国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成24年3月1日(木)12:36~12:42

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の定例会議の状況について申し上げます。松原委員長は、国会用務の
ため途中で退席されました。委員は全員出席でございます。議題事項、報告
事項については、お手元の案件表のとおりでございます。議題事項について
は、人事案件のほか、行政文書の開示請求に関するもの、あるいは審査請求
に関するもの、被害者の給付金の裁定に対する審査請求事案でございます。
原案どおり決定となりました。報告事項については、この記載のとおりでご
ざいます。

  長官にお伺いいたします。先日、奈良県の警察官の拳銃発砲を巡って、付
審判の決定が出まして、初めての裁判員裁判で市民の方々が判断するという
裁判の中で、警察官が拳銃を撃って男性の方が一人亡くなられたという事件
で、警察官の発砲は適正であったということで無罪の判断がありました。警
察官の拳銃を使用することについて、市民の一定の判断が下されたわけです
けれども、今後、拳銃の使用についてどういうふうにあるべきなのか、お考
えをお聞かせください。

答  (長官)今回の判決については、拳銃の使用が適正であったという奈良県
警の主張をお認めいただいたものと考えております。拳銃は言うまでもなく
人に重大な危害を与えるおそれのある武器でございますので、その取扱いに
ついては慎重でなければいけないということは当然でありますけれども、他
方で個人の生命・身体を犯罪者から守る、また犯罪者から市民生活を守ると
いったような警察責務を遂行する上で必要な場合には、もちろん適正・的確
に使用する、ただ、そういった場合には、果断にこれを使用するということ
も私は大事なことだと思っています。現場の警察官というのは、日々そうい
った難しい判断を迫られる中で、そういった環境の下で、勤務に就いている
ということは是非御理解いただきたいと思っています。いずれにしましても、
拳銃の使用については、適正・的確でなければいけないということはもちろ
んでございますので、今後とも現場において適正かつ的確な判断と使用が行
われるように、教育や訓練を充実させてまいりたいと考えております。

  長官にお尋ねします。覚醒剤事件の摘発状況が昨年の分が発表されました
がかっての大量に船で持ち込む瀬取りが影を潜めて、小口で人間が身に付け
たりあるいは体内に飲み込んだりという運び屋という手口が増えているよう
であります。外国人の犯罪組織がこれに関わっているというような痕跡もあ
って、この密輸への対策についてお尋ねします。

答  (長官)密輸への対策という御質問ですけれども、昨年中の覚醒剤密輸入
事件の検挙は件数でいうと186件で対前年比41%の増加となっておりま
す。これは平成に入ってからは最高の数字でございます。また傾向としても
全体的には増加の基調にあると言えます。態様でありますけれども、今お話
があったように、いわゆる運び屋による小口の密輸入が増加するという傾向
にありまして、これが全体の81.2%を占めております。また、手口もス
ーツケースの底を二重にするとか、また、飲み込んで体内に隠匿するといっ
たような手口の巧妙化、悪質化といったことがみられるという状況でござい
ます。また、仕出国、運び屋の国籍というのも変化をしており、多様化をし
ております。たとえば、昨年でいえば、仕出国、また、運び屋の国籍ともに
メキシコが1位だったということで変化がみられますし、また、ナイジェリ
ア人がこれに深く関与しているという事案も相当数見受けられるという状況
にあるわけです。

   警察としましては、国内外の関係機関と連携した水際対策の強化、また、
ナイジェリア人をはじめとする国際的な薬物犯罪組織の実態の解明、そして、
通信傍受を含めた効果的な捜査手法の活用によって密輸入事犯の摘発に今後
とも努めてまいりたいと考えています。