国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成23年1月27日(木)11:51~12:00

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。本日は、中野委員長は国会用務のために欠席でした。議題事項は、「人事案件について」、「平成22年中の万引きの情勢及び万引き防止に向けた古物営業法施行規則の一部を改正する規則案について」、「警備業の要件に関する規則等の一部を改正する規則案に対する意見の募集について」に関して説明がありまして、原案どおり決定しました。報告事項は、お手許の資料のとおりの報告が警察庁からございました。定例会議の内容は以上です。

問  大相撲を巡る野球賭博の問題ですけれども、この度、大相撲関係者が逮捕される事件に至ったわけですけれども、改めましてこの事件への御所見についてお聞かせ下さい。

答 (長官)現在、捜査をしておりますが、今後の警察の取組みとしては、一つは捜査を徹底して暴力団の関与等を含めて、その全容を解明することが一点です。二つ目は、いわゆる暴排を徹底するということであります。前々から捜査と暴排ということをいろいろやっておりまして、日本相撲協会でも努力されておりますけれども、いずれにしても、今求められていることは大相撲からの暴力団の完全排除だと思います。今回の捜査結果を踏まえて、警察としても引き続き必要な支援をしてまいりたい。最終的な目標は完全排除、これを如何に実現するかということで、それに向けて警察も努力してまいりたいと思います。

問  先日、山口県宇部市で小学生の女の子が男に刺されて重傷を負う事件があったんですけれども、この事件についての受け止めと、女性や子どもに対する犯罪の防止に今後どう取り組んでいかれるのか改めてお聞かせ下さい。

答 (長官)今御指摘の山口の今回の事件は、自ら防御できない幼い児童が何の理由もなく狙われた理不尽で大変痛ましい事件であり、地域社会に大きな不安を与える事件だと思います。被害児童の一日も早い回復を祈念しております。警察としては、この事件の動機・背景等、全容を解明すべきは当然でありますけれども、被疑者が検挙されて刑事的に処罰を受けるのみでは未然防止を図れるわけではないと思います。動機・背景というのはいろいろとあるでしょうけれども、今後、同様の事件の発生が懸念されると思います。大変難しい課題でありますが、こうした痛ましい事件が起きないようにするにはどうしたらよいか、社会全体で考えていく必要があるのではないかというのが率直な思いであります。

それから、女性や子どもに対する犯罪の防止に今後、警察がどう取り組んでいくかという御質問ですが、社会的に弱い立場にある子どもや女性を犯罪から守る対策としては、子ども女性安全対策班の設置や、子ども・女性を対象とした重層的防犯ネットワークの構築など各県でいろいろ先進的な取組みを行っておりますけれども、更に多角的な取組みをしていく必要があるのではないかと思います。

いずれにいたしましても、警察だけでできるものではないので、現在進めております「犯罪の起きにくい社会づくり」を社会全体で推進していくことが重要だと思っております。今回の事件というのは非常に痛ましい事件でありますから、こういうことが起きないように社会全体でいろいろと考えて、再発防止のために知恵を出していかなければいけないという思いです。

問  長官にお尋ねをいたします。性犯罪の再犯防止策についてでありますが、先頃、宮城県知事が再発防止策として、前歴者に対してGPSの携帯を義務付けるということを主な内容とした条例案を検討中であるということが公になったわけですが、この再発防止策について警察は、4月からリスクの高い出所者に対して面談をやるということを新たに始めようとしているわけですが、まだ案の段階ではありますが、こうした宮城県の防止策についての長官の御所見を賜りたいと思います。

答 (長官)御案内のとおり、性犯罪というのは女性に深刻な被害を及ぼすものでありますから、一般論として再犯防止を図ることは重要なことだと考えております。今回、宮城県が県内の治安の実情等を踏まえて検討を始めたものと認識しておりまして、今の段階では今後の検討の推移を見守ってまいりたいと考えております。

なお、今御指摘がありましたように、警察庁では子ども対象暴力的性犯罪の出所者による再犯防止に向けた措置の見直しを行い、この4月から運用を始める予定であります。我々としては、これにより対象者が自制心を保つことや迅速な指導・警告による犯罪の未然防止を図っていきたいと考えております。いずれにしましても冒頭から申し上げましたように、この問題も非常に重要な問題だと思っております。