国家公安委員会委員長記者会見要旨(警察関連部分のみ)

1 日時 平成23年6月7日(火)10:15~10:38

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  今日の閣議は、色んな人事案件や質問主意書に対する答弁等々、事務処理を
行いましたが、その後、閣僚懇で北澤防衛大臣からシンガポールでの各国担当
大臣等々との懇談について報告がありました。そうして日本の大震災による被
害に対する御同情と今後ともの協力関係について前向きな御発言をいただいて
大変心強かったというお話でございました。

 総務大臣から消防を所管する大臣として、各地方から被災地へ結集をしてお
りました消防部隊も一つの役割に目途もたって、それぞれ引き上げてまいりま
すというお話がありました。ただ、教訓として消防は若干警察に似て非なると
ころがありまして、消防についてはいわゆる国といいますか、中央でまとめて
それを指示するという形がなく、警察以上に地方消防でありますので、言うな
らば被災地の自治体との連携、または被災地の各消防との連携という形でやっ
ていくことになっている。ただ、このような大災害のときには、それを総合的
にまとめて統一的に指揮ができる体制というものも一方必要ではないかなとい
う教訓を得たというお話でございましたので、これに関連して私もせっかくそ
ういうことを感じられたという機会に今後とも警察・自衛隊・消防がいかに連
携をとっていくかということについて模索していくことも大事ではないかとい
うふうに思い、総務大臣の感想に共鳴をするということを申しました。自衛隊
の場合には、日常業務を持っているわけではありません。言うなら大きな意味
で国防の任についているわけでありますが、こういう大災害の時には大量動員
をして災害対策に自己完結型の装備を持って参加できる。しかも、重機も持っ
ているという意味で自衛隊が応援部隊として活躍するその能力は極めて高く、
貴重な存在である。一方、消防については総務大臣が言われたような一つの限
界を感じるということもあると思いますが、消防はこれまた防災は本職でもあ
ります。しかし、同時に自己完結型の装備を持っているわけではありませんし、
といって災害地では応援部隊の世話ができる能力があるわけでもありません。
消防はこれまた重機を持って作業することも本職であり、そして大がかりなこ
とができるという意味では自衛隊に似ている部分がある。しかし、自己完結型
の装備で大々的に組織的な活動ができるという形になっていないところはむし
ろ警察に似てる部分があるかもしれない。言うならば、警察の形というのは、
自衛隊と消防の中間的な役割を担っているというふうにも言えなくはない。こ
れらのことをお互いに重なる部分を作りつつ、その三つがこのような大災害の
時にいかに緊急的な措置行動がとれるように連携をとるかというシステムは、
一つの教訓に基づく今後の新しい検討課題かなというふうに思ったところであ
ります。また、もう一つ自衛隊、消防はそれぞれ引き上げてまいりますが、警
察は正にこれまでも大変でありましたが、これからがある意味神経を使う、質
の違う大変な任務を継続していかなければならないわけでありますので、各都
道府県警察からの被災三県への支援活動はこれからも続いてまいります。平た
く言えば私服の刑事部隊も既に派遣をいたしておりますが、併せて防犯のため
に、そしてまた地域の皆さんの激励のためにも表面に立つ、いわゆる見える部
隊としてのパトカーを始めとするパトロール部隊もこれから継続して必要にな
ってまいります。暴力団対策を始めとして、復興に伴う色んな不祥事や不正等
も防いでいかなければなりません。そういう意味で大変神経を使う任務がこれ
から益々拡大をしていきますが、そのことを認識し、昨日も宮城県警本部や警
察署等を訪れ、またその前に村井知事ともお会いをいたしましたが、それらの
ことについて一つ息の長い警察の活動、是非自らの健康にも十分気を付けなが
ら頑張ってもらいたいという督励をしてきたところでございます。村井知事か
らも警察の皆さんに大変頑張っていただいていると、特に県の行政との連携も
極めて密に行われ、知事と県警本部長、本当に「つうかあ」の関係で頑張って
いるということで知事からも評価をされ、謝意をいただいたところでございま
して、大変心強く感じた次第であります。さて、もう一つ感じましたことは、
同じ宮城県の中でも市や町の境で例えば川一つ、道路一つ隔てただけで瓦礫の
処理がほとんど更地といっていいぐらいにできているところと、ほとんどまだ
被災当初と変わらない瓦礫の処理が全く進んでいないところが歴然と分かれる
というようなところがあります。今日も閣僚懇でもその感想を申したところで
ありますが、これは地方自治体の能力の違いがそこに歴然と表れているのでは
ないかと思います。阪神淡路の時に瓦礫の処理が大変早く進んだということを
よく言われますが、これは神戸市、尼崎市、芦屋市、伊丹市、私の地元豊中市
も幾分ありますが、それぞれの市の行政が単位も大きく、そして行政体として
の能力も大変高い、そういうところもあったと思いますし、今回の場合には単
なる地震だけではなくて、それ以上の何倍もの被害を津波によって加えられた
という性格の違いもありますので、阪神淡路と一概に比較はできません。しか
し、色んな実態を見ながら国として瓦礫の処理、財政的支援はすべてやります
と言っておりますが、しかし行政能力に大変大きな差があるように見受けられ
ますから、これらのことも含めてしっかりと指導し、またフォローしていく必
要があるだろうと、これについては菅総理からもそのことを認識して是非スピ
ーディーに復興ができるように各閣僚も頑張ってもらいたいという言葉を添え
ていただきました。