国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成23年3月12日(土)13:51~14:12

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要    まずは、この度の東北地方太平洋沖地震により、尊い命を失われた方々とその御家族に対し、心からお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われた皆さんにお見舞いを申し上げる次第であります。

この度の東北地方太平洋沖地震、昨日14時46分に発生をいたしましたが、警察庁におきましては昨日3月11日午後2時46分、言うなれば発生直後に警備局長を長とする災害警備本部を立ち上げ、また午後3時14分には長官を長とする緊急災害警備本部を設置いたしました。また、全国28都道府県警察の各広域緊急援助隊、現段階で合計2,300人以上に対し出動を指示し、既にその大半が被災地に到着をして、それぞれ救出・救助活動を行っているところであります。

また、被災地であります宮城県警察、岩手県警察、福島県警察を始めとする被災県警察においては、それぞれ災害警備本部を設置したほか、新潟県中越地方を震源とする別の地震も起こっておりまして、これにつきましても長野県警察、新潟県警察及び群馬県警察において、それぞれ災害警備本部を設置いたしました。警察においては、行方不明者捜索のため、警視庁災害救助犬4頭、ハンドラー6名を福島県に、神奈川県警察災害救助犬6頭、ハンドラー8名を宮城県に、北海道災害救助犬1頭、ハンドラー1名を岩手県にそれぞれ派遣をいたしております。

また、既に御存知のとおり、東京電力福島第一原子力発電所において緊急の事態が発生いたしております。その周辺住民に対する避難指示がなされたことに伴いまして、警察官約120名が住民の避難誘導、交通整理活動を実施し、当初指令をされました3キロ圏内については既に100パーセント避難は完了いたしております。次いで半径10キロ圏内の避難が指令されましたので、この避難誘導を行っておりますが、6割程度以上進んでおります。更に、第二発電所周辺の住民に対する避難指示もなされましたことに伴い、警察官約40名が住民の避難誘導、交通整理活動を実施中でありまして、まずは3キロ圏内の皆さんの避難が指令されておりますので、この作業は2割あまり既に進んでいるところであります。なお、10キロ圏内の皆さんに対しては、念のために自宅に帰って、そしてドアや窓を閉めて自宅で待機していただくという要請がなされているところであります。これらの活動にも従事してまいりました。加えまして、東京電力が福島原発まで東京等の各地から電源車、いわゆる原子力発電所そのものは発電を止めておりますが、これは慎重に冷却をしていかなければなりません。その冷却装置の不具合ということでございますが、そのための電源車を関係都県警察のパトカーで先導をするなどの措置も講じております。

本日、警察用航空機、ヘリコプターですが23機を運用し、昨日は32機、これは各都道府県警へ派遣をしているものもございますが、運用をしまして被災状況の把握に努めているところであります。一方、午前11時に国土交通省等とも調整をいたしまして、高速道路等につきまして通行止めとなっていた東北自動車道、常磐自動車道、磐越自動車道等の高速道路を緊急交通路として指定することといたしました。緊急交通路におきましては、災害応急対策関係のための規制であることから、災害応急対策関係以外の自動車の通行を禁止するわけであります。これは、正に人命救助、緊急輸送のための規制でありまして、ボランティアの方や御家族を心配して会いに行こうとされる方々にとりましては御不自由をお掛けいたしますが、これは官房長官の記者会見でも申し上げたところでありますが、現在、被災地に一般の方々が入っていただくことは大変危険でありますのと、いろんなボランティア活動をしていただくには、まだ若干時間、日にちが必要でありますので、現段階ではこのような規制をさせてていただくことを御理解いただきたいと思っております。被災者の避難・救援を最優先として、必要な災害応急対策を円滑に行ってまいりたいと思います。また、これらの対策に当たっては、情報通信部門において警察無線の確保やヘリコプターテレビシステムにより撮影した現場上空からの映像を警察庁や首相官邸、政府の対策本部にリアルタイムに伝送するなど、迅速かつ的確な救出・救助活動等に万全を期しているところであります。

なお、岩手県の海岸部などを中心にして行政機能、市役所とか町役場の機能が麻痺しているところもございます。町長さんで確か、今なお不明の方が一人いらっしゃったと先ほど官邸でお聞きしたところであります。中には、市長さん御自身が自衛隊のヘリコプターで救出されたというケースも起こっているようであります。町ごと、ごっそりと津波にさらわれたというか壊滅させられたところもあるようです。そういう意味では、例えば自衛隊の出動要請なども、地方自治体を通じての本来の要請・手続き等を省略して、緊急に被災地で救援活動をするということなども行っております。これらのことは、あくまで人命第一という視点で実際に行動をしていかなければという気持ちで取り組んでおります。警察としては情報収集をして、それをありとあらゆる機関に提供して、統一の取れた迅速・効率的な救命体制ができますように全力を尽くして頑張ってまいりたいと思います。

とりわけ今日、明日、人命ということを考えますと今日、明日が勝負だというふうにも考えておりますので、それらのことを肝に銘じて徹夜で努力をしているところでございます。

今日は、いつも長官と2人で行っておりますが、こういう事態でありますし、時々刻々と状況が変わってまいります。リアルタイムで皆さんにお尋ねいただくことに直接お答えさせていただくこと、それによってまた皆さんに御協力いただきたい気持ちを込めまして、今日はいつもと形を変えて全く例外的に警備局長、交通局長、そして情報通信局長に同席をさせていただきましたので、直接お聞きいただいても結構です。

問  町長さんでお一人、御不明の方というのはどちらの町長さんですか。

答 (大臣)先ほど、総務大臣からそういう御報告を受けましたが、具体的に名前まではお聞きしておりません。

問  警察の被害まとめで、岩手の怪我人の被害が、まだはっきりしない部分があるんですけど、これはどのくらいと考えているのか、まだ全く出ないものなのかお伺いします。

答 (警備局長)先ほど大臣のお話にもございましたように、町自体が壊滅しているのではないかという状況ですとか、それから、まだ海岸線の町には津波が押し寄せておりまして、警察官も陸上から入れないような状況です。朝からずっとヘリテレを飛ばしまして、上空から状況を見ておりますけれども、実態をまだ掴みかねているというのが実情でございます。ただ、被害はかなり拡大するのではないかという懸念は持っております。

問  被害が拡大すると思われる現状というのは、どういった。

答 (警備局長)一つは、昨日の津波の時の状況です。本当に、瞬時に家が家ごと流されていくという状況ですとか、それから、先ほど申しましたように今朝から、ヘリテレを上空に飛ばしておりますけれども、水没している家屋がかなりございますし、そうした状況の中で、人の姿がほとんど見えないという状況等、それから我々が有しております状況、これを総合的に判断しますと被害はかなり拡大するのではないかと思われます。

問  被災した警察官の数とか、警察署の被害についてはいかがですか。

答 (長官)被災した警察官については、今のところ2人が殉職です。それから55人が行方不明で4人が軽傷、あわせて61人が被害に遭っているというのが現段階の状況です。行方不明ということで、最悪の場合はということでありますが、この中には連絡が取れないで安否不明という者も含めて、現段階では55人が行方不明、死亡殉職が2人、4人軽傷という段階であります。それと、福島県警察本部自体がこの地震で耐震性に問題があるということで、本部が使えなくて福島警察署のほうに本部機能を移動して、そこで仮に警察本部としての機能を果たしているという物的なダメージを受けております。

問  亡くなったお二人というのは、どこの県警の方ですか。

答 (長官)1人は岩手でありまして、パトカー1台と連絡が取れないので、そのパトカーの動きを確認したところ、現場に行きましたらパトカーが道路の外に転落していたと、直接は危ないものですから、車の中まで行きませんが、外から見ると、その車両の中に制服様の衣服を着用している者が死亡している模様ということであります。おそらくこれは、交番勤務員の可能性があります。もう1名は宮城県でありますが、気仙沼警察署の駐在所の人ですが、津波にのまれて死亡したということであります。駐在所近くで死亡を確認したということであります。2人がこれまでのところ死亡殉職ということであります。

答 (大臣)あと、パトカーで激流にのまれたという通信を最後に、通信が途絶えたというケースもございまして、大変心配をいたしております。

問  流されたパトカーの数は分かりますか。

答 (警備局長)情報としては、その一件だけでございます。パトカーか私服パトカーとかどうかというのは判明しておりません。

問  行方不明の55人の警察官ですけれども、これはどちらの方が含まれているんでしょうか。

答 (長官)県別では、岩手では18人が行方不明、宮城では30人、これは連絡がとれず安否不明という意味でございます。それから福島は6人が行方不明で詳細は不明であります。それから、東北管区学校の幹部でありますが、行方不明ということであります。

問  殉職の2県は、それぞれ何市になりますか。宮城県は気仙沼市と、岩手県は何市になりますか。

答 (長官)これは、詳細は後ほど。

問  随分と御遺体が見つかっているのですが、今後の検視の体制とかやり方について、お考えがあれば伺いたいのですが。

問 (警備局長)本来は刑事局長がお答えすることかもしれませんが、既に第一次派遣部隊を派遣しておりますが、本日更に増強いたしまして、刑事部隊全体で338名、これはまだ到着してない部隊も含めまして現地に向かっております。この要員が基本的には検視作業に従事することになります。現地の警察と連携を取りながら今後調整してくことになると思います。

答 (大臣)ニュージーランドの時もそうでしたが、検視の方を派遣するときは我々も心が痛むのです。亡くなっている方がいらっしゃることを前提にしてのことですので、そこは、あまり大きく我々としても最初から申し上げるということをしていないということであります。別に、報道どうこうではないのです。我々は最初から申し上げなかったということです。

問  関連でもう一つなんですが、かなりの数に遺体が上りますので、体育館とか大きいところに集め慎重を期さなければいけないということもあるんですが、場所の確保も難しい状態で、かなりの数の御遺体を相手にするというのは、とても大変なのではないかと思うんですが、そこを何かもう一つお考えがあればお願いします。やり方、進め方について、大枠でもう少しありますでしょうか。

答 (大臣)警察としては、今はもう救命救助に精一杯です。昨日の今日ですから、今仰られたことは大切なことですが、またこれから派遣する皆さんとも、現地を見ていただいた上で、よく相談をして慎重に対応していきたいと思います。

問  地区全体と連絡が取れていないところが結構あるみたいなんですけど、今のところ把握されている範囲で自治体ですとか、特に山火事があったところですとか市街地で火事があったところの情報は入っていますか。

答 (警備局長)私共には入っておりません。ただ、警察署とは連絡が取れております。町役場で、先ほど大臣が言及されましたけど、連絡が取れてないところが、確か2箇所あるというふうに側聞しております。それ以上の情報は持っておりません。

問  それは、県名は分かりますか。

答 (警備局長)私は分かりません。これは、総務省が把握していると思います。

答 (大臣)岩手県だったと思います。太平洋側で津波の大被害を受けられたものと思います。