国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成23年5月19日(木)12:16~12:25

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について御報告申し上げます。本日は
全員出席でございました。議題事項につきましては、警察庁長官等の評価手続
について実施をいたしましたほか、お手元の資料の案件について原案どおり決
定をいたしました。報告事項については、お手元の資料のとおりの報告が警察
庁からございました。私の方からは以上でございます。

  長官にお伺いします。ちょうど一週間前に立川市の警備会社に強盗が入りま
して、過去最悪となる6億円が奪われる事件がありました。犯人グループは、
当直の男性をナイフで刺すという大変凶悪な手口に加えて、現金が多い日を狙
った内部に精通した犯行という指摘もあります。一方で警備会社に対しても半
年間窓が壊れた状態で放置したりとか、警報システムを作動させないなど管理
の甘さがあったのではないかという指摘もありますけれども、この事件につい
て長官の御所見と今後の捜査の見通しについてお聞かせください。

答  (長官)本件については、現在、警視庁において概ね60名体制の捜査本部
を設置して、早期の事件解決に向けて捜査を進めております。まずは事件の真
相解明ということが大事であるわけでありますが、お尋ねの件に関して所見と
いうことでありますが、他人のために盗難等の発生を防止する業務を担うべき
警備業者が自らの営業所に侵入されて、多額の現金を奪われたものであるわけ
でありまして、警備業全体の信頼を失墜させかねない重大な事案であると認識
しております。したがって、被害に遭った警備業者の警備体制全般については、
警視庁において徹底した調査が行われて、必要な指導等が実施されることが重
要であると考えております。当然のことながら、今回の事件を受けまして、警
察庁から全国警備業協会に対して防犯体制の見直しを指導するよう要請を行っ
ているわけですけれども、警備業全体の問題と受け止め、一つ一つの業者もや
はり更なる警備体制の強化に意を払う必要があると思います。

  大臣にお伺いします。東日本大震災の関係で身元の確認が結構難航していて、
先日警察の方でもDNA型の採取とか、日赤への登録なんかもされてますけど、
今後身元の確認とか遺体の収容を含めて警察としてどういうふうに取り組んで
いくのか改めてお伺いします。

答  (大臣)亡くなられた方へ御冥福をお祈りするところでございますが、併せ
て行方不明者の方が御存命であることを祈りつつ、しかし、実態は実態として
厳しく受け止めなくてはなりません。せめて身元確認をして御家族の方にお渡
しをしたい、そのことに大変心血を注いでいるわけであります。そのために岩
手、宮城、福島の被災三県に部隊を派遣し、被災三県警察と連携をして146
名体制で行方不明者の御家族からの再聴取に鋭意取り組んでいるところでござ
います。5月17日までの5日間で約1,200人の行方不明者に係る御家族
から再聴取を行い、行方不明者御本人に直接関係する資料、歯ブラシ、電気カ
ミソリ等約200個の提供を受けております。身元不明のままの方がおよそ2,
200体、この数字がなかなか変わりません。身元を是非とも明らかにしてい
く、そのためのあらゆる方策を講じてやっていくということで、過去前例もな
い特別な措置であると思いますが、日本赤十字社に保管血液の鑑定に係る御協
力もいただいたところです。ただしこれは御家族等の御同意が必要であり、同
意書については約260人の行方不明者に係る御家族から受理をいたしており
ます。これらは身元確認に直結するものでありまして、DNA型検査の実施な
ど必要な措置を早急に進めていくものと承知をいたしております。また、約1,
700人の御家族から口腔内細胞の提供を受けておりまして、これらも精査の
上、今後身元確認への活用が図られるものと承知をいたしております。引き続
き本作業を推進して、1人でも多くの御遺体が御家族に引き渡されますように
現在大変な努力を警察しておりますが、より一層督励をしてまいりたいと思い
ます。

  長官にお尋ねをいたします。この週末に開かれる、日中韓首脳会議について、
報道等によりますと中国・韓国の首脳が、被災地の福島に入って会合をやると
いうようなことも出ていますけれども、現地においては、警察は警備活動その
他に非常に尽力しているところでありますけれども、この両国首脳の来日の警
備情勢、そういう出来事との兼ね合いから対策についてお聞かせください。

答  (長官)まず情勢でありますけれども、この両国に対しては従来から右翼等
が、歴史認識問題、領土問題等を捉えて、抗議行動に活発に取り組んでいるこ
とは御案内のとおりでありますが、とりわけ最近は、中国軍機の日本領空接近
や、竹島問題を巡る韓国政府の対応に強い反発を示しているということであり
ますから、より抗議行動に活発に取り組むことが予想されると思います。

 加えて、国際テロ情勢も御案内のとおり、オサマ・ビンラディンが米国の作
戦行動により死亡したことを受けまして、より厳しい状況になっているほか、
朝鮮半島情勢も予断を許さない状況が続いているということであります。以上
のように警備情勢が厳しいことを踏まえて、日中韓サミットに際して、被災県
への応援部隊投入など、全国警察が一体となって警備に万全を期すことが必要
であります。今回の警備は、全国警察でやらなければいけないので、相当投入
をして万全を図りたいと思っております。