国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成23年4月1日(金)9:49~9:59

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要    拉致問題担当大臣として、ひとつご報告申し上げます。本日の閣議で人権教育啓発に関する基本計画に北朝鮮当局による拉致問題等に関する記述を盛り込むことが決定いたしました。これは昨年11月に開催された拉致問題対策本部第4回本部会合におきまして菅総理より示されました8項目にわたる本部長指示の内容にも合致するものであります。北朝鮮による日本人拉致は我が国に対する私権侵害かつ重大な人権侵害であり、国の責任において解決する必要があります。そのためには拉致問題等について幅広い国民各層及び国際社会の理解と支持が不可欠でありまして、その関心と認識を深める取組みを一層進めていくため、拉致問題を担当する大臣として閣議において各大臣にご尽力をお願いしたところであります。報道関係者の皆様に常にご協力をいただいておりますが、多くの国民の皆様とともに今後ともより一層の関心と認識を深めて頂ければとお願いを申しあげる次第でございます。

 今日は原発の近くまで視察に行かれるということですけれども、その原発20キロ圏内には、まだたくさんの行方不明者がいらっしゃるようですし、先日はご遺体を1体発見されたけれどもお運びできなかったというような状況が続いているんですけれども、警察として今後このことに関してどのような手立てをお考えでいらっしゃるか、もしご所見があればお聞かせ願いたい。

答  できるだけ放射能からの防護の体制もとりつつ10キロ圏内にも踏み込んでいろんな捜索を行い努力をしているところであります。先般もその10キロ圏内で放射線管理を徹底しながら必要に応じ警察活動を行っておりまして、一昨日、放射線量のモニタリング中の部隊が自宅に荷物を取りに行った住民からの届出を受け、福島県警機動隊等が自宅に残っていた70歳代の女性一人を救助し、説得をして避難所に搬送をしたというケースもございます。ご遺体のこともありますし、このようなケースも念には念を入れてやっているつもりでも、こういうことも起こり得ますので、これからもより一層注意して努力をしていきたいと思っております。

問  放射能を浴びてる遺体の手立てについてもう一回教えて頂きたい。

 そこが大変悩ましいところであります。これにつきましては、現地でも検討としております。警察としても初めてのケースでございますし、ご遺体ができるだけ傷む前に収容もしたい。しかし、できるだけそのご遺体が受けている放射線のことについても、周囲の皆さんのことを考えながら十分に対応していかなければいけないということで、そのジレンマの中で今現地で真剣に検討がなされていると聞いております。

問  震災の後、福島や仙台の地検が勾留中容疑者を一部釈放していたということですが、それに対して治安の問題、治安の対策にあたって警察の立場としてどのようにお考えであるかということと、容疑者を釈放されることで不安に思う人もいると思うんですけれども、その当たりを含めてお考えをお聞かせ下さい。

答  釈放したことの是非については、権限は検察にありますので、特にコメントをする立場ないと思っておりますが、ただ、警察の立場からしますとその拘束しております容疑者みなさんの人道人権の問題も合わせて考えなければいけません。食事、水、それと余震その他のことも考えてできる限りのことをやってまいりましたし、また岩手県については一部移送をして万事対応し、遺漏のないようにやってまいりました。よって、一部言われます警察側の事情もこれありということは、当たらないと考えております。警察としては万全の体制を講じてきたと、その上に立って検察がどう判断をされるかについては、これは検察の権限の枠内ということで、我々としては敢えてコメントをしないという今気持ちでいます。

問  被災地で一部治安の悪化が懸念されていて、実際に窃盗であるとか傷害事件とかが起きている状況があるんですけど、これに対して警察としてどのように対応していくのかお聞かせ下さい。

答  現地県警本部でもそのことは、ある意味日常業務の延長線上にある仕事でもありまして全力を尽くしておりますが、併せまして全国からの動員、それは制服警察官及びパトカー、目に見える形で二つの効果、すなわち被災者の皆さんに警察がそうして出動し頑張っているという姿を見ていただくことによって安心をしていただく、その声はたくさん実は被災者の皆さんから届いております。また、そういう邪な心を持つような人に対するけん制効果ということも当然考えながらできる限りこれにつきましては目に見える形での防犯活動に今意を注いでいるところでございます。なお、付け加えますが三県で8,000名、もう大変疲れていると思います。もう既にトータル15,000名位の警察官がそれぞれ期間を決めて交代で支援に入っていますが、大体3,000人くらいが常駐しているかたちであります。これは、警察は自衛隊と違うところは、いわゆる自己完結型の装備体制を持っている訳ではありませんので、寝泊まりのこと、食事のことできるだけ地元に迷惑かけないようにしつつも、しかし限界があります。また近県から日帰り的に応援をすることとか、色んな工夫をしながら、むしろ警察としては限界に挑戦をしつつ、精一杯の支援体制を組んでいるということでございます。また、避難所等につきましては、昨日から女性警察官35名を含む50名を追加して皆さんの相談にのったり、寄り添ってともに元気を出していただけるようにということなどを含めて懸命の努力を重ねてしているというところでございます。

問  関連なんですけど、被災後、長期化が予想されるので、今の応急的な対応以上に恒久的にどういうふうに対応されるかということなんですけど、増員についてはどのようにお考えですか。

答  これからの検討です。もちろん非公式にというか内々の検討はするように私のほうから指示をいたしております。ちなみに阪神・淡路大震災の時には確か500名位増員をしたと思います。増員を決めましてもそれから募集をしておったのでは日にちがかかりますので、他の県警から500名をとりあえずもらって埋め合わせ、そして後でそれをまた補充をしていくという形をとったかと思いますが、これからむしろある意味常駐といいますか、定数増が必要になってくる時をより一層迎えるという認識は持っておりますので、どのような形になりますか、いずれにせよ我々としては、前向きに検討させていただいております。