国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成23年3月10日(木)11:30~11:40

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要    本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。本日は、全員出席でございます。議題事項につきましては、「警備業の要件に関する規則等の一部を改正する規則案について」など、お手許の資料のとおり説明があり、原案どおり決定をいたしました。報告事項につきましては、お手許の資料のとおりの報告が警察庁からございました。定例会議の内容は以上でございます。

問  長官にお尋ねします。今回、犯罪インフラ対策プランが策定されました。偽装結婚や偽装養子縁組など、身分を偽る手段を使ったと見られる事件も多く発生しております。改めて犯罪インフラ対策について、長官の御所見をお伺いします。

答 (長官)今御指摘の資格・身分の偽装手段としての犯罪インフラにつきましては、これまでも犯罪のグローバル化対策等において対策を進めてきたところでありますが、これに限らず、あらゆる犯罪の分野に張り巡らされた犯罪インフラを解体していくことが大事でありまして、そのためには警察組織を挙げて総合的・部門横断的に対策を推進していかなければならないと思っております。そうした観点から今回、犯罪インフラ対策プランを策定するに至ったわけですが、この犯罪インフラ対策というのは犯罪を起こしにくくするものであって、言わば根源的な犯罪対策だと考えております。

社会の利便性の負の側面として犯罪インフラというのは広範囲に張り巡らされてきているわけですので、今後は警察の取組みだけでは十分ではありません。関係行政機関や事業者との連携を強化し、更には国民の方々の御協力も得て、社会全体で犯罪インフラを生まないための環境づくりを推進していくことが大事だと思います。すぐに効果が表れる部分もありますが、これは中長期的に戦略的に取り組むことが大事だと思っております。

問   大臣にお伺いします。この度「電車内の痴漢防止に係る研究会」が取りまとめた報告書が発表されました。この報告書に対する大臣の受け止めと、鉄道事業者との協力など今後の取組みについてお聞かせ下さい。

答 (大臣)痴漢というのは身体的な被害ということもありますが、それ以上に人格的な意味での被害、これが後々まで大変大きな影響を残してしまうという意味で、心身共に受ける被害の深刻さというものをしっかり受け止めて取り組んでいかなければいけないと思います。また一方で、中にはそのことを逆に利用し、いわゆる濡れ衣を押し付ける形での犯罪であったり冤罪であったりというようなことも今とかく言われるところでございますので、事の深刻さ重大さを踏まえて的確な捜査が必要でありますし、対処方法が必要でありますが、適正な捜査も心掛けなければならないテーマでございます。

今般の報告書の提言にもありますように、電車内の痴漢事犯というのは、被害者の対応だけではなかなか難しい。むしろ、他の犯罪の被害者以上に、それを摘発したり名乗ったりすること自体が精神的にも難しい要素がある事案でありますから、警察、鉄道事業者及び職場、学校等が連携をして、痴漢被害を発生させない環境を形成していくことが必要だろうと思います。また、取締り・警戒の強化はもとより、通報・相談先の周知を進めること、また鉄道事業者等に対しても、電車内防犯カメラの設置を始めとする諸対策の推進を働きかけていきたいと思っております。

問   長官にお伺いします。福岡市内での爆発物の発生事案でありますが、地元企業役員宅に手榴弾のような物が投げ付けられたり、爆発物を投げ込まれるような事案が相次ぎました。これは、工藤会によるものとの見方が強まっているようですが、この事件に対する長官の御所見を聞かせて下さい。

答 (長官)福岡の事件でありますけれども、このような企業を標的とする危害行為というのは、断じて許されないものであると考えております。

現在、福岡県警察において捜査中でありますけれども、捜査を徹底して被疑者の早期検挙ということと同時に、両事案の関連性、暴力団の関与等、その全容を解明することが求められております。同時に、関係箇所及び関係者に対する警戒の強化を併せて図っていかなければいけないと思います。いずれにしても、福岡県警が全力で集中してやっていると思います。

答 (大臣)ニュージーランドにおける地震の救命・捜索のために、第一次、第二次、第三次と派遣し、今第三次隊が頑張ってくれているところであります。また、それ以外に身元確認などの専門家チームも派遣をいたしました。ニュージーランド政府当局からも大変、日本の能力や質の高さについて御評価をいただいているところであります。

ただ極めて残念なことに、生存者救出というところにまでには至りませんでした。これは、被害者、御家族ともに大変辛いことでありますし、同時に救命捜索に当たる隊員にとりましても、自らが被害者の生存の期待を持ちながら、一生懸命頑張るわけであります。結果的に残念ながら、あの地域の形態その他、いろんな事情があると思いますが、生存者発見という形になっておりませんことは、派遣した隊員達にとっても大変重苦しい、心理的な圧力を受けるものであります。何と言いますか、一人でもお助けしたという達成感みたいなものが得られないわけであります。そういう意味で、なお一層頑張ってくれた隊員達の労をねぎらいたいと思います。またどうぞよろしく、皆さんの御配慮もいただければ有り難いと思います。