国家公安委員会委員長(代理)記者会見要旨

1 日時 平成24年3月22日(木)12:35~12:45

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の委員会定例会議の状況について申し上げます。松原委員長は、国会用
務のため途中で退席されました。委員は全員出席でございます。議題事項につ
きましては、人事案件について説明がありまして、原案どおり決定ということ
でございます。報告事項につきましては、お手元の資料のとおりの報告が警察
庁からございました。

  長官にお尋ねします。二点ありまして、一点目はストーカー事案の年間まと
めについてであります。認知件数は前年より減ってはいるものの、14,00
0件を超える状況が続いていますし、ストーカー規制法に基づく禁止命令が5
5件と過去最高になるといった具合で、深刻な状況が伺えますけれども、この
結果について長官の御所見と今後の対応についてお聞かせください。それとも
う一点は、これに関連するんですけれども、長崎県のストーカー殺人事件を巡
る千葉県警の対応についてなんですが、習志野署が遺族に対して被害届の提出
を一週間待ってほしいと対応した二日後に生安課、刑事課の課員を含む10人
余りで二泊三日の北海道旅行に行っていたということが明らかになりました。
この事実は検証結果には含まれていないわけですけれども、まず警察庁や千葉
県警の幹部は、この真実をどこまで把握していたのかということと、こうした
事実について改めてどのように受け止めておられるかお聞かせください。

答  (長官)まず、平成23年中のストーカー事案への対応の状況についてのお
尋ねでありますけれども、ストーカーの認知件数は今お話があったように昨年
は10パーセント程度減少しています。これまで、ここ数年間ずっと増加であ
ったんですけれども、昨年は減ったということであります。その理由について
はまだはっきりいたしませんし、これは単年の話でもありますから、これがあ
る傾向を示しているということもできないのかなと思っております。今しばら
く推移を見守る必要があると思っています。

   いずれにしましても、今お話もあった長崎におけるストーカー絡みの殺人事
件、これは長崎のほかに千葉県警と三重県警が絡んでいるわけでありますけれ
ども、こうした悪質で危険な事案というものが、我々が認知した事案の中に含
まれている可能性がございますので、再び今回の長崎のような事件が起きるこ
とのないように全力を尽くしていかなければならないと考えているところであ
ります。このため、各都道府県警察にはこれまでに取り扱ったストーカー、D
V、児童虐待といった人の命に係わる事案について、最近のものについて点検
をするようにという指示を出しておりまして、今、各都道府県警察がその点検
作業を進めていると考えております。

   それから、ストーカー規制法の施行上の問題点ということについて、各県色
々意見もありましょうから、各都道府県警察に対して現在、意見照会を行って
いるところでございます。これを踏まえて、今後、運用と制度の両面からスト
ーカー対策について改善すべき事項があるかどうか検討を進めてまいりたいと
考えております。

   それから、次に、千葉県警習志野署員が今回の事案の対応の最中に二泊三日
でレクリエーションの旅行に行っていたという報道があった件でございます。
警察庁は、これを承知していたのかということでございますが、残念ながら我
々は報告を受けておりませんでした。県警本部において、どれだけ知っていた
のかというお尋ねでありますけれども、これについては、現在、調査をしてい
るところでございます。また、千葉県警は「被害届の提出を待ってもらったの
はこれが理由ではない」というふうに説明しているようでございますけれども、
さらに詳しく事実関係を調査させたいと思っております。報告が遅れた経緯に
ついても、併せて調査をさせたいと考えております。いずれにしましても、危
機意識が欠如していたことの表れではないかと、これは言われてもやむを得な
いと思っています。今後とも、緊張感を持って、組織的な対応が行われるよう
に各都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。

  確認ですけれども、公表した検証結果で旅行について触れていなかった件に
ついて、もう一回教えていただけますか。

答  (長官)その点も含めて調査させたいと思っています。

  長官にお尋ねします。平成14年に大阪市であった母子殺害事件についてで
ありますが、先日、差し戻し審の判決がありまして、無罪の判決が出たんです
けれども、その中で裁判長が大阪府警による、いわゆる証拠品たばこの吸い殻
でありましたが、この71本の紛失について厳しく批判をしておりました。大
阪府警では東署で強盗強姦事件についての証拠品、これも吸い殻でありました
が、その紛失が発覚したばかりでありますが、こうした証拠品の管理について、
もう通達ではなかなか止まらない状況ではないかと思うのですが、こういった
事態を二度と起こさないための具体的な対策などについて、お考えがあればお
聞かせください。

答  (長官)捜査は証拠に基づいて事案の真相解明を図るという作業でございま
すけれども、にもかかわらず、こうした証拠物件を疎かにするような事案が発
覚したということは、極めて遺憾であると思っております。

   証拠物件の保管・管理については、これまでも累次、通達を発してきたとこ
ろでございますけれども、今日、緊急にこれに加えて通達を発しております。
その中では、証拠物件の出し入れの状況の記録の明確化、また、長期保存物件
の保管・管理の徹底、保管状況の確実な点検の実施といったことを指示してお
ります。ただ、これは当面の緊急の通達であるというふうに御理解いただきた
いと思っております。これまで発してまいりました通達というのは、証拠物件
の保管・管理等についての留意点を指示したものが中心でありまして、具体的
にこうせよというふうな方法を示したものではございませんでしたので、基本
的にはその保管・管理の方法、やり方については、各都道府県警察の判断に委
ねてきたというのが実態であろうと思っています。こうした中、県によっては
長期保管の見込まれる証拠物件を警察本部が一括管理したり、また、証拠物件
を捜査部門とは別の係が保管・管理するなどの工夫を凝らしているところもあ
ります。このため、早急に各都道府県警察における証拠品の保管・管理の実態
を調べてみたいと思っています。その上で、可能な限り早い時期に証拠物件の
収集、そしてまた保管・管理、処分といった一連の方法について、統一したあ
るべき姿、方針を示すことといたしたいと思っています。客観証拠の重視が叫
ばれる中、それにふさわしい捜査が推進されますように、可能な限り、まず方
針を示して、ただそれはおそらく完全実施するためには時間もかかるだろうし、
予算もかかるでしょうし、また人手もかかるでしょうけれども、できるものか
ら順次、実施に移してまいりたいと考えております。