国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成23年4月21日(木)11:46~12:01

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。本日は全員
出席でございます。議題事項につきましては、人事案件等について説明があ
り、原案どおり決定いたしました。報告事項につきましては、お手元の資料
のとおりの報告が警察庁からございました。震災の関連につきましては、こ
れまでも申し上げておりますが、派遣部隊を全国から約4,500人に増や
しまして、被災地三県の8,000人に加えまして、12,500人体制で
災害警備活動等を実施中でございます。また、福島県警察におきましては、
引き続き10キロ圏内での捜索活動を実施し、多くの御遺体の収容を行って
おります。以上でございます。

問  長官にお尋ねします。この間の栃木県鹿沼市での小学生6人が死亡した交
通事故についてですが、その事故についての御所見と今後本人が病気とかい
うのも取りざたされてますけれども、そういったのも含めまして捜査のポイ
ントなどについてお聞かせください。

答  (長官)本件は、誠に痛ましい交通死亡事故でありまして、御遺族の心痛
は察するに余りあるものであります。亡くなられた小学生の方々の御冥福と
御遺族の皆様に心からお悔やみ申し上げたいと思います。栃木県警察におい
ては、現在、事故の原因等について鋭意、捜査を進めているところでありま
して、具体的な内容につきましては差し控えたいと思います。こうした悲惨
な事故を今後起こさないためにも、事故原因の徹底究明ということが必要で
あると、今それが一番大事であると思います。

(大臣)一昨日でしたか閣議後の会見でこのことについて、御質問にお答
えして若干触れたことがございました。当初5人のお子さんが亡くなられて、
そしてお一人が重傷という報道でございまして心配いたしておりましたが、
6人のお子さんが亡くなられたという事の内容を含めて大変ショックを受け
ているところでございます。元気な盛りの子供達が、こういう犠牲に遭うよ
うなことがあっては断じてならぬという気持ちを持ちますし、また私事なが
ら、ちょうど6名の小学生・中学生の孫を持ってるものですから、そういう
ことなどを重ね合わせまして、また去年孫の一人が交通事故に遭いまして大
事には至りませんでしたが、本当に安心しきっている安全な場所としての子
供達の通学路の中でさえ、そういうことが起こるということを本当に残念に
思います。警察としても道路の整備、また信号等などいろんな形で全力を尽
くして努力をしているところであります。しかし、それでさえも防ぎきれな
いような事故がこうして起こると、このことをあらゆる視点から、この事案
に関してはいろんな捜査・調査をしているところでありますが、その結果等
をも踏まえながらより一層このような悲惨な事故が起こらないようにという
ことを改めて思った次第でございます。

問  大臣と長官にお尋ねをいたします。航空事故、鉄道事故の重大な事故につ
いてのことでありますが、先日JR福知山線の事故に関係した検証チームが
提言をまとめました。それは国の事故調と警察の捜査について区別をすべき
だというような柱だったと思います。これがそのとおりになりますとこれま
での警察の捜査というものが大分変わってくるのではないかと、かつこの提
言について国交大臣が前向きに受け止めてその方向で改革するという趣旨の
御発言もありました。これも含めて大臣、長官の御所見を伺いたいと思いま
す。

答  (大臣)後ほど長官からもお答えさせていただきたいと思いますが、大畠
国交大臣が前向きに改革を進めていきたいと答えたという報道もあり、今の
御質問にもございましたので、私の方からも若干申し上げておきたいと思い
ます。これまでも警察と運輸安全委員会は、航空機等の事故の現場において、
相互に調整しつつ、それぞれ支障なく、いわゆる建設的ないい意味での協力
関係を維持して活動を遂行してきたと認識いたしております。鑑定嘱託の在
り方を見直すことについては、事件の捜査のみならず公判にも関わる重大な
事項でありますことから、十分な検討が必要であると考えております。よっ
て、運輸安全委員会から協議の申出があれば、必要な意見を述べてまいるも
のだと思っておりますが、是非そういう場を設けてもらいたいものだと公安
委員会として思います。また、被害者の中には、関係者の刑事責任の追及を
強く求める声があることは御承知のとおりでございますし、警察としては、
こうした点も踏まえつつ、捜査に対する支障が生じないよう、適切に対応し
てまいりたいと思います。ちなみに、提言の内容について運輸安全委員会と
協議を行った事実はありません。よって、当然これに関する警察の合意はあ
りません。

(長官)これまでも警察と運輸安全委員会というのは、航空機等事故の現
場におきまして、相互に調整しながら、それぞれ支障なく活動を遂行してき
たと、先ほど大臣がおっしゃるとおりでありまして、我々もそういう認識で
やっております。今回の提言についての基本的な考え方は、先ほど大臣がお
っしゃったとおりだと思います。やはり刑事責任の追及を求める被害者等と
直接接することとなる警察としては、その声に応えるべく、適切に捜査を遂
げることが必要であると考えております。

問  長官にお聞きします。捜査一課の方から今回の震災の死因等について公表
されましたけれども、まずこれについての御所見と今後身元不明遺体をどう
身元を確認していくのかということがかなり難航されると思われますけど、
その辺についての対策の強化などについてお聞かせください。

答  (長官)身元の分析というのが出ましたが、一つ年代別にみますと高齢者
の方々が多数犠牲になっているということと、それから死因別に見ますと溺
死が圧倒的に多いということで、改めて津波による被害の大きさを実感した
次第であります。

他方、現在でも身元不明の遺体というのは2,000体以上あるのも事実
でありまして、これが今回の特徴でもあるわけであります。身元確認につい
ては、更に今、DNA等色んなことをやっているところであります。また御
遺族の負担を軽減するということで、いくつか取り組んでいるものがありま
して、各県で多い日で2,000人前後の御遺族が安置所を訪れておられる
と、中には連日安置所に足を運ばれる方々も少なくない。それも各地に分散
しているわけですから、中々大変でありますから、こうしたご負担を軽減し
なければいけないということです。複数の安置所を回らなくても済むように、
各県内で収容されましたすべての御遺体の顔写真とか着衣、所持品等を台帳
にまとめて、県内のいずれの安置所や主な警察署に行っても備え付けられて
いるということで、負担の軽減を図っておるということであります。

さらに、近く実現するために今準備をしているのは、御案内のとおり、今
回の震災というのは、津波によって居住地から相当離れて県境を越えて御遺
体が発見されるということが少なくないわけでありますから、先ほど申しま
したのは県内でありますが、今度は被災三県警察の間で、御遺体の写真台帳
を共有して、それぞれの安置所等に備え付ける準備をする。三県共通でどこ
に行かなくても良い、そういうような事を今進めております。いずれにして
も、引き続き全国警察の協力の下で出来るだけ速やかに御遺体を御遺族の元
へお引き渡しできるように全力を尽くしてまいりたいと思いますし、一ヶ月
以上経ってまだこういう状態であるということでありますから、出来るだけ
早くお引き渡しをするというのは、我々の責務であると思っています。全力
を尽くしたいと思います。

問  大臣にお聞きします。今日、福島原発20キロ圏内の警戒区域の設定が発
表されたわけですけど、警察としてこれから、立入りの制限とかに関わって
いくと思うんですけど、どのような対応を取っていくかということと、一時
帰宅の支援なども予想されると思いますが、そのあたりの対応についてのお
考えをお聞かせください。

答  (大臣)いずれはこういう時期がくるものと思っておりましたので、警察
としてもその場合の心構えを前もってしておくようにということで、準備は
してまいりましたし、決定したことについて対応する構えはいたしておりま
す。

既に福島第一原子力発電所から20キロ周辺の主要道路において、約25
0人の部隊により検問を行ってきたところでありますが、20キロ圏内が警
戒区域に設定されるという指示を踏まえて、関係機関と連携を取りながら実
効性の担保に努めてまいりたいと思います。また避難されている方々が、残
してきた自宅や空き巣などの被害に遭うのではないかと大きな不安を抱いて
おられますので、パトロールを強化して欲しいとの要望も寄せられてきたと
ころでございます。これらのことを今までやっておりましたが、今般、この
ような措置をとられるということになりますと当然、一時立ち入りに関する
先導であるとか、その他必要なことがあれば、それらのことも含めて警察と
してはできる限りの努力をしていきたいというふうに思っているところであ
ります。