国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成24年5月17日(木)11:36~11:44

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。委員は髙木委
員以外出席です。議題事項については、「人事案件について」説明があり、原
案どおり決定いたしました。報告事項については、お手元の資料のとおりの報
告が警察庁からありました。

      以上であります。

  大臣にお伺いします。国際テロ組織「アル・カーイダ」のトップだったビン
ラディンが殺害されて、約1年が経ちまして、この1年間国際テロ情勢に与え
た影響等が色々あると思うんですけれども、これに関して治安を担当される大
臣として、御所見というか、見解がありましたら、お伺いできますでしょうか。

答  (大臣)昨年5月2日、米国の作戦により、「アル・カーイダ」の指導者オ
サマ・ビンラディンが死亡いたしました。

   その後、同人の死に対する報復テロが発生するとともに、「アル・カーイダ」
の新指導者となったアイマン・アル・ザワヒリは、欧米諸国等に対するジハー
ドの継続を表明。また、「アル・カーイダ」関連組織については、依然として
勢力を維持するなど、テロの脅威は依然として高いと認識しております。

   他方、我が国においても、「アル・カーイダ」幹部の声明等で攻撃対象とし
て名指しされていること、「アル・カーイダ」関係者が繰り返し不法に出入国
していたこと、テロの対象となり得る米国関係施設等が多数存在すること等の
テロの脅威が現存しております。

   特に今月3日に米国が公開したオサマ・ビンラディン殺害時の押収資料では、
「韓国のような非イスラム国の米国権益に対する攻撃に力を注ぐべき」と同人
が指摘しているところであり、我が国においても米軍基地等の米国権益が多数
存在するため、テロの対象となる可能性は否定できないと認識しております。

   これらの情勢を踏まえ、警察において、テロの未然防止に万全を期すべく、
外国治安情報機関等との緊密な情報交換、関係省庁との連携による水際対策、
不審人物・組織に関する情報収集、重要施設の警戒警備等の取組を推進してま
いりたいと思います。

  長官にお伺いします。ネット掲示板2ちゃんねるが、違法情報の書き込みを
放置し、削除していないことにつきまして、2ちゃんねる創設者自身のものと
みられるブログで、警察からの削除依頼は2通で削除済みだと、他の削除依頼
はインターネット・ホットラインセンターからで、財団法人が情報を違法と言
っていることはできない、合法の可能性もある情報の削除依頼を財団法人が不
適切な手段で送って対応されなかったなどと主張しておりますけれども、これ
に関しまして長官の御所見をお願いします。

答  (長官)ブログの内容は、報道等を通じて承知いたしておりますけれども、
大変恐縮ですが、これは個別の案件に関わるお話でございますので、コメント
は差し控えさせていただきたいと思います。

  長官にお尋ねします。不祥事についてでありますが、去年、一昨年と高止ま
りが続いていて、今年に入って警察職員が逮捕されたり懲戒処分を受けたりと
いうのが相次いでいるわけです。警察庁は先頃、不祥事対策のための検討委員
会を設けて、県にも同じものを作りなさい、という指示を出したわけでありま
すが、この新たに設けた委員会の狙い、それから一番求められるのは、精神論
に止まらず、具体的にどう不祥事を防ぐのかというところが焦点だと思うので
すが、これらについて長官のお考えをお願いします。

答  (長官)警察改革のあと10年を経た、一昨年から懲戒処分者の数が急に増
えているという実態にありまして、それが現在も高止まりの状態が続いている
ということは事実でございまして、遺憾に思っているところでございます。特
に、昨年暮れに発生いたしました長崎県におけるストーカーがらみの殺人事件
を始めとして、警察改革当時の教訓が生かされていないという案件もありまし
て、やはり警察改革の精神というものが現場において希薄化してるのではない
かと考えざるを得ない状況に立っていると考えております。このことは、先般
の長崎県のストーカーがらみの殺人事件に対して、千葉県警が検証を行ったと
ころでございますけれども、千葉県警の検証においても、そのような指摘、反
省が出ているという状況にあります。このため、警察庁では先般、長官通達を
発出しまして、警察改革の精神を組織に内在化させるための取組を行うよう各
都道府県警察に指示をいたしまして、警察庁においても4月27日に官房長を
長とする「警察改革の精神の徹底等に向けた総合的な施策検討委員会」を設置
いたしまして、総合的な施策の検討を開始したところでございます。今後、具
体的にどのようにこれを進めていくかということにつきましては、現在、「警
察改革の精神を踏まえた非違事案防止対策の推進状況」ということをテーマと
して、全国警察に対して監察を行っているところでございますので、その結果
を踏まえながら、どのように検討を進めていくかということを決めてまいりた
いと思うのでございますけれども、当面は部外の有識者等から御意見を伺うな
どして、検討を進めてまいりたいというふうに考えております。