国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成23年12月1日(木)11:55~12:05

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。議題事項につ
いては、「国家公安委員会委員長に対する行政文書開示請求に関する決定につ
いて」説明があり、原案どおり決定をいたしました。報告事項につきましては、
お手元の資料のとおり報告が警察庁からございました。

  長官にお伺いいたします。1999年に起きました東京都板橋区の強盗殺人
事件の際に、現場に残されていた掌紋の登録の際に推定部位が正確に登録され
ていなかったという報道がありました。その結果、犯人の特定が遅れたり、そ
の後の余罪の検挙ができなかったのではないかという指摘がありますが、この
ことについての長官の御所見と再発防止策についてどのようにされるお考えか
をお聞かせください。

答  (長官)御指摘の事案については、仰るとおり、掌紋の部位の推定が正しく
行われていれば、もっと早期にこの被疑者を検挙することができたでしょうし、
また、この被疑者がその後何回か犯罪を犯していますから、そういった犯罪を
防ぐことができたと思われますので、誠に遺憾であると思っています。ただ、
この掌紋は不鮮明なものでありまして、部位の推定については相当難しい問題
もあったということは御理解いただきたいと思います。

   それから、実は警視庁では、平成21年と22年に正しい部位の推定を行っ
て、照会をかけたという事実がありますが、ただ、これもヒットしなかったと
いうことでございました。これはなぜかというと、これからきちっと検証する
必要がありますが、掌紋自体が非常に不鮮明なものでありましたので、掌紋の
隆線のトレースに困難をきたしたことに問題があったという可能性もあるのか
なと思っています。

   いずれにしましても、本件のようなことは、これから再び起こしてはならな
いわけでございますので、既に各県には指示してありますのは、未解決事件に
係る遺留掌紋の部位推定を再点検するようにということでありますけれども、
今後の問題としては、部位の推定のダブルチェックとか、トレースもダブルで
やるとか、そういったことをやらなければいけないだろうと思っています。そ
れから、担当者の単純ミスというだけで済ませるべき話でないと思いますので、
システム自体の検証を行った上で、システムを更に高度化することを、これか
ら検討していかなければいけないと考えております。

  大臣に伺います。先日開催された国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部会
合において、原子力発電所に対するテロの未然防止策の強化が決定されました。
これに関して大臣としてのお考えと今後の警察としての取組について、御所見
をお聞かせください。

答  (大臣)先日の会合につきましては、特に私の方から発言したのですが、三
月に発生した福島第一原子力発電所の事故で、テロの実行を企画する者が、原
子力発電所等を攻撃対象と再確認したおそれがあるということで、原子力発電
所等に対するテロの脅威は、これまで以上に高まっていることですから、原子
力発電所等に対するテロの未然防止対策の強化は喫緊の課題であると認識をし
ておりますと申し上げたわけでございます。

   警察においても、テロ情報の収集や分析能力等の更なる向上を図っていくと
ともに、原子力発電所等に対する対策の強化を喫緊の課題として、関係省庁と
連携して取り組んでまいるところでございます。

   具体的には、警戒要領の見直し、また人的体制の充実強化をして、装備資機
材の整備拡充等警備体制の強化を図るということが一つでございます。また、
例えば自衛隊との共同訓練等の実施による関係省庁との連携を強化していくこ
とやサイバー攻撃を始めとする新たな脅威への対応の取組も推進しているとこ
ろでございます。

   いずれにしても、警察としては、引き続き、関係省庁との緊密な連携の下に
原子力発電所に対するテロ対策に万全を期していく所存でございます。

  長官にお尋ねをします。11月26日に北九州市で建設会社の役員が何者か
に撃たれて殺されるという事件がありました。暴力団排除との関連があるかと
いうのは、福岡県警で捜査中でありましょうが、同種の企業あるいは個人宅を
襲撃されるという事件が、今年は20件を越えているようでありますが、なか
なか犯人の検挙がなされていないという現状があります。今回の事件について、
警察はどのように見ているのか、あるいはこのような襲撃事件の検挙があまり
芳しくないことをどのようにするのかお尋ねします。

答  (長官)御指摘の事件については、今、福岡県警で鋭意捜査を進めていると
ころであります。とにかく早期に被疑者を検挙し、全容の解明を図っていかな
ければならないと考えています。当然、暴力団の関与ということも視野に入れ
ながら、現在捜査を行っているところでありまして、併せて関係者、関係箇所
に対する警戒を強めており、その安全確保には万全を期している状況でござい
ます。

   近年、福岡県において企業や個人を対象とした、けん銃等を使った襲撃事件
が多発しているわけでありまして、なかなか検挙に繋がっていないケースが多
いというのは御指摘のとおりであり遺憾であるのですが、すべての事件につい
て捜査を強化し全容解明を図っていかなければならないと思っております。暴
力団排除活動を進める上では、関係する方々の安全を確保するというのが絶対
に必要な条件でありますから、保護措置の強化についても万全を期すべく検討
を進めているところでありますし、現にやっておりますけれど、更に強化すべ
く検討している状況でございます。