国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成23年10月14日(金)9:26~9:39

2 場所 内閣府本府1階記者会見室

3 概要  今日の閣議の内容は御存じのとおりと思います。

      特に私からの閣僚懇での発言というのは、閣僚懇のみならず、皆様にも御
報告したいと思っていますけれども、例のインドネシアのバリで開催された
「ASEAN+3国際犯罪閣僚会議」についてであります。要は中身は御理
解いただけると思いますけれども、「+3」というのは、言うまでもなく中
国、韓国、日本のことでございますけれども、本来はASEANの会議のと
ころに我々が参加をしたということです。そして、私から申し上げたのは、
一つは震災に対する色々な援助・協力の御礼と、それから、特に今度の会議
のメインテーマであったサイバーテロに対する、これは後で分科会を開いて
閣僚中心にやったんですが、サイバーテロの問題についてと、それから、3
番目には拉致の協力のお願いと、これが主なテーマでございました。

      サイバーのことは、出発前に日本でも情報セキュリティ政策会議という、
閣僚が全員入った会議が行われたわけですが、その報告もしたんですが、や
はり日本の特徴というのは、政府を挙げてこれに取り組んでいると。各専門
部門だけでやっているわけではありませんよと、そのくらいの重要なテーマ
ですよと。これからASEANでも同じことが言えると思うと申し上げまし
た。それからもう一つは、警察を中心に民間との協力体制を具体的に整えつ
つあると、これもまた大きな特徴なんです。あちらはこの性格上、各企業が
自分の秘密保持とか、秘密防衛とか、日本でもそういうところがありますけ
れども、そういう動きでどうやって守っていくかというのは、コンサルタン
ト会社か何かにお願いしてやっているというレベルが日本の民間でもあるわ
けですが、もうそういうレベルを単純な企業秘密といっているレベルを超え
て、相手の方が上回ってきていますし、御案内のとおり、国内においても各
企業レベルから、経産省や総務省、もちろん我々の各縦割りの協力体制にか
かっていますし、民間とこれをどう機能的に協力ができるか。更に個人にま
で及んでいるわけですから、相当ダイナミックに取り組んでいかないと大変
だと、国内問題でもあるわけですが、それに加えて御案内のとおり、国際間
を巡っているわけでございますから、もちろん欧米諸国との協力体制も今、
緊密にやっているところですが、ASEANの充実ということを特にお願い
したいと。ASEANも各国の格差が非常に激しいわけで、例えば、シンガ
ポールなどというのは日本と同等程度ぐらいでいるわけでございますが、全
くまだそういう段階になっていない国もあるわけなので、各国レベルではな
くて、ASEANで一体となってやっていくべきだと、やっていっていただ
きたいと、今日のこの会議は極めて有意義だと、日本もできる協力はいたし
ますと、こういう内容であったわけです。日本の状況と併せて極めてタイム
リーであるので、私も自分で行ってそういうことを申し上げてきたわけです。
それと同時に11月17、18日に、正式な名前がはっきり分からないので
すが、網羅的で分かりやすい表現ではASEAN関係首脳会議というのがあ
る予定になっております。これには、「ASEAN+3」ではなくて、アメ
リカとか、ロシアとか、かなり大掛かりなASEANを中心とした会議にな
るようで、いずれにしても、世界的にもASEANに非常に関心があり、重
視の時代に入ってきているわけですが、もちろんそこに野田総理も行かれる
わけで、コンベンションルームという5,000人入れるようなすごいのを
そのためだけに作って用意して相当体制を整えているし、警護の問題もあり
ますので、その下見をしてきたところです。何を申し上げたいかというと、
あそこではサイバーテロではなくて、暴力テロが2002年にバリで爆破事
件があって、邦人も2人、新婚旅行で亡くなられた。私の行っていた10月
12日がその日なんです。ですから、私はそこへ行って献花をしてきました
し、また御遺族の方もそこにおいでになっておられましたし、オーストラリ
アなどはたくさんの犠牲者がありましたので、その事をテレビでも写してい
て、私は日本では放映されないけれども、オーストラリアでは放映されてい
るかもしれないわけですが、申し上げたい本題は、そのこともそうなんです
が、そのすぐ近くにそれ以来、交番というのを設けて、インドネシアと日本
の警察の協力で、日本の交番システムというのは非常に良いと、こういうこ
とで日本の援助で、日本からスタッフも行って、そこの爆破現場のすぐ近く
に交番を置いて、非常に事件が少なくなることに日本の交番が協力して、効
果を表している感じがします。日本はどこへ行っても交番がありますから、
これは当たり前のことのように感じていますけれども、御案内のとおり、外
国には交番というのがありませんから、そういうことで日本のスタッフも活
躍していて、そこに激励をしてきたんですが、これが出張の報告と閣議の報
告です。

      今度は別件ですが、震災に関することです。スペインのアストゥリアス皇
太子賞というのがあるのですが、今の皇太子さんはアストゥリアスさんでは
ないわけですので、フェリペ皇太子からの受賞になるわけですが、前の皇太
子の時に設けられた賞です。

      この度、スペインのアストゥリアス皇太子賞の共存共栄部門賞を、福島の
英雄として東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故の対応に当たった
警察、自衛隊、消防の各団体が受賞することになりました。来たる10月2
1日金曜日、スペインで同賞の授与式が開催され、2名の警察官が警察を代
表して参加いたします。2名の警察官が警察を代表してという意味です。

      1名は、3月17日に福島第一原子力発電所3号機の使用済み核燃料貯蔵
プールに向け、高圧放水車による約44トンを放水した警視庁機動隊の指揮
をとった大井川典次警視です。ちなみに、あの時に放水の場面がよく出てき
ますが、あれを一番最初にやったのは警察でございますので、御存じと思い
ますけれども、改めて御認識をしておいていただきたいと思います。もう一
人は、同原発のある双葉町等を管轄する福島県双葉警察署長として、最後ま
で現場に残って、自らもお年寄りや病人に寄り添いながら、周辺住民の避難
誘導活動の指揮をとった渡邊正巳警視です。

      この賞は、科学、文化、社会の各分野において国際的に活躍し、人類に貢
献しているとみなされた個人、機関、組織に対して贈られる栄誉ある賞であ
ると聞いております。同賞では、警察によるこれらの活動について、惨事の
拡大を防ぐため、自らの危険を顧みずに活動し、世界に勇気の模範を示し、
公益を守ったと高く評価をいただいており、国家公安委員長としても大変栄
誉に思います。

      改めて、手前味噌かもしれませんが、当然の職務と言われれば、そうかも
しれませんが、今度の大震災には当初から最前線で、本当に決死的な活動、
活躍、努力をしてきた警察の皆様、しかも、今でも復興・復旧というのが声
高に言われている時でございますが、今でもその対応に対して、全力を挙げ
て全国警察で行っているということに対して、私は本当にこういう賞でござ
いますけれども、栄誉に感じております。

      閣議後の御報告は、それだけでございます。

  今のアストゥリアス皇太子賞の共存共栄部門賞でしょうか。もう一回何と
か部門賞のところを。

答  ちなみに、もう少し詳しく言いますと、賞の内容は全部で8部門でありま
して、芸術部門賞、社会科学部門賞、コミュニケーション及びヒューマニズ
ム部門賞、それから国際協力部門賞、科学・技術研究部門賞、スポーツ部門
賞等々あるのですが、これは共存共栄部門賞となります。共存共栄、不正、
貧困、病気、無学に対する戦い、または自由の擁護などに対する新たな認識
をもたらし、人類遺産の保存・保護において模範となる貢献をした個人、団
体、機関に贈られるという、共存共栄部門賞という、非常に意義のある賞だ
そうです。