国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成23年5月12日(木)11:52~12:03

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。本日は、髙木
委員が所用のため欠席でありました。議題事項につきましては、人事案件につ
いて説明があり、原案どおり決定いたしました。報告事項につきましては、か
なりたくさん多岐にわたりましたが、お手元の資料のとおりの報告が警察庁か
らございました。その中でも震災の関連で身元確認の事務について御説明をさ
せていただきたいと思います。

      東日本大震災の被災地においては、犠牲となった御遺体の身元確認作業に鋭
意取り組んでおりますが、未だ身元の確認に至っていない御遺体が相当数に達
しており、また、震災から相当日数が経過しておりますから、ますます身元の
確認が困難な状況になることが予想されます。こうした状況を踏まえ、身元確
認作業を更に強化するため、岩手、宮城及び福島県警察に対して10都県警察
から106名の身元確認作業支援部隊を派遣し、5月13日から集中的に行方
不明者の御家族等から身元確認のための資料の確認、採取等を行うことといた
しました。この派遣部隊により被災地における身元確認作業が的確に遂行され、
1人でも多くの御遺体を御家族にお返しすることができますように引き続き全
力で取り組んでまいりたいと考えております。以上であります。

  大臣にお尋ねします。福島第一原発から20km圏内の住民の方の一時帰宅が
始まりましたけれども、この点に関しまして警察の対応、それから今後の措置
について御所見をお伺いできればと思います。

答  (大臣)5月10日、福島第一原子力発電所周辺の警戒区域内に在る川内村
への一時立入りが実施されたところでございます。これを受けて福島県警察で
は、約40名の体制でパトカー等により、立ち入られる方々の乗車するバスの
先導のほか、同村内における警戒・警ら活動を実施したところでございます。
また、本日、川内村・葛尾村への一時立入りも実施されておりまして、これを
受け、福島県警察では約90名の体制で同様の対応に当たっているところでご
ざいます。これまで、これらの一時立入りに際し、立ち入られた方が所在不明
になるというような特異動向はないものと承知をいたしております。また、留
守中の盗難の被害があったというような報告もございません。警察としては、
引き続き関係機関とも連携を図りながら、立ち入られる方々の安全を確保する
ために可能な限りの対応をしてまいる所存でございます。

  長官にお伺いします。先日、栃木県鹿沼市でクレーン車が子供さんの列に突
っ込むという痛ましい事故がありました。その後すぐに広島県福山市でも、こ
ちらは乗用車ですが、同じように子供さんの列に突っ込むということがありま
した。まだ捜査中だとは思うのですが、双方の運転手が病気を持っていたとい
うことが判明したということですけれども、病気を持った方の社会進出と交通
の安全という兼ね合いについて、また議論がなされるかもしれないのですけれ
ども、当面の警察の対応についてお聞かせください。

答  (長官)お尋ねの2件の事故のうち、栃木の事故については、事故に際して
発作が起きて意識を喪失していたものと認められますが、広島の事故について
は、現在捜査中のため、詳細はコメントを差し控えたいと思います。

 栃木の事故の被疑者の起訴を機に、都道府県警察に対しまして、正確な病状
等の申告を促すための取組み等を指示するとともに、患者団体や医師会に対し
まして、一定の病気の治療を受けている方に対する正確な自己申告等の周知を
依頼したところであります。

 また、交通事故時において不自然な供述をする者に対する捜査の徹底につい
ても指示をしたところであります。したがいまして、広島の事故についても、
この方針に基づいて、的確に捜査するよう指導してまいりたいと考えておりま
す。

  長官にお尋ねいたします。国際テロ組織アル・カーイダの指導者ビンラディ
ンが、先日パキスタンでアメリカによって殺害をされました。アル・カーイダ
は、かつて日本も攻撃対象に挙げていたということもあり、この死亡によって
日本国内での、いろいろなことが警戒されるべきであると思うんですけど、こ
の死亡と今後日本でアル・カーイダの動向監視等についての方針があれば、お
聞かせください。

答  (長官)これは日本だけではありませんが、国際テロ情勢全般で今回のビン
ラディンの死亡を受けて、短期的に当面一番警戒しなければいけないのは、イ
スラム過激派組織等による米国等に対する報復テロについてであるということ
だと思います。

 警察庁では御案内のとおり、5月2日に警備局長を長とする警備対策室を設
置して情報の収集や重要施設等に対する警戒警備の強化等を都道府県警察に対
して指示をしたところであります。

 御指摘の国内の情勢というものを含めて、国際的なテロ情勢についての感想
ですけど、やはりオサマ・ビンラディンの死亡によって国際テロ情勢は大きく
変化していくのではないかと考えております。具体的には申し上げませんけれ
ども、そういうふうに見ていく必要があります。

 警察としてはビンラディン死亡後の国際テロ情勢の推移が、どのように変化
していくんだということを注意深く見て、それに対して国内だけでなく国際的
にどうするか。それと連動して国内でどういう情報収集をし、対策を打つかと
いう考え、それを実行することでテロの未然防止に万全を期していくというこ
とが大事であります。つまり、これまでやってきた対策というのは、これまで
の情勢に基づいているわけですが、先ほど言いましたように、今回の件はやは
りターニングポイントだと思いますので、情勢というものを的確にフォローし
ながら、対策を打つということだと思います。そのような意味においても非常
に大きなターニングポイントであると私は思います。