国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成23年3月31日(木)11:50~11:58

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会、定例会議の状況について申し上げます。本日は中野委員長は国会用務のために欠席でございました。議題事項については、平成23年度政策評価の実施に関する計画等についてというのを始めとして、いくつか説明がございまして原案どおり決定いたしました。報告事項ですが、お手元の資料とおりの報告が警察庁からございましたけれど、震災の関連につきまして若干申し上げます。被災地における救出活動、救助活動、それから身元確認の作業、そして現地の防犯、犯罪取締り活動などについて、現状をご説明いただきました。それから全国警察からの応援について、全国的な支援体制を強化するために発足しました支援調整チームというものについても報告を受けました。定例会議の内容は以上のとおりでございます。

問  長官にお聞きします。警察施設の被害についてなんですけれども、だいぶ日にちが経ちましたが、被害の現状についてまとまったものがあれば、その内容と対策、そして影響があればその影響についてお聞かせください。

答  (長官)日が経ちましたので、ほぼ大体全容をお知らせできると思います。3月30日現在で取りまとめた被災3県における被害状況ですが、まず警察本部については、宮城県と福島県警察で一部損壊の被害が生じておりまして、福島県では災害対策本部を福島警察署に移転している状況にあります。他方、警察署については合わせて40警察署4分庁舎で被害が生じておりまして、このうち岩手県釜石、宮城県気仙沼及び南三陸それぞれの警察署については浸水により使用できないという状況にあります。さらに交番・駐在所については、これも合わせて108交番・駐在所で被害が生じておりまして、このうち宮城県気仙沼警察署の大谷駐在所、岩手県大船渡警察署の高田幹部交番を始め55交番・駐在所では全壊や流失等により使用できない状況にあります。加えて福島県では、原発の影響によりまして双葉警察署、それから同署の浪江分庁舎さらに駐在所3所、そして南相馬では駐在所2所が使用できないという状況にあります。次に装備については、合わせて67台の車両に水没等の被害が生じております。また、船舶については、岩手県警察の船舶1隻が損傷しておりますし、宮城県警察の船舶1隻が損傷と1隻が所在不明とそれぞれ1隻ずつということであります。お分かりのように警察にとって大変厳しい状況にありますが、これに対して臨時の活動拠点の確保や他県からの管理換えによる車両の増強ということによって、警察としての機能を維持していることであります。今後被災地における住民の安全安心を確保するということが極めて重要ですので、そのためにはこうした施設とか装備の速やかな復旧が不可欠で、補正予算を始め被災地への支援策を取りまとめる過程において、施設や装備についても必要な措置を行ってまいりたいと考えております。冒頭で言いました大体全容が分かったことをご紹介します。

問  長官にお伺いします。今出ましたけど、被災した地域での治安に関してのことでお伺いしたいんですけど、一部報道でも窃盗被害等で累計で1億円に上ったという報道もありますけれども、被災された方々の住まいや、その地域での治安の現状がどのようになっているのかということを教えていただきたい。

答  (長官)今ご指摘のことについては、宮城県警が震災発生後の窃盗事件の発生状況について発表したという件についてだと思うんですが、確かに被災地におきましては、多くの家屋や店舗が無人となっているということでありますから、それはどうしても被災地ならではの手口の窃盗犯が増加しており、例えば、空き巣や出店荒らしやガソリン盗といった特有のものが増加していることは事実であります。しかし、全体で見ると、窃盗犯全体もそうですし、刑法犯全体の認知件数も我々の把握している今の段階では、むしろ減少している、増えていないという状況にあります。 問題は、今回の震災によって被災地に多大な被害が生じて、そもそも地域社会全体が失われるといった従前では想定できない事態が生じているところが少なくない訳でありますが、こうした現状において、今後被災した地域の治安の確保が最も重要である、今後が大事だと認識しておる訳であります。犯罪の取締りと被災地における警戒、警ら活動を更に強化して人々の安心の確保に努めてまいりたい。要するに情勢というものをよく注視して、取締りの強化もそうですけれども、未然防止のために色んな手を打っていくとか、色んなことがあると思います。そういう緊張感を持って対処するという姿勢が大事だと思っておりますので、単に件数というものだけを見ている訳ではないと思います。