国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成23年3月25日(金)9:02~9:23

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要   災害対策について、少しまとめてみたいと思います。警察はこれまでに全国から警察官を派遣するなど、組織を挙げて、被災者の救出・救助や支援、避難誘導、交通規制、そして原子力発電所への放水作業にも携わったわけでございます。この放水につきましては、今にして思えばという言い方はおかしいかもしれませんが、自衛隊や消防、消防は横浜や大阪の消防車も協力をしていただいて行っておりますけれども、最初に警察の放水車を東電にお貸しいたしておりました。そして現地にあったということもあり、また強力な放水車であるということもあり、これほどの未曾有の大災害の下で、国のあらゆる能力を注入してということで機動隊員を派遣いたしました。短期間でありましたけれども、その所期の目的を達成し、あとは自衛隊や消防に引き継いだと、言うならば先鞭を切って、その道筋をつけたという意味でも私は大変評価をしているところであります。

御遺体の身元確認等の取組みも進めてまいりました。本日午前7時現在での死者数は9,811人、行方不明者の方は17,541人であります。この行方不明者の中から、できるだけ生存者が発見され、瓦礫の中で頑張っておられる方が何人いらっしゃるか最後まで望みを捨てたくありませんが、たまたま県外に逃れておられて、この登録がされていない方などもあると思いますので、この行方不明者数ができるだけ少なくなりますように、何とか願わくばこれ以上増えませんように、そしてそれが亡くなった方としてカウントされる人数になりませんように祈っているところであります。よって、いろんな整理の仕方があるのでしょうが、私としては死者数と行方不明者数を合計して申し上げるのは避けたいと思います。と言っても、いろんな統計を取ったり、報道をされたりする分についてはそれぞれの御判断ですから、もちろん御自由ですし、私がコメントすることではありませんが、私としてはそういう気持ちでおります。

本日現在では、被災地の県警察合計約8,000人と全国からの派遣部隊合計約2,900人、合計約1万1,000人体制で災害警備活動を実施いたしております。これまでに警察におきましては、生存者約3,750名の方々を救出・救助しております。話題になった方もいらっしゃいますし、そうでない方もいらっしゃいますが、命の尊さに変わりはありません。また、福島第一原子力発電所から20キロから30キロ圏内からの退避については、病院や介護施設から患者など合計545名を圏外に移送し、3月21日に完了をいたしております。

交通につきましては、3月24日午前6時から、東北道、磐越道等の交通規制を全面的に解除しております。これらの道路で交通量は確かに増加をいたしておりますが、目立った渋滞などの報告は受けておりません。なお、一部東北道において、給油所に一般車が殺到したという報道もなされ、また実際にそういうことがあったと承知をいたしておりますが、高速道路の規制解除後に、多くのサービスエリアに給油目的の一般車両が集中し、宮城県の菅生パーキングエリアでは車列が本線の路肩に及んだと聞いております。しかし、本線車道の通行がそれによって妨げられたという事実はないようでございます。サービスエリアでの給油を目的とした高速道路の利用がかなりあったようですが、一時的な現象でとどまってくれるものと思います。市内のガソリン補給が円滑にできるようになることを期待しているところでございます。

次に、御遺体の検視や身元確認でありますが、全国から派遣中の刑事部隊は約490名であります。被災地の県警察と合わせて約1,500人の体制で現在取り組んでおります。また、日本法医学会などの御協力も得て、医師、歯科医師合計60名を派遣していただいております。これまでに約6,140体の遺体の身元を確認しております。これは収容された遺体の約64パーセントということでございますが、これも日によって場所によって、地域によっては100パーセント近いところもありますし、なかなか数が多くて間に合わないところもありますが、精一杯頑張っていただいております。それから、御遺族にお引き渡しをしたのが約半数余りです。御遺族にお引き合わせをし、そして御遺族が遺体を引き取って安置する場所がないので、そのまましばらく預かっていてほしいという方もかなりありまして、御遺体は安置所にあるわけですが、御遺族と連絡が取れて御確認が取れたが、御遺族の御希望でお引き取りにはなっていないが安置していると、これは引き取りの数に入れさせていただいております。つまり、半数近くは十分に確認ができていない、ましてや、お引き取りになられる環境にないという方が多いわけであります。

この度の地震に関し、これは今後の問題、また、これからのけしからん問題をどう防ぐかという話でございますが、被災者への義援金名目で現金を騙し取ろうとしたとして、24日までに3件3名を検挙したと報告を受けております。被災地における生活の安全と秩序の維持が重要になってくるとの観点から、全国警察から地域警察特別派遣部隊を編成し、制服警察官とパトロールカーを現地に派遣をいたしております。これは、悪いことをする奴、しようとしている人に対するけん制効果と、避難されている方や被災者の皆さんの心理的な安心感、大変皆さんに喜んでいただいているようでございます。今後は、心身ともにストレスの多い避難所生活を送っている被災者に寄り添い支援するため、女性警察官を派遣することとしております。また、震災に便乗した悪質商法、義援金名目の詐欺、インターネット上の流言飛語等により、国民が不安に駆られたり、被害に遭ったりすることのないよう取締りを強化するとともに、関係行政機関等と連携し広報啓発をはじめ幅広い対策を展開することといたしております。

      まだまだ、警察の役割はこれから息長くやっていかないといけませんし、これは検討をまだしていることではありませんが、阪神淡路大震災の時の前例から考えますと、被災地における警察官、今応援でやっておりますが増員をどうするかとか、警察署・交番所の被害に遭いました所をどう建て直していくかとか、警察側としてもいろんな問題と言いますか課題が残っておりますし、取り組んでいかなければなりません。同時に、当然これからの復興に向けて犯罪を防ぐこともまた正常に復興していくための縁になるわけでありますから大きな役割を果たしていきたいと思います。また現在、自らを保証する証明するものが何もなくなっているという方々の御相談を受けているとこの間申し上げたかもしれませんが、運転免許証が一番手元に持ちやすいということもあって、町長なり避難所の所長さんなりの証明があれば、県外でも運転免許証を発行するということも、今行っております。できるだけ皆さんが、心身ともに落ち着いていただける縁になりますようにと、いろんなことを工夫しながら努力をいたしておりますが、またどうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

   震災から2週間経ちましたが、ライフラインがなかなかうまくいかなかったりとかあったと思うんですけど、過去2週間の対策とか、政府として対策についてどのようにお感じになられておられますでしょうか。

   やはり、正に未曾有の大災害でございます。亡くなられた方のことを思い、御遺族の気持ち、そしてまた被災者の皆さんに心からお見舞いと御冥福を祈る気持ちを添えたいと思います。また今後の復興に向けて、できる限り警察もまた全力を挙げて復興を望んでいきたいと思います。ただ、もう一つ今一番私が危惧しておりますのは、原発から20キロ圏内は避難をしていただいているわけでありますが、そこが言うならば、人がいない前提でございますので、警察は、10キロから20キロ圏内の区域におきまして、住民が避難した家屋を対象としたパトロールを実施しております。その中で、未だ避難していない住民に対しては避難を呼びかけております。また、このパトロール中に遺体を発見した場合には、検視場所に収容しています。これらのことも原発の問題が早く収まって軌道に乗ってくれればいいなと日々願っているところであります。

それぞれの皆さんが自分の分野において活躍されていると思いますが、皆さんによって非常に報道を大きくしていただいて、またみんながそれを読んで励みにしたり、問題意識を認識したりということが多いと思います。しかし、私達もそうですし、皆さんもそうですが、どんなに伝えようとしても全部を伝えることはできないわけであります。我々が表現したり伝えたりすることができない影に、むしろ大多数の皆さんが大変な御苦労をされていると思いますし、警察もまた、その目立たないところで日々の活動を不眠不休で懸命にやってくれていることにも私としては敬意を表したいし、また共に頑張っていきたいと思います。実は先般、山の上に道なき道、壊れた崖を避けながら、コツコツと受信基地、発信基地を整備するために頑張ってくれている、誰も見ているわけではないが、その通信基地があって初めて地方自治体、いろんな通信網が壊れている中で警察の情報網だけが命綱として残っている、そういうところを支えてくれている仲間のことを御報告申し上げました。それを私がここで申し上げたということを一言お聞きになっただけで、その人達は大変感激して下さって、見てくれているんだという気持ちで、より一層頑張ってくれているという話を聞きましたが、そういう多くの皆さんの心合わせをこれからも、自らも進め、かつ、また警察がそういうひな形に縁になってくれればいいなと思っているところです。