは、茨城県議会議員選挙の当日に敢行されたものでありまして、民主主義の根幹を揺るがしかねない悪質なものであると認識しております。そして、本件被疑者が運転していたトラックに轢かれて選挙事務所関係者が亡くなっているということでありますので、この件も視野に入れて、現在茨城県警察において捜査が行われているということであります。やはり先ほども言いましたように、民主主義の根幹に関わる事件でありますから、その原因、動機、組織的背景などを含めて全容解明に徹底を期したい。そういう点で非常に重要な捜査だと思っています。