国家公安委員会委員長記者会見要旨

1 日時 平成24年6月7日(木)11:43~11:51

2 場所 警察庁第4会議室

3 概要  本日の国家公安委員会定例会議の状況について申し上げます。委員は全員出
席です。議題事項については、「人事案件について」、「入管法等改正法の施
行に伴う内閣府令等の改正案について」説明があり、原案どおり決定いたしま
した。報告事項については、お手元の資料のとおりの報告が警察庁からありま
した。

      以上です。

  大臣にお伺いします。大臣も御出席された先日の「一定の病気患者の運転免
許制度に関する有識者検討会」の中で、交通事故が発生した後で申告が必要な
病状が発覚するケースが多いといったことが報告されたかと思います。こうい
った実態や有識者会議の議論を踏まえて、改めてこの会議の方向性について、
大臣の御所見をお聞かせください。

答  (大臣)一昨日の第1回目の有識者による検討会には、私も冒頭から出席し、
「鹿沼児童6人クレーン車死亡事故遺族の会」及び社団法人「日本てんかん協
会」からの御説明を直接承りました。それぞれの主張を重く受け止め、改めて
道路交通の安全の確保と一定の病気等を有する方々の社会参加の確保等との両
立について、その難しさと、また、重要性を痛感したところであります。

   警察としては、これまでも関係団体等と協力しつつ、一定の病気等を有する
方の申告を促進するような方策を講じてきたところであります。御指摘のとお
り、交通事故が発生して初めてその症状等を認知するケースも少なからずあり、
運転免許制度上の大きな課題であると認識いたしております。

   このようなことから、有識者検討会においても公安委員会が一定の病気等を
有する方の症状をいかに正確に把握するかが、主たる検討課題とされたところ
であります。

   今後とも、各方面からの御意見等も踏まえ、有識者検討会において、慎重に
議論が進められるものと承知いたしております。以上です。

  長官にお伺いいたします。オウム真理教の元信者の菊地直子容疑者が先日逮
捕されました。これによって警察庁が特別手配に指定した容疑者が残り一人、
高橋克也容疑者一人ということになりましたけれども、この高橋容疑者も直前
まで神奈川県内に潜伏していたことが、これまでの捜査で分かっていると伺っ
ております。警察が17年間に渡って二人を追いかけてきたわけでありますが、
今逃亡している高橋容疑者検挙に向けた長官の御決意をお聞かせください。

答  (長官)昨日、オウム真理教関係特別手配被疑者、高橋克也と見られる男性
の写真を公開いたしまして、情報の提供を求めるとともに、全国警察に対して
通達を発しまして、全国警察を挙げて追跡捜査を徹底するように指示をいたし
たところでございます。この高橋克也の早期発見・逮捕に向けて、全国警察を
挙げて努力してまいりたいと考えておりますので、引き続き、国民の皆様にお
かれましては、情報提供等の御協力をお願いいたしたいと考えております。

  長官にお尋ねします。平成5年に東京電力の女性社員が殺害された事件で、
先程、東京高裁が無期懲役が確定したネパール人男性について再審を認める決
定をしました。この中では新たに行われたDNA鑑定の結果、性別を問わず被
害者を殺害した疑いを否定できないといった指摘もなされていますが、この決
定についての御所見をお伺いします。

答  (長官)御指摘の再審決定につきましては、個別の事件についての裁判所の
御判断でございますので、私の方からコメントすることは差し控えさせていた
だきたいと思います。今後、検察庁において適切に対応されると考えておりま
す。

  長官にお尋ねします。オウム真理教の特別手配被疑者の逮捕に関連するもの
でありますが、警察の追跡捜査の在り方についてお尋ねをします。昨年、大晦
日に出頭してきた平田信、今回の菊地直子、前者は自ら出頭してきた、今回の
菊地についても、彼女について知っている人からの情報提供がきっかけで逮捕
に至ったわけですが、この両被疑者はこれまで20年近くにわたって国内で潜
伏をしていたわけです。もちろん、出頭や情報提供といったものは、大きな捜
査の範疇の中にあるのだとは思いますが、一方で独自に警察としては、いわゆ
る自前の捜査で行方追及に全力を上げてきた。それによっての発見、逮捕では
なかったということについて、長官のお考えをお願いします。

答  御指摘のように、今回の菊地直子の逮捕は、詳細を申し上げることはできま
せんけれども、国民からの情報提供に基づくというものが大きいというのは事
実であります。まず、情報提供者に対して御礼を申し上げたいと思います。そ
れから、これまでこの問題について多くの情報を国民の皆様から提供を受けて
おりますけれども、これに対しても改めて感謝申し上げたいと思います。

   いずれにしましても、捜査は国民の協力なしには成り立たないと考えており
ます。本件につきましても広く国民からの情報を得るために、手配の公開はも
とより、専用ダイヤルを設置するとか、また、特別報奨金、いわゆる懸賞金の
対象事件に指定するとか、様々な方策を講じてきたところでございます。今後
とも、残る高橋克也が逃走中でありますので、国民の皆様の御協力を頂くため
の努力を重ねてまいりたいと考えております。なお、今回の菊地直子の逮捕に
つきましては、手配から17年間の期間を要したところでございます。今後、
この菊地の逃走実態について解明を進めてまいりますけれども、そうした中で
教訓とすべきものがあれば、今後の捜査に活かしてまいりたいと考えておりま
す。