国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成23年10月20日(木)11:46~11:55

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会の定例会議の状況について、議題は、「自動車安全
運転センター役員の選任の認可について」説明があり、原案どおり決定をい
たしました。報告事項につきましては、御手元の資料のとおりでございます。

      その中で、刑事局の報告案件でございますが、大手建設会社の恐喝未遂あ
るいは会社法違反について、今般、検挙いたしましたけれども、条例の施行
された後、こういうことが起きないように、警察としては細心の注意で対応
してきたところでございますけれども、こういう事例は暴力団との関係を、
遮断をしていくように、今後とも的確に対処していくつもりでありますとい
うようなことが、今日、論議されましたが、場合によっては、長官から御説
明をいただきたいと思います。以上でございます。

  長官にお聞きします。今、大臣のお話にありましたが、先日、警視庁が暴
力団との関係を遮断しようとしたゼネコンに対して、不当な要求を繰り返し
ていた暴力団の密接交際者を逮捕しました。今後も社会全体で暴力団排除が
進んでいく中で、同じように暴力団側の抵抗や報復が予想されます。企業保
護の観点から、どのようにその辺りを考えておられるのかお聞かせください。

答  (長官)社会全体で暴力団排除活動を展開しております。そして、全国の
都道府県で暴排条例ができ、施行されたという、暴力団排除の気運が大変高
まっている最中に、相も変わらず暴力団との関係を遮断しようとする企業を
脅かし、多額の金銭を巻き上げようとしたという事案が発生したわけであり
ますけれども、そういった意味で極めて悪質な事案だと考えております。他
方で、大変勇気を持って暴力団との関係を遮断しようとする企業のこの姿勢
は、私は非常に高く評価をするものでありますし、こうした動きが出たとい
うことは、暴力団排除の気運というものが、相当高まってきているというこ
との一つの証ではないかと考えています。この暴力団を排除しようとする人
達、関係を遮断しようとする人達の安全の確保というのは、正に警察しかで
きない仕事でありますので、我々はこれに全力を挙げていきますし、こうい
った方々の安全を守れるかどうかに、今後の暴力団排除活動の成否が掛かっ
ていると考えています。したがって、こういった方々の安全を守るために引
き続き全力を尽くしてまいりたいと考えています。

  大臣にお伺いします。インターネットバンキングを狙った不正アクセス事
案に関してでありますけれども、この事案に対しての御所見をお聞かせくだ
さい。

答  (大臣)御案内のとおり、本年4月以降、約30都道府県でウィルスだと
か、フィッシングを手口として、インターネットバンキングへの不正アクセ
スというのが行われているわけでございまして、現金を引き出したと思われ
るものです。それに対しては、所要の捜査を今やっているところでございま
す。

   既に、約50の金融機関において、約2億8千万円が不正送金されている
という報告を受けております。

   このインターネットバンキングのサービス提供については、金融機関側に
対しては、金融機関の業界団体を通じて、更なるセキュリティの強化を図る
ようにお願いをしているところでございますが、また利用している預金者に
も最新のウィルス対策ソフトの導入とか、フィッシングへの警戒というセキ
ュリティ対策のお願いを申し上げているわけであります。この両者の防衛体
制を強化していかなければならないと思っております。

   いずれにしても、悪質化するサイバー犯罪というのは、警察による取締り
だけでは及ばないところが多々出てきておりますので、関係行政機関とか、
あるいは民間事業者等々の幅広い協力を強化して、政府もそれに取り組んで
いるところでございますけども、そういう社会全体の対処能力の強化を推進
しなくてはならないと思っております。こういうことはかねてから私どもも
強調してきましたが、これからも益々そのことを強めてまいりたいと思って
おります。

  長官にお尋ねします。警察の取調べの実態調査を、この2月に行って、そ
の結果がまとまりましたけれども、この調査結果をどう受け止めておられる
のか、今後の国家公安委員長主催の研究会に、どう働きかけ、この可視化の
在り方、今後どうされるのかについてお尋ねします。

答  (長官)この調査は、国家公安委員長主催の「捜査手法、取調べの高度化
を図るための研究会」、通称「大臣研究会」と言っていますけども、ここで
御指摘がございまして、それを契機に調査を行ったということであります。
初めての定量的な調査だと思うのですけれども、結果的には有益な中身では
ないのかなと思ってます。それはどういうことかと申し上げますと、我々が
以前から考えていた捜査に対するイメージ、機能といったものが定量的にあ
る程度裏付ける結果が出ているのではないかと思います。

答  例えば、取調べの時間ですが、法定刑の重い凶悪犯とか、重大事件、それ
から主観的な要素の立証が大事ないわゆる知能犯といった部分で、取調べの
時間が比較的長くなっているという実態が明らかになっています。それから
自白の契機ですが、捜査本部事件では、一般の事件に比べて、取調べ官との
気持ちの通じ合いといったものが契機になったり、それから説得力のある取
調べ技術といったものによって自白したとみられるものの割合が高いという
結果が得られています。それから、平成22年中の解決した捜査本部事件で
ありますけれども、これを見てみると、被疑者の取調べによって死体、凶器
といったような重要な証拠が発見されたり、また共犯者の解明が行われたり
というようなことが約6割を占めているということでありまして、やはり取
調べというものは捜査の中で非常に重要な要素を占めているということは間
違いないということが、ある程度裏付けられたと思っています。この結果は、
大臣研究会に御報告を申し上げて、その中で議論の中に生かしていただきた
いと考えています。