国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成23年4月8日(金)10:52~11:08

2 場所 警察庁18階第4会議室

3 概要  まもなく来週月曜日で発生1か月を迎えるわけであります。大変大きな大地震、津波、原発なかなか全体として遅々としてその対策が進んでいない感もあるかもしれませんが、しかしそれぞれの持ち場で全力を尽くして皆さんが復興への道筋をつけたいということで頑張っておられると思っております。このような共通の認識を持ちながら閣僚懇の際にも例えば財務大臣からも自粛ムードについて、行き過ぎた自粛ムードはいかがであろうかということから、やはり日常の生活にできるだけ皆さんが戻っていただくということは大切なことで被災者救援、そしてまた復興への道筋を意識し、そのための力も尽くしながら、一方で日本の全体の国民生活が過度な自粛になるのではなくて、日常の生活を早く取り戻してもらう、そのためにも一つのけじめというものが精神的なけじめが必要なんではないだろうかという御発言もありました。また私も例えば復興再開発、地域によって違いますが阪神淡路のときには震災後、一面ブルーシートだらけでありました。これは津波ではなくて火災が主な災害の一つになりましたけども、建物がその場に崩れている、または一部損壊している、一部損壊のところはブルーシートでカバーしており、それが非常に多かった。今回の場合は津波で根こぞぎ浚われてしまったということから、ブルーシートをほとんど見かけない。そういった状況の中である意味では町の形が変わってしまうかもしれないけれども、そこは街並みを復活させることではなく、そこに住んでいた人達の人間的繋がり、コミュニティーを大事にしながら、その人達にまた地域へ戻って住んでいただくことを大事にしながら、しかし町のハードな形というのは再開発の手法をもってやっていかざるを得ないのではないか、そういうことの方向性を早く道筋をつけること。それともう一つは、辛い断腸の思いが加わると思うけれども、心のけじめも何らかの形でつけていく必要があるのではないか。その一つとして昨日、一昨日から言われておりますが、20キロ圏内の皆さんの一時帰宅なども、被災者の皆さんの心に一つのけじめをつける、といってもこれは辛いけじめなのですが、しかし、前へ向かって歩むための一つのけじめとなりうるならば、それも万全の体制を敷きつつ早くやって差し上げたほうがいいのではないかと考えております。警察としてもそういう時期が来ることを前提にして心構えなど準備をしつつあるということを閣僚懇の中で私の方から発言をいたしました。

昨日、福島第一原発から20キロ圏内において、福島県警察と警視庁から派遣をされた部隊が、南相馬市において行方不明者の捜索を実施したところでございます。昨日の捜索では、市役所からの協力要請もあったということで地元の事業者の皆さんの重機による御協力もいただきました。昨日の段階では3体の御遺体を発見・収容をしたところであります。本日も警察としては、約380人体制により、同地区において昨日は内陸側でありましたが、海岸線に近い方は水が溜まって夜は沼地のようになってしまっている、昨日より困難を極めるところだとは思いますが、そちらの方において行方不明者の捜索を実施するということでございます。これも民間の重機を持った事業者の御協力が得られそうであると聞いております。

なお、昨日は夜中11時半に大きな大地震がありましたけれども、山形県でお一人、亡くなられたとお聞きしておりますが、それ以上の情報についてはまだ集約中でございます。

それから閣僚懇で改めて官房長官からも言っていただいたのでありますが、被災地等における安全・安心の確保対策について、先般ワーキングチームが4月6日に開催をされて対策を決定いたしました。警察に関わることが大変多いのでありますが、実際にそのためのパトロール、制服警察官による警ら、流言蜚語等に対する牽制などいろんなことをやっておりますが、これは全省庁をあげてこの対策には御協力をいただくということを改めて今日、官房長官及び私の発言で御協力を要請したところでございます。

問  20キロ圏内の捜索ですけれども、当面、警察だけでやっていくことなんでしょうか。自衛隊や消防のほうは加わってはこないんでしょうか。

答  昨日は市役所側の手配によって民間の事業者が重機をもってやっていただいたということであります。消防については今後、色々と検討されるんだろうと思います。昨日、警察のほうでかなり大がかりにやりましたが、自衛隊のほうも検討されているようにお聞きをいたしております。

問  震災の話が閣議の中であったということですけど、それに関して総理の御発言はありましたか。

答  総理からも御発言がございまして、1ヶ月を目前にしていると。それぞれのワーキングチーム、その他、機能されて努力をしていただいているところですが、より一層頑張ってくださいということでした。基本的には各論はそれぞれが言いますので、総理からは基本的に、より一層心を引き締めて頑張っていきましょうという御挨拶でございます。

問  先ほど、大臣の発言の中で、被災者の心に一つのけじめをつけるという発言がありましたけど、これは20キロ圏内に住まわれている方の長期的な退避とか、そういったことを念頭においての発言なのでしょうか。

答  いわゆる被災者の方が気がかりとして残っておる色んなお気持ちがあると思うんです。それらの気持ちを少しでも和らげたり、解決して差し上げることができれば、それは、一つ一つやることによって、お気持ちがそれだけ一つのけじめがつくということではないかと。よって一時帰宅のことも、その一つとして、ワンオブゼムとしてそういうことも考えられるのではないかという気持ちで申し上げました。

問  大臣冒頭で、これまで全体として遅々として対策が進んでいないというような考えをおっしゃられましたが、1ヶ月を目前として、政府の対応として、どの辺が遅いのか、また政府として取り組まなければいけないのか教えてください。またその理由もお願いします。

答  その前後に、私は、あまりにも大きな、言うなれば三重苦的な地震、津波、原発という、しかも広範囲の災害でありましたので、国民の皆さんの意識としては、特に原発問題が進んでいるのか進んでいないのか、実際はいろんな対応を懸命に毎日昼夜を分かたずやっているわけですから、進んでいるには違いない。だけれども、ただ解決に向かっているというイメージ形成が国民の皆さんの安心という意味で進んでいないということを感じております。対策が進んでいないという実態論を言っているのではなくて、国民の皆さんの目から見た印象というのは、そういうのが率直なところではないかというふうに私自身は受け止めているということであります。実際は、例えば、御遺体の収容も1万を超す数を収容させていただき、また検視をし、身元確認をし、そしてお引き渡し、身元確認も約8割以上できているわけです。御遺族にお渡ししたものもたくさんございますし、どうしても引き取ってくださる方が分らないところは、御遺体の傷みも激しいものですから、地元の自治体に断腸の思いながら、お引き渡しているというケースもあります。それらのことは、被災者対策等も含めて、でき得ることを官民挙げて今やっているということだけは間違いのない事実であります。そういう中で、まだ1ヶ月という見方もあるかもしれませんが、しかし、もう1ヶ月経ってしまったという感情も働かないわけではありません。より一層復興に向けて、また日常の平和な生活に戻っていただけるには、まだ日が長くかかりそうだということで、私ども自身の気持ちの焦りといいますか、逸りといいますか、そういうことも含めて率直な気持ちを申し上げたというところであります。

問  1ヶ月ということで、政府は今月補正予算を組むということですが、大臣のご管轄の中で、補正予算でこういったことをやっていきたいということがあれば教えていただきたいと思います。

答  警察という所管のことで申し上げなければいけないんだろうと思います。実を言うとこの後、それについて各論の数字の打ち合わせをすることになっておりまして、まだ事務方から、まとまった警察庁案というものは、私自身は把握していないのですが、ただ県警本部、警察署、駐在所、交番も大変多くの被害を受けております。これはやはり国民の治安を守るためにも、一時も早く復興再建をしないといけないというふうに思っておりますので、所管の中だけでいえば、それらのことについて、しっかり詰めていきたいと思っております。また、これから人手がいくらあっても足りない状況に益々なってくるわけでありますので、三県警の定員増、定数増のことも含めて話題になってくるかというふうに思っております。