国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成24年1月26日(木)12:18~12:30

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。本日は全員出
席です。議題事項については、「人事案件について」、また「民法等の一部を
改正する法律の施行に伴う内閣府令・国家公安委員会規則の整備等に係る意見
の募集について」説明があり、原案どおり決定いたしました。報告事項につい
ては、お手元の資料のとおりの報告が警察庁からございました。

      このうち、オウム真理教に対する観察処分の期間更新決定に関してでござい
ますが、先般、警視庁で検挙したオウム真理教関連被疑者の齋藤明美について
は、これまで捜査において偽名の保険証を入手し、使用した疑いが浮上してお
ります。事実関係は解明中と承知しておりますが、いずれにしても、このよう
な犯罪者を利する、犯罪インフラをなくすための努力が必要であると考えてお
り、関係当局とも協議をしていくよう指導しているところです。以上です。

  大臣にお伺いします。来週の2月1日から被災地への警察官特別出向が始ま
りますけれども、この出向を含めて被災地支援に関して、大臣の御所見をお伺
いしたいのですが。

答  (大臣)東日本大震災に伴い、これまで警察は全国から延べ約87万人以上
の部隊を特別派遣するなど、組織を挙げて被災地における安全安心の確保に努
めてまいりました。

   2月1日から特別出向が始まります。引き続き、復旧・復興活動が円滑に行
われるためには住民の安全確保を中心とする治安の確保が不可欠であるとの認
識の下、被災地への特別派遣の継続等、全国警察が一丸となって、被災地に寄
り添いながら安全安心の確保に万全を期していく所存であります。

   被災3県に対する特別出向者数は、現在、岩手県130人、宮城県270人、
福島県350人、都合750人を予定いたしております。

  長官にお伺いいたします。本日、昨年1年間の捜査本部事件の解決状況等が
発表になりました。3年以上経過しても解決に繋がった事件が9件という数字
が出ておりましたけれども、捜査本部事件と言えば、最近では大阪の堺市で歯
科医の奥様が殺害された事件で、男が強盗殺人容疑で逮捕されました。被害者
の方の顔にラップを巻き付けるという大変凶悪な手口で、この男に関しては、
象印の副社長の殺害に関しても、関与を供述しているという報道がありますけ
れども、こうした凶悪事件について警察として今後どのように解決していこう
としておられるのか、長官の御所見をお聞かせください。

答  (長官)捜査本部事件の解決状況ですけれども、昨年の状況を今日公安委員
会に御報告申し上げました。検挙件数が1年間の捜査本部設置件数を上回ると
いう結果でございましたので、良好な結果だったのかなというふうに考えてい
ます。

   特に、今お話があったように捜査本部設置後3年以上経過した事件の検挙が
9件ということで、大幅に増加していることは注目されると思っております。
その9件の中身を見ると、事件発生後10数年を経た事件もあるほか、DNA
型鑑定や防犯カメラの映像が活用された事例が複数含まれております。また、
長期未解決事件の継続捜査班による事件見直しが行われた結果、検挙に繋がっ
たケースも含まれているところでございます。

   御指摘のように長期未解決事件のみならず、捜査においては昨今自供が得ら
れにくいとか、聞き込みが困難化しているなど、人からの捜査というものが非
常に困難化してますので、やはり客観証拠の重要性というものが増大している
と認識しております。そこで現場における鑑識活動の徹底、捜査支援システム
の活用、DNAデータベースの拡充、また、防犯カメラの整備等、科学捜査・
初動捜査の一層の高度化・推進ということに取り組んでいく必要があると考え
ております。

  長官にお伺いします。昨年12月に長崎県で発生しました2人の女性が殺害
された事件についてです。この事件につきまして、御遺族は、容疑者と接点の
あった三女に対するストーカー行為を一定の期間にわたって千葉県警が把握し
ていたということ、あるいは、傷害での被害届について「一週間ほど待って欲
しい」との対応をされたこと、その他、長崎県警とか三重県警など関連する県
警の対応についても疑問を感じる対応があったのだという主張をしている状況
であります。このことに関しまして、長官の御所見と警察庁として何らかの対
応をとるお考えがあるのか、お聞かせください。

答  (長官)まず、この度、この事件でお亡くなりになったお二方の御冥福を心
からお祈り申し上げます。また、御遺族に対してお悔やみを申し上げる次第で
ございます。本件は、警察が相談を受け、また捜査を推進している最中に起こ
った事件でありまして、警察庁としても重く受け止めているところでございま
す。

   現在、関係県警察で、この相談への対応状況であるとか、お亡くなりになっ
たお二人を含めた関係者への保護措置の状況であるとか、また事件の捜査の状
況であるとか、関係県警察間の連絡の状況といったようなことを始めとして、
様々な観点から現在検証を進めているところでございます。

   警察庁では、その検証の結果を踏まえて、今後の相談対応であるとか、捜査
の改善といった点について生かすべき論点を抽出して所要の対策を講じてまい
りたいと考えております。

  長官にお尋ねします。平成23年中の懲戒処分の結果が、本日の国家公安委
員会で報告されているようでありますが、処分者367人というのは、去年よ
り若干減っているとはいえ、この長い10年くらいのスパンでみると、かなり
増加をして、それが高止まりをしている状況であります。平成12年の警察改
革後、一旦減少気味であったものがここにきて増えて、しかも高止まりをして
いる状況です。このことについて、長官の御認識と再発防止策についてお考え
があればお聞かせください。

答  (長官)昨年中の懲戒処分者の状況でございますけど、一昨年に比べて若干
減ったとはいえ、御指摘があったように高止まりの状態と言わざるを得ず残念
だと考えております。

   警察改革は、平成12年に警察改革要綱を策定して以後、様々な対策に取り
組んでまいりました。また、以後、この他にも色々な不祥事、非違事案があっ
たわけでございまして、その都度、同種事案の再発を防ぐための様々な対策を
策定して、その徹底を図るということも繰り返してやってきたところでござい
ます。その結果、改革後10年程の間は、右肩下がりで懲戒処分者の数も減っ
ていったわけでありますが、残念ながら一昨年に、これが急に増えまして、昨
年も若干減ったとは言いながらもまだ高止まりの状態ということだと認識して
おります。

   警察改革の精神という話についてですが、この間、10年経って職員も相当
入れ替わっておりまして、当時の改革の精神というものが十分に引き継がれて
いないというか、組織の中で徹底されていないといった状況はあるかもしれな
いと考えております。

   そこで来年度の第1四半期の全国統一の監察項目を「警察改革の精神を踏ま
えた非違事案防止対策の推進状況」ということで設定をいたしまして、その対
策の推進状況をこれから監察してまいるところでございます。こうした取組を
始めとして、警察改革の精神というものを更に警察の中で徹底させるような努
力はしていかなければならないと考えております。

   特に、業務上の非違事案でございますが、これは国民の警察に対する信頼と
いうものを著しく失墜させるものであると考えておりますので、業務上の非違
事案については特に絶無を期するべく、これまで実施してきた再発防止対策の
検証を始めとして、更に対策、取組を強化していかなければならないと考えて
おります。