国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成23年10月13日(木)11:17~11:27

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会の定例会議の状況について御報告を申し上げます。
議題については、人事案件が一つでございます。もう一つは、国家公安委員
長に対する行政文書開示に関する決定について等の説明があり、原案どおり
決定をしております。報告事項については、御手元の資料のとおりの報告が
警察庁からございました。

      なお、私のことでございますけれども、11日及び12日の二日間、イン
ドネシア共和国のバリで開催されました第5回のASEAN+3国際犯罪閣
僚会議に出席をしてまいりました。会議では、東日本大震災に対する各国か
らの支援に謝意を表させていただきましたことと、特に今回は、サイバー問
題に対するテーマ、分科会も開きましたので、その状況について。それから、
拉致担当大臣として、拉致に対する御協力の御願いと。こんなところで、治
安に対する閣僚が一同に介した会議で、そういうことの御理解と御協力を要
請してまいりました。以上でございます。

  大臣にお伺いします。今のお話にもありましたけれど、ASEAN+3の
関係です。サイバーのお話などありましたが、特に印象に残った議題などあ
りましたら、改めて御所感をお伺いできますでしょうか。

答  (大臣)御案内のとおり、今、現にサイバーテロの問題が日本でも起きて
いますけれども、行く直前にも閣僚を含めた対策会議を行ったところでござ
いますが、特に国内での対応も、もちろん重要なことでございますけれども、
御案内のとおり、海外との協力体制を整えなければならないわけです。特に
アセアン諸国というのは、一体とは言いつつ中身はかなり違っています。ま
だまだ率直に言って立ち後れている面もあります。シンガポールは例外的に
我が国と同様レベルの対応をしておりますけれども。まあそういうことで、
ASEAN+3が一体となって、問題に取り組んでいきましょうという話で
ございました。我が国としては、政府レベルで取り組んでいるということ、
それから、特に警察が中心となって、民間とのこのコミュニケーションシス
テムを整えつつあってやっているということのお話をして参ったところであ
ります。

   また、併せてサイバーテロではなく、テロの話ですが、昨日バリでテロ事
件が起こった日でございましたので、そこで献花をさせていただきました。
オーストラリアあたりは、テレビも来て写していましたけど、日本の犠牲者
の御遺族の方も一緒にはなりませんでしたが、私よりも前においでになった
とのことでございます。そして、そのことを契機にインドネシアと協力して、
そのすぐ近くに交番をつくりました。これは、日本の交番制度を導入したも
のですが、そこを訪問して皆さんを励ましてまいりました。現地で非常に頑
張っておられるということで、具体的な効果は分かりませんが、地域に交番
があるということは非常にテロの抑止になっているのかなと思いました。ま
た、11月には、大きな会議がありますから野田総理もバリに行きますので、
その新しいコンベンションルーム等々についても、私がその立場ではありま
せんが、一つの警護体制の下見みたいなものをして帰ってきたところです。

  暴力団排除の関係で長官にお伺いいたします。裁判所が行っている不動産
競売でございますけれども、暴力団が物件を落札して、短期間のうちに転売
して、多額な利益を得ていたという事案が発覚しましたけれども、不動産競
売の参加に暴力団を排除するためには、裁判所をはじめ関係機関が本当は努
力すべきことだと思いますが、警察として、どのような取組みができるかと
いうことについてお考えをお伺いしたいと思います。

答  この報道された御指摘の事案がどのようなものか不明でありますけれども、
仮に暴力団関係者が不動産競売に不当に関与して資金獲得を行っているよう
な実態があれば、これは暴力団対策上の観点からも、これを排除する方策を
検討する必要があると考えております。

   いずれにしても、裁判所が行う不動産競売に暴力団関係者が関与する場合
において、犯罪があると思料するときは、捜査を徹底してまいりたいという
こと、いずれにしても、また新しい視点も含めて取り組んでいきたいと思い
ます。

  長官にお尋ねします。暴力団対策に関連する質問でありますが、来年の通
常国会に向けて、暴力団対策法の改正を検討しているということであります。
有識者会議も設置をして、そういう方々の意見を聞きながらということであ
りますが、今回の改正で警察として何を目指し、何を主眼に、どのようなも
のを構想しておられるのか長官の御所見をお聞かせください。

答  今回のこうした動きの背景というのは、全般的な情勢を申し上げますとこ
の条例が全国で施行されるなど、社会における暴力団排除の機運がかつてな
いほど高まっているというのは一方であるわけですが、他方、例えば、九州
地区におきましては道仁会と九州誠道会の対立抗争が継続をし、しかも平成
19年には一般人が巻き添えとなって殺害される事件が発生しておりますし、
さらに暴力団との関係遮断を図る企業に対する危害行為が発生するなどして
おりまして、引き続き暴力団は市民生活に対する大きな脅威となっていると、
こういうふうな一つの情勢があります。

   加えて、近時、暴力団は、暴力団関係企業、共生者等を利用することなど
によって、資金獲得活動をますます潜在化・巧妙化させている状況もあると、
以上のような最近の情勢に対して、やはり新たな手を打たなきゃいけないん
じゃないかということで、警察庁では暴力団対策法の一部改正を検討してお
りましたので、今般、各界の委員に委嘱しまして有識者会議を設置して、意
見を聴取するということにしたものであります。

   何を目指すかというと、今言いましたような情勢に対して、対処するため
のより有効な方策を御検討願うということで、完全に固まっているわけでは
ございませんが、いずれにしても、今の暴力団対策法に加えて、更に効果的
な新しい角度から取締りをより規制をし、網をかける。プラスもう既に条例
という大きな網がありますから、より一段と網にかかってくるんじゃないか
なと私は期待しております。